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船生演習林の天然生林における繁殖期の鳥類相とヒノキ人工林との比較

織田 光 福沢 朋子 逢沢 峰昭 大久保 達弘 宇都宮大学

2020.03.30

概要

天然林（natural forest)は、人為を伴わない自然の状態で天然更新する原生林(prineval forest）と、伐採や補助作業を伴って天然更新する天然生林(naturally regenerated forest または二次林）の2つに分けられる（藤森 2006）。天然生林のうち、里山林や農用林として居住地近くに広がり、アカマツや広葉樹の優占する林は、かつては新炭材の供給、落葉の採取等を通じて地域住民に利用されてきた。しかし、これらの森林は木材需要の増加に応じた拡大造林によってスギ・ヒノキの人工林へと転換された （谷本1990)。また、残された森林も今日では役割を喪失し、ほとんどが放置されている（重松 1988)。アカマツ林では下層に広葉樹が段階的に侵入し、ニ次遷移が進行している（藤井・陣内 1979； 達・大沢 1992)。一方、今日では、里山林を構成する広葉樹天然生林のもつ生物多様性保全の場としての機能や、野生鳥獃に対する奥山と人里間の緩衝帯としての機能といった、様々な公益的機能が見直されてきている（石井 2005）。

鳥類は脊椎動物亜門（脊椎動物）の鳥綱に属する動物群の総称であり、比較的調査が容易で環境の変化をよく反映することが知られており、古くから生態学研究の対象となってきた (MacArther and MacArther 196l)。また、鱗翅目幼虫の捕食や種子散布など多くの生態的機能を有する(Murakami and Nakano 2000）ため、生物多様性の指標の一つとして用いられることが多い。とりわけ森林を生息環境としている鳥類の種多様性は植生構造の影響を受ける（佐藤 2011）ほか、森林を構成する樹種の多様性の影響を受け、人工林より広葉樹林の方が高いとされる（Ohono and Ishida 1997 ； Lindenmayer et al. 2002a : Yamaura et al. 2007) 。

船生演習林の鳥類相については、ヒノキ人工林（池田ら2018）で調査がなされているが、天然生林の鳥類相は調査されていない。よって、本研究では船生演習林の天然生林において、繁殖期に観察される鳥類相を明らかにするとともに、池田ら（2018）によるヒノキ人工林の鳥類相と比較することで林分組成や構造の違いが船生演習林の鳥類相の多様性に与える影響を評価することを目的とした。

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参考文献

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