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大学・研究所にある論文を検索できる 「公共空間史 : 変容すパブリック : スペース・プロセス・バリュー」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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公共空間史 : 変容すパブリック : スペース・プロセス・バリュー

武田 重昭 大阪府立大学

2021.09.07

概要

本稿はランドスケープ研究誌上に掲載された過去3回の「公共空間史」の研究レビュー) を引き継ぎつつ、近年大きく変容する「パブリック」をめぐるランドスケープ分野の研究動向を筆者なりの視座から整理することを試みたものである。過去のレビューにおいても「公共空間」の捉え方は様々であり、それぞれの筆者の「パブリック」に対する態度や年代ごとの社会状況が反映されたものとなっている。本特集号は,さらにその傾向を積極的に位置づけ、網羅性よりも著者の考えが示されるレビューとなることを求めているが,できる限りこの趣旨に応じて公共空間に対する考え方を示してみたい。

公共空間の捉え方は、例えば道路や河川のように「公有地」の種別による分類や都市施設の一つである「公共空地」の公園や緑地のような機能別の分類、またはその空間が発揮する環境面,社会面,経済面の「公共的な効果」に着目する方法などが考えられる。マシュー・カーモナらは著書『パブリックスペース』”のなかで,公共空間をめぐる論争として,空間体験の均質化,その物理的衰退,そして民営化・商業化による排他性の進行を指摘している。また一方で、それらは限られた種類の公共空間しか対象としておらず、より広範で複雑な性質を持つ空間をも対象に入れるべきだとも述べている。これらを参考に,公共空間における「公共性」はどのように生み出すことができるのかという点に着目し、公共空間へのアプローチを分類することを試みたい。ここでは,空間そのものの公共性を対象とする「スペースの公共性」,空間のマネジメントにおける公共性を対象とする「プロセスの公共性」,空間が生み出す価値の公共性を対象とする「バリューの公共性」の3つの視座から公共空間を捉えることを提起し,それぞれの研究動向をみていく。

参考文献

1) 井原線(2008):公共空間史:ラ研 72(1),15-20

2) 武田史郎(2012):公共空間史:ラ研 76(1),7-12

3) 伊藤弘(2016):公共空間史:ラ研 80(1), 8-13

4) マシュー・カーモナほか著・北原理訳(2020)パブリックスペースー公共空間のデザインとマネジメント:鹿島出版会,354pp

5) 武田重昭・坂本幹生・加我宏迄(2017):大阪市都心部の河川における親水性の評価とその整備手法の変遷に関する研究:ラ研 80(5), 663-668

6) 矢濹優理子・施佳類・古谷勝則(2020):視対象とその見方の分析による河川内都からみた景観の特徴の解明:ラ研 83(5),609-614

7) 川口将武・赤擇宏樹・武田重昭・松尾◎,・加我宏之(2020):地方自治体の街路樹に関する維持管理計画および住民参加制度の状況:ラ研 83(5),509-514

8) 松本綾乃・福井豆・正嶋大作(2019):街路樹の二段階剪定による景観創出に対する景観評価と経済的評価:ラ研(オンライン論文集)(12),76-82

9) 福井豆・谷桃衣・高林裕(2020):京都市御池通での景観構成要素の評価と街路景観について:ラ研 83(5), 603-608

10) 守谷修・舟久保敏(2020):緑の基本計画における農地の保全・活用の位置づけに関する考察:ラ研 83(5), 655-660

11) 大塚美嵯子・橋本褝(2019) :東京都の農の風景育成地区制度の実行性の評価:ラ研(オンライン論文集)(13),8-15

12) 塚田伸他・湯沢昭・森田哲夫・西尾敏和(2016):前橋市の大規模公園を事例とした防災機能に関する研究:ラ研 79(5),501-506

13) 木下剛・橋本慧・西京緑(2016):リバプールグリーンインフラストラクチャー戦路における小地域を対象とした計画手法:ラ研79(5), 681-684

14) 木下剛・西京)(2017):イングランドにおける洪水リスクの緩和に資するグリーンインフラの実施例とその特徴:ラ研 80(5),695-700

15) 木下剛・西京緑・永瀬彩子(2018):英国クイーンエリザベスオリンピックパークにおけるグリーンインフラの計画とその意義:ラ 81(5), 655-658

16) 木藤健二郎(2019):ノルウェーにおける都市スケールの雨水管理計画の計画立案手法と空間構造に関する研究:ラ研 82(5),657-662

17) 滝濹恭平・渡辺剛弘(2020):ニューヨーク市ゴワナス運河流域における地域主体によるグリーンインフラ適用:ラ研 83(5),661-666

18) 福岡孝則・片桐由希子・加藤久(2020):フィラデルフィア市におけるグリーンインフラ計画と実装の仕組みに関する研究:ラ[if 83(5), 673-678

19) 篠沢健太・岡本祥幸・宮城俊作(2016):港北ニュータウングリーンマトリックスシステムと原地形・水系の関連:ラ研 79(5),685-688

20) 石川幹子・森田楓菜・山本選介(2020):小流域分析に基づく神田川上流域の緑地施策の歴史的経緯と今後の計画論に関する研究:ラ研 83(5), 667-672

21) 木下剛・田畑貞寿(2020):グリーンインフラ機念の今日的意義に関する考察:造園学会 2020年度全国大会ポスター発表

22) 武田史期(2017):オランダの空間計画における「空間の質」の分野横断的受容の過程およびその定義の変選:ラ研(オンライン論文集)(10),80-92

23) 宮川智子・オルバークレア・大塚紀子・黒瀬武史・阿都浩和(2016):英国チェシャー地方における環境再生による土地利用の変化とパートナーシップの形成:ラ研 79(5),555-558

24)新保奈穂美・寺田徹・横張真(2016):郊外住宅地における空開地の農園化による有機性資源循環利用シナリオの分析:ラ研 79(5),641-646

25) 佐山浩(2020):公園行政部局が「営造物」と「地域制」を対比的に使い始めた経緯:ラ研 83(5),495-498

26) 湯淺かさね・池このみ(2018):公共施設と都市公園の隣接事例にみるマネジメントと空間の在り方に関する考察:ラ研 81(5)。583-588

27)平田富士男・橘俊光(2019):大都市部市街地の都市公園リノベーション事業優良事例から見た事業プロセスの全体構図:ラ研 82(5),493-498

28) 平田富士男・橋俊光(2020):大都市市街地の都市公園リノベーション事業優良事例に見る民間公募要項作成上の重点:ラ研 83(5), 533-538

29) 湯淺かさね・池このみ(2019):取手市高須地区の多主体連携と地域運営からみた都市近郊農村の公共空間マネジメント:ラ研 82(5), 639-644

30) 塩見一三男・中川秀徳・小松亜紀子・金岡省吾・市村 恒士(2019) :民間事業者の意識からみた「都市公園ビジネス」・展開の可能性:ラ研 82(5), 527-532

31)塩見一三男・小松亜紀子・金岡省吾・市村恒士(2020):地方公共団体の意識からみた「都市公園ビジネス」展開の可能性:ラ研 83(5),539-544

32) 高瀬唯・古谷勝則(2017):都市近郊における緑地の立地特性と住民の綠地保全活動一の参加意欲の程度の閱係:亏研80(5),641-646

33) 伊藤大志・市村恒士(2017):都市公園における住民参加型の維持管理活動に対する行政のインセンティブ付与の現状:ラ研 80(5)、509-514

34) 秋田典子:津波袚災地のコミュニティガーデンにおける住民等による空間管理の可能性の検討:ラ研 79(5), 507-512

35) 川上純・寺田徹 (2019):分区園を設置した都市公園の空間および運営上の特徴に関する考察:ラ研 82(5),543-546

36) 三瓶由紀・作中梓・寺西彩乃・原祐二(2016):都市近郊住宅地における自宅・地域の緑に対する所有者の認識と保有継続意思:ラ 79(5), 653-658

37) 藤井基弘(2018):京都の伝統行事「健・お松明式」を支える地元自治会と里山資源の利用の研究:ラ研 81(5),631-636

38) 松本邦彦・坂井亮文・深木昌典(2017):重要文化的景観選定後の保存体制における住民活動組織:ラ研 80(5), 553-558

39) 小池のどか・松本邦彦・深木昌典(2020):近江八幡の水郷地帯に分布するヨシ原の維持管理に要する労働力と費用:ラ研 83(5)、563-568

40) 柴田祐・佐藤人(2016):中山間地域における耕作放棄地の景観に対する地域住民の評価に関する研究:ラ研 79(5), 617-622

41) 北村俊人・金岡省吾・小松亜紀子・市村恒士(2020):富山県舟橋村における人口減少克服に向けた子育て共助型モデルエリアのマネジメント:ラ研 83(5),627-632

42) Mark H. Moore (1995) : Recognizing Public Value : Harvard University Press, 496pp

43) Barry Bozeman (2007) : Public Values and Public Interest:Counterbalancing Economic Individualism: Georgetown Univ Pr, 214pp

44) 若林恵(2019):次世代ガバメントー小さくて大きい政府のつくり方:黒鳥社,192pp

45) 塚田伸他・片桐麻衣・森田哲夫・湯沢昭(2018):敷島公園の総合的価値が周辺の生活質に与える影響に関する考祭:ラ研 81(5),495-500

46) 窪田陽樹・松尾載・川口将武・赤濹宏樹・武田重昭・加我宏之(2020):平城・相楽ニュータウン居住者の公園を媒介とした地域への愛着の醸成に至る意識構造:ラ研 83(5),545-550

47) 山口純・武田史朗(2018):京都市「コミュニティひろば」に対する管理運営主体及びに地域住民の認識に関する研究:ラ研 81(5), 507-512

48) 上野裕介・長谷川啓一(2020):緑地の多面的機能に対する住民の支払い意思額に個人属性の違いが及ぼす影響:ラ研 83(5)、591-596

49) 市村恒士・今井涼太・小松亜紀子・塩見一三男・金岡 省吾(2018):共通価値の創造の観点からみた造園建設業による地域課題解決型事業の展開に関する研究:ラ研 81(5),521-526

50) 高瀬唯・劉成玉・古谷勝則(2018):風景イメージスケッチ手法による日常生活圏内の自然を対象とした風景体験の類型化:ラ研(オンライン論文集)(11),70-81

51) 坂本幹生・松尾蒸・武田重昭・加我宏之(2020):大阪市都心部の河川における船上からのシークエンス景観のスコア化による分析:ラ研 83(5), 615-620

52) 屋形紳太郎・福岡孝則・阿部伸太・金子忠一(2020):公園評価における SNS 利用ソーシャルリスニングの活用の可能性:ラ研83(5), 585-590

53) 矢濹優理子・古谷勝則(2019):埼玉県旧大麻生村の荒川における入会地の土地利用からみる堤外地の社会的役割の変化:ラ研82(5), 557-562

54) 安藤混一・深町加津枝・東幸代・高橋大樹(2020):大津市南小松の絵図に基づく江戸期から明治初期までの土地利用と災害対応:ラ研 83(5),485-490

55) 町田怜子・北里美有・下鷓聖・金子 忠一(2019):阿<地域における自然と人との関わり・伝承を取り入れた熊本地震後の防災教育プログラム開発:ラ研 82(5), 521-526

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