The association between maternal employment status during pregnancy and risk of depressive symptomatology 1 month after childbirth : The Japan Environment and Children’s Study
概要
〔目的(Purpose)〕
妊娠中の母親の遛用形態と産後1ヵ月時の抑うつ症状との関連を検討し、その関連がソーシャル・サポートと等価所得によって異なるかを明らかにすることを目的とした。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
エコチル調査の参加者76,822人を分析対象とした。曝露因子は妊娠中の母親の雇用形態(正社員、派遣社員、パートタイム、自営業、無職、その他)、アウトカムは産後1ヶ月時の抑うつ症状(エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の得点 9点以上と13点以上)とした。層別変数のソーシャル・サポートは、家族、友人、同僚等によって提供される感情的、物質的、情報的なサポートと定義され、本研究では4項目の質問の回答を得点化して評価した。所得については、世帯収入を世帯人数で調整した等価所得を用いた。多変量ロジスティック回帰分析により、正社員を基準として各雇用形態の抑うつ症状有りのオッズ比及び95%信頼区間を算出した。また、ソーシャル・サポートと等価所得の中央値により 2群に分け層別分析を行った。
76,822人の分析対象者のうち、6, 741人(8. 8%)がEPDS得点9点以上、1,167人(1.5%)が13点以上であり産後1ヵ月時の 抑うつ症状が認められた。カットオフ値をEPDS得点9点以上とした揚合、正社員と比べ、無職とその他は抑うつ症状のリスクが高かった。(無職OR=1.11,95%CI: 1.03-1.19,その他OR=1.20, 95%CI :1.01-1.41)また、カットオフ値をEPDS得点13点以上とした場合、正社員と比べ、パートタイムは抑うつ症状のリスクが高かった。(OR=l.19, 95%CI: 1.003-1.42)ソーシャル・サポートと等価所得による交互作用は認められなかった。しかし、どちらのカットオフ値を用いた場合も、ソーシャル・サポートのレベルが低い群では、正社員と比べて無職とパートタイムは抑うつ症状のリスクが高かった。(EPDS 得点 9 点以上の場合:無職 OR=1.14, 95%CI:1. 05-1.24,パートタイム 0R=l.10, 95%CI:1.01_1,21)(EPDS得点13点以上の場合:無職0R=L 22, 95%CI: 1.02-1.46,パートタイムOR=1,24, 95%CI:1.02-1.52) 一方、ソーシャル・サポートのレベルが高い群ではそれらの雇用形態と抑うつ症状のリスクとの関連は認められなかった。また、等価所得の高い群では、カットオフ値をEPDS得点13点以上とした場合、正社員と比べて派遣社員とパートタイムは抑うつ症状のリスクの増加が認められた。(派遣社員OR=1.82, 95%CI: 1.02-3, 26,パートタイムOR=l,39, 95%CI:1. 06-1.83)しかし、等価所得が低い群では、それらの雇用形態に抑うつ症状のリスクの増加は認められなかった。
〔総括(Conclusion)〕
産後1ヵ月時の抑うつ症状のリスクが高い雇用形態として、パートタイム、無職、その他が見いだされ、さらにソーシャル・サポートの低い群ではパートタイムと無職、等価所得の高い群では派遣社員とパートタイムが見いだされた。木研究の結果は産後の抑うつ症状のリスクが高い女性を特定するのに役立つ可能性がある。