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大学・研究所にある論文を検索できる 「An experimental intraradicular biofilm model in the pig for evaluating irrigation techniques.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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An experimental intraradicular biofilm model in the pig for evaluating irrigation techniques.

田中 利典 東北大学

2020.03.25

概要

【目的】
感染根管治療において、感染源除去のための機械的清掃と化学的清掃は不可欠である。しかし複雑な根管系を機械的に清掃することは極めて難しく、化学的清掃、特に根管洗浄による流体力学的効果の重要性が近年再認識されている。根管洗浄の研究報告では、透明根管模型や抜去歯を対象とした削片除去・洗浄液の到達を観察したものや、数値流体力学によるシミュレーションが一般的で、根管内バイオフィルムの除去については明らかにされていない。本研究では、我々が開発した根管内バイオフィルムを形成するinvivo家畜ブタ感染根管モデルを用いて、各種根管洗浄法によるバイオフィルム除去効果を検討した。

【材料および方法】
(1)根尖性歯周炎および根管内バイオフィルムの作製:2ヶ月齢以上の家畜ブタ5頭を用いて左右下顎第二乳臼歯の近遠心根を実験対象根管(n=20)とし、吸入麻酔および局所麻酔下で髄室開拡を行った。作業長確認後、Kファイルによる根管形成および6%次亜塩素酸ナトリウムによる根管洗浄を行い、根管開放のまま2週間口腔内に暴露させた。その後根管系を低酸素状態にするため歯冠側を水硬性セメントとコンポジットレジンにて二重仮封し、4週間根管内バイオフィルムを成熟させた。
(2)各種根管洗浄:実験対象根管を4つの実験群(各群n=4)および根管洗浄なしの対照群(control:n=4)に分け、比較検討した。実験群の処置時はラバーダム防湿を行い、歯冠部を超音波スケーラーで歯面清掃後二重仮封を除去し、以下の根管洗浄を行った。根管洗浄後はコンポジットレジンにて歯冠側を封鎖した。①30ゲージ洗浄針によるシリンジ洗浄(以下CNI)、②シリンジ洗浄+超音波発生装置による撹拌(以下PUI)、③シリンジ洗浄+音波発生装置による撹拌(以下EA)、④シリンジ洗浄+Er:YAGレーザーによる撹拌(以下LAI)
(3)評価法:家畜ブタに全身麻酔を施したのち顎骨とともに歯牙を摘出した。歯根を近心根と遠心根に分け、そのうちの1根については歯軸方向に割断し根管内面の状態をSEMにて観察した。各群残りの3根については、根管内の細菌感染を定量解析するために根管内細菌のDNAを抽出し、菌数を揃えたEnterococcusfaecalisから抽出したDNAをreferenceとしたreal-timePCR法を実施し、ANOVAののちTukey-Kramer法にて比較検定した。合わせて対照群の根管内細菌叢解析も行なった。

【結果および考察】
ブタの根管内細菌叢はヒトと非常に類似していた。各群の根管内残存細菌数をreal-timePCR法で解析すると、LAIは他の洗浄方法と比較して有意に高い細菌除去効果を示した。SEM観察では、対照群で根管内バイオフィルム形成が確認され、その除去には同じくLAIで最も高い効果が認められた。これらの結果から、根管内バイオフィルム除去においてLAIのキャビテーション効果はPUIによるアコースティックストリーミングよりも優れていることを解明した。

【結論】
根管内バイオフィルムに対するinvivoの根管洗浄では、LAIが有効であることが示唆された。