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書き出し

高濃度短期暴露リスク評価のための室内化学物質濃度分布の数値解析モデル

住吉, 栄作 SUMIYOSHI, Eisaku スミヨシ, エイサク 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

高濃度短期暴露リスク評価のための室内化学物質濃
度分布の数値解析モデル
住吉, 栄作

https://hdl.handle.net/2324/6787652
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(工学), 課程博士
バージョン:
権利関係:

(様式3)Form 3



名 :住吉 栄作

Name

論 文 名 :高濃度短期暴露リスク評価のための室内化学物質濃度分布の数値解析モデル
Title



分 :甲

Category

論 文 内 容 の 要 旨
Thesis Summary
国内で流通している化学物質は数万種類に上り,法令規則対象外の化学物質によって引き起こされる労働災
害も問題となっている.厚生労働省は職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討結果を纏めた報告
書を 2021 年 7 月に公表しており,これに基づく関係法令の改正に向けた議論が進められている.この報告書
に基づけば,我が国の化学物質管理のあり方は今後大きく変化し,厳格化される方向にある.事業者は国が設
定した基準を満たす義務を負う一方で,
その対応方法は各自に委ねられており一定の自由度が与えられている.
リスクアセスメントの対象となる工場などの室内閉鎖環境では,一般に換気や空調システムにて形成される室
内流れ場に不均一性があり,また化学物質発生源(特に漏洩箇所)も時空間に偏在することから,室内濃度場も
不均一分布となり,また非定常性も強い.作業者の暴露濃度を正確に予測し,適切なアセスメントを実施する
ためには,これらの不均一性・非定常性を考慮した室内濃度評価手法の開発が必須となる.
このような背景のもと,本研究では工場等の閉鎖空間で危険度の高い液体薬剤が存在する際の暴露リスク評
価を行うための基礎的な数値解析手法の確立を目指す.具体的には,室内環境中を対象として高濃度短期暴露
が懸念される汚染物質の発生源モデル,移流・拡散メカニズム,非定常呼吸に伴う経気道暴露(人体暴露)経路
を,濃度場解析と室内環境解析用数値人体モデルを連成して解析することで,精緻に予測する数値解析フレー
ムの構築を目指している.
本論文は,以下に示す 6 章から構成される.
第 1 章では,序論として研究背景・目的を整理している.化学物質の不慮の漏洩などに起因する高濃度短期
暴露のリスク評価の際には,
作業者の人体周辺に形成される非定常不均一濃度分布の正確な情報が必須となる.
そのため,
従来の環境基準濃度をベースとして評価してきた室内空気質評価に加え,
室内濃度分布の不均一性,
人体暴露濃度の高精度推定を含んだ総合的な健康リスク評価の重要性を述べ,取り組むべき課題を明確化して
いる.
第 2 章では,室内環境において多種多様に存在している空気汚染物質の濃度低減対策として,光触媒建材を
用いた分解・除去性能評価のための実験法の確立,数理モデリングに関して述べる.これはガス相と固相間で
の相互作用,表面反応に関する研究課題であり,特に計算流体力学との連成を意図した数理モデル化は,高濃
度短期暴露リスク評価の際の室内環境スケールでの濃度分布予測を精緻に行うための基礎技術となりうる.さ
らに,実大居室スケールの大形チャンバー内に光触媒建材を設置して室内のトルエン濃度低減性能を計測した
上で,同条件で数値解析を行うことで,提案する光触媒反応モデルを実大スケールへ適用した場合の予測精度
検証結果を報告する.また,経気道暴露濃度の正確な予測評価に向けて,非定常呼吸を再現した数値人体モデ
ル CSP (Computer Simulated Person)と室内濃度場解析を統合解析することで,暴露経路と暴露濃度の正確な
予測を行い,その上で健康リスク評価を行う一連の数値解析手法について述べる.

第 3 章では,工場等の閉鎖空間で危険度の高い液体薬剤が存在する際の暴露リスク評価を行うための基礎検
討として,液体薬剤であるアンモニア水溶液に着目し,液面から発生する化学物質の発生量を予測するための
境界モデルを整理する.本研究では,化学物質の特性に基づく蒸散モデルとして,気液界面の気相濃度を混合
水溶液濃度と温度の影響を考慮した単純モデルを提案する.併せて,アンモニア水溶液から発生する化学物質
発生量の経時変化をチャンバー実験により計測し,実験条件を再現する数値解析の精度検証を実施する.
第 4 章では,非定常性が特徴となる化学物質漏洩事故を想定した実用的な暴露濃度予測に向け,居室スケー
ル実験チャンバー内に液体エタノール溶液(99.5%)を設置した場合のガス発生量の測定と室内濃度分布の測定
を行うと共に,対応する境界条件にて数値解析を実施することで,流れ場形成に依存した濃度場形成に関する
基礎データを蓄積し,流体解析の流れ場と濃度場の予測精度検証を行った結果について報告する.その上で,
応用解析事例として同空間内で液体薬剤であるアンモニア水溶液が漏洩した条件を想定し,第 3 章にて提案し
たガス発生量予測モデルを適用した数値解析結果を報告する.加えて,数値人体モデル CSP を室内空間内に
再現し,室内に形成される不均一な濃度分布と人体周辺に形成される微気象と呼吸空気質の評価を行い,室内
の汚染物質発生による人体への暴露経路と経気道毒性 (Inhalation Toxicity)の評価が可能であることを例証的
に検討している.
第 5 章では,リスクアセスメントの想定シナリオの一つとして,薬剤を溢した等の事象により建材に化学物
質が含浸し,再放散が起こるという状況がありうることから,3 種類のモルタル試験体に対する液体トルエン
及び酢酸エチルの含浸及び再放散量の把握を目的とした小形チャンバー実験の結果を報告する.加えて,実験
結果を再現するための数理モデルおよび 1 次元モデルによる再現計算を実施する.特に,数値流体解析に組み
込むことを前提とした上での含浸速度または含浸量と再放散速度に関する数理モデル化は,建材に対する化学
物質の移行性を表す分配定数 (Partition Coefficient)や建材内の濃度分布形成に関わる拡散係数の同定,さらに
流れ場解析との連成方法など検討の余地がある.また,実験に用いられたモルタル試験体の幾何形状を正確に
再現した 3 次元 CFD (Computational Fluid Dynamics)解析を実施することで,建材に液体薬剤が漏洩した後
の蒸発または揮発による短期高濃度暴露リスクと,含浸後の再放散による長期低濃度暴露リスクについて一連
の現象の予測精度について検証する.
第 6 章では,化学物質を取り扱う工場と対象として,室内空間に液体化学物質が漏れるという漏洩事故を想
定した室内の濃度場予測と作業者の吸入暴露評価を実施する.
具体的には,
室内にトルエンが漏洩した場合に,
アクティブ換気(置換換気やプッシュプル型換気)とパッシブ換気(光触媒反応)を組み合わせた非常用換気シス
テム EVS (Emergency Ventilation System)の効果を CFD 解析により検証する.
第 7 章では,本論文で述べている研究の内容とその成果を総括する.また,残された今後の研究課題につい
ても述べる.

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