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大学・研究所にある論文を検索できる 「Application of a u-w method for the detection of growth response of boreal forests to environmental changes in Northwest Territories, Canada」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Application of a u-w method for the detection of growth response of boreal forests to environmental changes in Northwest Territories, Canada

Niazai, Amin 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23523

2021.09.24

概要

北方林は地球温暖化の進行によって大きな影響を受ける生態系の一つと考えられる。年輪解析や衛星画像に基づく研究から、カナダの北方林において樹木の成長低下や森林衰退が報告されているが、樹木の成長への気候変動の長期的な影響は十分には分かっていない。樹木の成長に影響を及ぼす気候要因を解明するうえで年輪解析の手法は有効であるが、木部成長への影響を定量的に評価するには十分ではない。本論文では、幹の肥大成長量への環境インパクトを明らかにする目的で、幹材積の成長解析方法であるu-w法(Hozumi 1987)をカナダ北西部の北方林に対して適用した。

1.カナダ北西部に設置した調査地(北緯60度1分、東経112度20分)に、樹木の大きさに応じて4.5 m2から1127m2の10の調査プロットを設置し、プロット内に成育する針葉樹のクロトウヒ(Picea mariana)、シロトウヒ(Picea glauca)、アメリカヤマナラシ(P opulus tremuloides)の成長をu-w法によって解析した。合計74個体の材積成長の経年変化を調べた結果、すべての樹種と個体において成長曲線の乗り換え(不連続的な移行)が生じており、乗り換えの時期は樹種間で共通する場合と、そうでない場合とがみられた。1950年代前半、1970年代前半、1980年代前半、2004年には樹種間で同調性のある大きな成長の変化が見られ、大規模な旱魃が起こった年と明確な対応があった。同調が見られない場合もあるのは、環境変化に対する応答に樹種間の違いが存在するものと考えられた.u-w法は人工林をもとに開発された手法であるが、複数の樹種を含む天然林においても適用が可能であり、環境変化が樹木の材積成長に及ぼす影響を検出する方法として有効であるとの結論に達した。

2.気候要因の時間変動に対する樹木の成長応答を明らかにするため、材積成長と気象要素(気温、降水量、湿潤指数(moisture index))との関係を従来の年輪解析の手法を用いて解析した。上記10プロットに成育するクロトウヒ16個体、シロトウヒ14個体、アメリカヤマナラシ14個体を用いて各樹種の標準成長曲線を構築し、気候要因との関係を応答関数解析(response function analysis)によって調べた。いずれの樹種においても、当年および前年の降水量と湿潤指数が材積成長と有意な相関を示した。前年6月の降水量がクロトウヒとシロトウヒの材積成長と正の相関を示した.当年の降水量はシロトウヒとアメリカヤマナラシの材積成長と正の相関を示した。アメリカヤマナラシでは、前年8月の湿潤指数とも正の相関が見られた。材積成長と温度との間にはいずれの樹種においても相関が見られなかった。以上のことから、この調査地では水分条件が材積成長を規定していると結論した。

3.林分のバイオマスに対する環境の影響を明らかにするために、林分レベルにおける成長曲線の乗り換えと旱魃および森林火災との関係を、カナダ北西部の1950年-201 0年の期間について調べた。前記の10プロットについて林分復元法であるOAZ法(Osa wa et al 2000)を用いて林分バイオマスの経年変化を復元し、u-w法を用いてこれを解析した。林分の成長曲線の乗り換え時期は厳しい旱魃と森林火災の発生時期と対応することが、一致解析(coincidence analysis)から示唆された。すべての林分に共通して、成長曲線乗り換えは、1952-3年、1972-3年、1982-3年、および2003-4年に起こった。

4.本研究の結果から、過去60年間に発生した旱魃と森林火災が、カナダ北西部の北方林に大きなインパクトを与えたと考えられる。本調査地において森林の生育を支配している要因は水であり、気候変動によって水循環に変化が生じた場合、樹木の生育に大きな影響を及ぼし、北方林にとって大きな脅威になると考えられる。

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