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Significance of HMGA2 expression as independent poor prognostic marker in perihilar and distal cholangiocarcinoma resected with curative intent

高橋 智昭 横浜市立大学

2021.03.25

概要

1.序論
 肝外胆管癌は予後不良な悪性腫瘍の⼀つであり, その主占拠部位により肝⾨部周囲胆管癌, 遠位胆管癌に分類される.外科的切除が⻑期⽣存を期待できる唯⼀の治療法であるが, 再発率は⾼く, 治癒切除が得られた症例であっても5年⽣存率は肝⾨部周囲胆管癌が25-40%(DeOliveira et al., 2007; Dinant et al., 2006; Madariaga et al., 1998; Miyazaki et al., 1998; Nagino et al., 1998; Nishio, Nagino, &Nimura, 2005), 遠位胆管癌は27-44%(DeOliveira et al., 2007; Yoshida et al., 2002)と予後不良である.上⽪間葉転換(Epithelial mesenchymal transition: EMT)は上⽪系細胞から間葉系細胞への形態変化を⽰す過程であり胎⽣期の臓器発⽣において重要な役割を果たすが悪性腫瘍においてはその浸潤能⼒, 転移能⼒の獲得に進展に関与する(Kalluri & Weinberg, 2009).High-mobility group AT-hook 2(HMGA2)は, 様々な悪性腫瘍においてEMTを介して増殖・分化に関わり, 予後不良因⼦として報告されている(Zhang, Mo, & Wang, 2019).本研究では肝外胆管癌に分類される肝⾨部周囲胆管癌, 遠位胆管癌におけるHMGA2蛋⽩発現と臨床因⼦との関連を⽐較検討した.

2.実験材料と⽅法
 教室で2009年1⽉から2016年12⽉までに術前治療を施⾏せずに根治切除を企図して外科切除を⾏い, 組織型が腺癌であった, 肝⾨部周囲胆管癌41例と遠位胆管癌39例を対象とした.対象症例の切除標本ホルマリン固定パラフィン包埋切⽚を⽤いて免疫組織化学染⾊でHMGA2蛋⽩の発現を評価した.HMGA2の発現と臨床病理学的因⼦や予後との関連を統計学的に解析, 検討した.

3.結果
 HMGA2蛋⽩は⼀部の症例で腫瘍細胞の核濃染として発現を認めた.その発現量を1視野内における発現割合に応じて4段階に群分けを⾏い, 発現割合の多い2群をHMGA2陽性, 少ない2群をHMGA2陰性とし, 2群に群分けを⾏った.HMGA2発現陽性率は, 肝⾨部周囲胆管癌, 遠位胆管癌それぞれで51%と41%であった.HMGA2陽性群, 陰性群の臨床病理学的因⼦を⽐較すると, 肝⾨部周囲胆管癌ではHMGA2陽性群で⾎管侵襲(P=0.020), 神経侵襲(P=0.048)が有意に多く, 遠位胆管癌では低分化腺癌がHMGA2陽性群で有意に⾼率であった(P=0.013).⽣存分析では, HMGA2陽性群は陰性群と⽐較し, 全⽣存期間で肝⾨部周囲胆管癌(P=0.02), 遠位胆管癌(P=0.0008)いずれのサブタイプにおいても有意に予後不良であった.Cox回帰⽐例ハザード分析では, 肝⾨部周囲胆管癌でHMGA2陽性(P=0.015)とリンパ節転移陽性(P=0.006), 低分化腺癌(P=0.001), リンパ管浸潤(P=0.006), ⾎管浸潤(P=0.004)が単変量解析で有意な予後不良因⼦であり, 多変量解析では, HMGA2陽性(P=0.003)と低分化腺癌(P<0.001)が独⽴した予後規定因⼦であった.遠位胆管癌ではHMGA2陽性(P=0.003)とリンパ節転移陽性(P=<0.001), 低分化腺癌(P=0.024)が単変量解析で有意な予後不良因⼦であり, 多変量解析ではHMGA2陽性(P=0.012)とリンパ節転移陽性(P=0.017)が独⽴した予後規定因⼦であった.

4.考察
 本研究の結果から, 肝⾨部周囲胆管癌, 遠位胆管癌にはHMGA2を強く発現しているサブタイプが存在し, それらの症例は発現のない症例と⽐較し有意に予後不良であることが明らかになった.HMGA2の発現は他の悪性腫瘍においてリンパ節転移や遠隔転移, ⾎管侵襲, リンパ管侵襲, 神経侵襲, 腫瘍の悪性度と相関が⾒られることが報告されており, 本研究でも肝⾨部周囲胆管癌で⾎管侵襲と神経侵襲, 遠位胆管癌において腫瘍の悪性度と相関が認められ, HMGA2の発現が腫瘍の悪性度を反映する因⼦であることが⽰唆された.HMGA2はEMTに様々なパスウェイを介して重要な役割を果たしており, その関連パスウェイとしてTGFβパスウェイやWnt/βカテニンパスウェイなどが関与していることが報告されている.またmicroRNAであるlet7ファミリーがHMGA2の発現を制御することも報告されている.HMGA2発現は予後予測因⼦に有⽤なバイオマーカーであり, 術後の治療⽅針の決定に有⽤である可能性が⽰唆された.また, HMGA2さらにはHMGA2のLIN28, let-7による調節機構は新規治療薬開発のターゲットとして有⽤である可能性がある

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参考文献

DeOliveira, M. L., Cunningham, S. C., Cameron, J. L., Kamangar, F., Winter, J. M., Lillemoe, K. D., . . . Schulick, R. D. (2007). Cholangiocarcinoma: thirty-one-year experience with 564 patients at a single institution. Ann Surg, 245(5), 755-762. doi:10.1097/01.sla.0000251366.62632.d3

Dinant, S., Gerhards, M. F., Rauws, E. A., Busch, O. R., Gouma, D. J., & van Gulik, T. M. (2006). Improved outcome of resection of hilar cholangiocarcinoma (Klatskin tumor). Ann Surg Oncol, 13(6), 872-880. doi:10.1245/aso.2006.05.053

Kalluri, R., & Weinberg, R. A. (2009). The basics of epithelial-mesenchymal transition. J Clin Invest, 119(6), 1420-1428. doi:10.1172/jci39104

Madariaga, J. R., Iwatsuki, S., Todo, S., Lee, R. G., Irish, W., & Starzl, T. E. (1998). Liver resection for hilar and peripheral cholangiocarcinomas: a study of 62 cases. Ann Surg, 227(1), 70-79. doi:10.1097/00000658-199801000-00011

Miyazaki, M., Ito, H., Nakagawa, K., Ambiru, S., Shimizu, H., Shimizu, Y., . . . Suwa, T. (1998). Aggressive surgical approaches to hilar cholangiocarcinoma: hepatic or local resection? Surgery, 123(2), 131-136.

Nagino, M., Nimura, Y., Kamiya, J., Kanai, M., Uesaka, K., Hayakawa, N., . . . Nishio, H. (1998). Segmental liver resections for hilar cholangiocarcinoma. Hepatogastroenterology, 45(19), 7-13.

Nishio, H., Nagino, M., & Nimura, Y. (2005). Surgical management of hilar cholangiocarcinoma: the Nagoya experience. HPB (Oxford), 7(4), 259-262. doi:10.1080/13651820500373010

Yoshida, T., Matsumoto, T., Sasaki, A., Morii, Y., Aramaki, M., & Kitano, S. (2002). Prognostic factors after pancreatoduodenectomy with extended lymphadenectomy for distal bile duct cancer. Arch Surg, 137(1), 69-73. doi:10.1001/archsurg.137.1.69

Zhang, S., Mo, Q., & Wang, X. (2019). Oncological role of HMGA2 (Review). Int J Oncol, 55(4), 775-788. doi:10.3892/ijo.2019.4856

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