リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Floristic composition and host tree utilization of vascular epiphyte assemblages in a Bornean lowland tropical rain forest」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Floristic composition and host tree utilization of vascular epiphyte assemblages in a Bornean lowland tropical rain forest

Komada, Natsuki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23942

2022.03.23

概要

維管束着生植物(以下、着生植物)は、他の植物上で非寄生的に生育する植物群であり、極相的な熱帯雨林において特に高い種多様性およびバイオマスを示す。着生植物群集は林冠での水分および栄養塩の循環に関与し、多様な生物のハビタットや餌資源としても機能している。このような理由から、着生植物群集の多様性や宿主となる樹木の利用様式を明らかにすることは、熱帯雨林の林冠生態系を理解するうえで重要である。これまで着生植物群集に関しては、新熱帯域の森林で多数の研究が行われてきた。一方で、東南アジア熱帯は他の熱帯地域に比べて先行研究が少なく、その多様性や宿主木利用様式はほとんど明らかになっていなかった。そこで本研究は、ボルネオ島のランビルヒルズ国立公園 (以下、ランビル)の極相的な低地熱帯雨林において、ロープワークテクニックを用いた樹木登攀とクレーン、ウォークウェイを活用して林冠部での調査を行い、当地域の着生植物群集の組成と宿主木利用様式の解明を行うことを目的とした。

第2章では、本研究の調査地であるランビルの低地熱帯雨林の気象、地質、植生の概要を解説した。

第3章では、着生植物インベントリーの結果、ランビルの約20 haの区域から24科、64属、183種の着生植物が確認され、高い多様性が見られることを明らかにした。また、Dapania racemosa Korth. (カタバミ科) は本研究で初めて着生植物であることが確認された。さらに、未記載種、サラワク州新産記録となる可能性が高い種など、今後の詳細な分類学的研究が必要な着生植物が多数発見された。

第4章では、ランビルを含む生物地理区および標高の異なる11地点の森林の着生植物相を比較し、ランビルの特徴的な分類群組成を明らかにした。例えば、生物地理区間での比較の結果、ランビルはキョウチクトウ科とクワ科の種数と割合が高い一方で、オシダ科の種数と割合が低いこと、コショウ科が欠如していることが明らかとなった。東洋熱帯の山地と低地での比較からは、低地のランビルではキョウチクトウ科とクワ科が相対的に高い割合をしめすのに対して、ラン科とウラボシ科の割合が低いことで特徴づけられた。また、11地点中で双子葉類の種数と割合がランビルにおいて最も高かった。

第5章では、宿主木1個体あたりの着生植物の種多様性と個体数に及ぼす宿主木サイズの影響を検討した。胸高直径(DBH)が1㎝以上の宿主木430個体上で観察された、122種2162個体の着生植物の観察に基づいて、宿主木のDBHと着生植物の出現確率、着生植物の種数、着生植物の個体数の関係を解析した。この結果、着生植物の出現確率は、DBH > 40 cm の宿主木で50%を超え、着生植物種数と着生植物個体数はDBH増加に伴い指数関数的に増加した。加えて、本調査で記録された着生植物種のうち過半数は、DBH > 60 cm以上の宿主木で見られることが明らかとなった。

第6章では、宿主木の種類の違いが、着生植物群集組成に大きく影響することを明らかにした。7種32個体のフタバガキ科の宿主木上で確認された91種1591個体の着生植物を対象に、宿主木種間で着生植物種数、着生植物個体数、着生植物の群集構造の差を解析した。着生植物の種数、個体数ともに樹種間で有意に異なっており、種数、個体数ともにDipterocarpus属の2樹種で際立って高い傾向を示した。着生植物の群集構造も樹種間で有意に異なっており、特にDryobalanops属 2種、Shorea属2種の樹木上で見られた着生植物の群集構造はそれぞれ他の宿主木種のものとは互いに有意に異なっていることが示された。

最終章である第7章では、本研究を通して得られた知見を総合し、東南アジア熱帯地域の森林の構成要素としての着生植物群集の重要性を指摘し、当地域における着生植物研究を発展させるための提言を行った。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る