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大学・研究所にある論文を検索できる 「アカザカズラの安全性及び機能性評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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アカザカズラの安全性及び機能性評価

丸山, 浩司 筑波大学

2021.08.02

概要

急速に進む高齢化,医療費や年金などの社会保障不安,そして食の欧米化による生活習慣病の増加により,治療から予防への切り替えとして「セルフメディケーション」の意識が高まり,健康食品市場は堅調に伸びている.いまや,健康食品の市場規模は1兆2000億円を超えている.近年では,美容やダイエットを目的とした若者向けの商品も増え,2015年からは,新たに機能性表示食品の制度がはじまり,健康食品に対する関心はこれまで以上に高まっている.

 株式会社三協ホールディングスでは,健康食品を受託製造していく中で,独自の健康食品素材の探索を行ってきた.そして,生活習慣病の予防に効果の期待できる新たな健康食品素材として,アカザカズラ(Anredera cordifolia)に着目し,その機能性評価,製剤化の検討を進めてきた.アカザカズラは南米原産のツルムラサキ科の多年草である.日本では「雲南百薬」や「オカワカメ」という名前で知られることが多く,マグネシウム,カルシウム等のミネラルを豊富に含み,栄養価が高いことから,九州や沖縄では健康野菜として食され注目されている.

 安全性の評価として行ったAmes試験においては,アカザカズラの各用量群は代謝活性化の有無にかかわらず,各菌株に対して変異原性が認められないことを示し,アカザカズラが発癌性物質となる可能性が低いことを確認した.ラットを用いた28日間反復投与毒性試験においては,アカザカズラ葉の乾燥粉末を継続して2.0g/kg/day摂取しても,死亡例は無く,一般状態にも異常は認められなかった.単回投与毒性試験においても,5.0g/kgの投与量において死亡例は無く,一般状態にも異常は認められなかった.アカザカズラの半数致死量(LD50)値は5.0g/kg以上であると推定された.アカザカズラは食経験もあり,これら安全性試験の結果から,食品素材としての使用においては安全性に懸念はないと考えられる.

 機能性評価として,高血圧自然発症ラット(SHR)モデルを用いて,アカザカズラによる高血圧と,血清脂質レベルに対する影響,脂質過酸化のマーカーとなるマロンジアルデヒド(MDA),血圧を制御しているアンジオテンシン変換酵素(ACE)への影響を評価した.SHRにアカザカズラの抽出エキスを6週間摂取させた結果,アカザカズラを与えた群の収縮期血圧はSHR対照群より低く,試験期間4週間から6週間までの間,両郡の収縮期血圧には有意差が認められた.また,アカザカズラを与えた群の中性脂肪及び総コレステロール,そしてMDA,ACEレベルは,SHR対照群より有意に低い結果となった.

 次に,マウスにアカザカズラの水抽出エキス,エタノールエキスおよびメタノールエキスを与え,アカザカズラ葉エキスの代謝症候群改善作用や酸化ストレス抑制作用について検討した.結果,LDLコレステロールにおいては水抽出エキスでわずかに低い傾向が見られたが,総コレステロール,中性脂肪,リン脂質,遊離脂肪酸においてはエタノールエキスを与えた群において低い結果となった.HDLコレステロールはとくにメタノールエキスを与えた群で高い値となった.肝機能では,GPT,GOTにおいてアルコール抽出エキスを与えた群で低い値となった.酸化ストレスへの影響については,アカザカズラを与えた群のMDAは低く,脂質の過酸化が抑えられている可能性が示唆された.尿中の8-OHdGではとくに水抽出エキスにおいて抗酸化効果が認められた.

 これまでの研究より,アカザカズラはラットおよびマウスに対し,降圧作用および脂質異常改善効果を,また高脂肪高果糖飼料により代謝症候群を誘発させたマウスに対しても改善効果を示し,さらに生体内の酸化ストレスが軽減されることも明らかとなった.アカザカズラのこれらの効果はアルコール抽出エキスにおいてより強い活性を示すことが明らかとなり,脂溶性の機能性成分が多く含まれている可能性も示唆された.アカザカズラはおそらくその抗酸化作用を介して,生体内において代謝症候群の改善を期待できる健康食品素材であり,予防医学に貢献できる食品素材であるといえる.

 製品化に向けては,国内での試験栽培を実施し,生葉の洗浄方法,殺菌方法,乾燥方法の検討も行い,錠剤製品を立ち上げた.さらに,血圧や血糖値改善以外に,独自の製品コンセプトを模索していく中で,認知機能への効果に着目し,中枢神経系への評価を進めている.一部明らかとなった抗認知機能については特許出願し,論文化を進めている.

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