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大学・研究所にある論文を検索できる 「Nanostructures and optical properties of semiconducting polymer films: novel solution processes and multidimensional analyses」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Nanostructures and optical properties of semiconducting polymer films: novel solution processes and multidimensional analyses

坂田 俊樹 広島大学

2022.03.23

概要

【背景・目的】
導電性高分子は,主鎖に共役構造を持ち,電気伝導性を示す高分子である。その軽量,フレキシブル,溶液プロセスでの成膜,安価という利点から次世代デバイスの基幹材料として位置付けられている。導電性高分子はその膜中において,配向や凝集に代表される分子のナノ構造が重要であり,電荷輸送特性の改善,光吸収・発光の異方性等の発現による機能向上がもたらされる。それらのナノ構造は成膜法で制御可能であり,様々な手法が開発されてきた。一方,より簡便な手法も期待されている。また,ナノ構造の簡便な評価法も求められている。本研究では,導電性高分子膜のナノ構造と光機能性の解明を目的とし,新規塗布法と多次元での解析手法の開発を行った。具体的には,(1)太陽電池性能と高分子膜構造の相関,(2)筆の掃引による導電性高分子配向膜の作製と多次元解析法の開発,(3)多次元解析法の発展による配向膜中凝集体の検出,(4)セルローステンプレートを用いた配向膜の配向メカニズムの解明,である。

【1.太陽電池性能とPEDOT:PSS膜のナノ構造】
導電性高分子PEDOT:PSSと結晶Siから成る太陽電池は,高分子溶液に極性分子を少量添加することで性能が向上する。そこで本研究では,6種の異なる極性分子を添加し,太陽電池性能と高分子の膜構造との相関を調査した。その結果,双極子モーメントが3D以上の極性分子の添加により,光電変換効率が最大で約1.7倍となった(4.7→7.8%)。また,PEDOT分子のface-on構造,電気伝導率の増加は添加分子の双極子モーメントの大きさに相関することを見出した。

【2.Brush-printing法による導電性高分子配向膜の作製と多次元解析】
筆を用いた簡便な導電性高分子配向手法であるBrush-printing法がある。しかし,2例の報告しかなく,発光の報告例はない。そこで本研究では,有機EL用導電性高分子F8BTの配向膜をbrush-printing法で作製した。配向度と膜厚の同一視野マッピング測定(30×30m2,900pixels)により,両者の相関を詳細に検討した。その結果,(1)統計的解析手法の開発,(2)塗布方向への高分子主鎖の配向,(3)膜厚100nm未満にて高い配向(配向度0.74)となることが明らかとなった。また,液膜に生じるせん断応力と毛管流による高分子の引き延ばしが配向に寄与したと考察した。

【3.4次元顕微分光法の開発と導電性高分子膜中の凝集体の配向】
高分子の凝集はその物性に変化をもたらす。しかし,凝集体とモノマーライク構造の分離は難しい。本研究では,Brush-printing法で製膜した配向膜を用い,凝集体とpolymerchainの分離を行い,分子配向マッピングを作成した。すなわち3次元(x-y-z)と光子エネルギーを合わせた4次元解析である。その結果,(1)polymerchainが平行方向に配向,(2)30%の凝集体が筆の掃引方向に対して垂直方向に配向,(3)垂直配向のメカニズムは膜厚の高低による垂直方向の溶液のフロー,厚膜化によるせん断応力低下等と考察した。

【4.セルローステンプレートによる配向膜作製とその配向メカニズム及びダイナミクス】
我々は一軸塗布したセルロース膜上に配向膜を作製するSOFT法を開発した。しかし,その詳細な配向メカニズムは不明である。本研究では,セルロース膜と高分子膜間の界面に着目し,配向メカニズムを検討した。また,温度を時間変化させた際の分光測定を行い,配向プロセスの詳細な追跡を行った。その結果,(1)セルロースと導電性高分子の直接接触で配向,(2)30nm以下の膜厚で高配向,(3)時間分解法によりSOFT法の配向ダイナミクスを解明した。

【結論】
導電性高分子膜のナノ構造と光機能性の解明を目的とし,新規塗布法と多次元解析法を開発した。その結果,(1)極性分子の添加による高分子膜のナノ構造と太陽電池性能の相関,(2)brush-printingによる高分子配向膜の作製および配向度の統計的解析法の開発,(3)高分子凝集体とpolymerchainの分離を行う多次元解析の開発,(4)SOFT法の配向メカニズムと時間分解配向ダイナミクスの解明を行った。

参考文献

[1] Sakata, Ikeda, Koganezawa, Kajiya, Saitow, J. Phys. Chem. C, 2019, 123, 20130-20135.

[2] Sakata, Kajiya, Saitow, ACS Appl. Mater. Interfaces, 2020, 12, 46598-46608.

[3] Sakata, Saitow, J. Phys. Chem. Lett., 2022, 13, 653-660.

[4] Takamatsu, Sakata, Kajiya, Saitow, Chem. Mater. 2022, DOI:10.1021/acs.chemmater.1c03319

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