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大学・研究所にある論文を検索できる 「去勢抵抗性前立腺がんで発現上昇する遺伝子の機能ならびにその臨床的意義の解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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去勢抵抗性前立腺がんで発現上昇する遺伝子の機能ならびにその臨床的意義の解析

木村, 直樹 東京大学 DOI:10.15083/0002007067

2023.03.24

概要

審査の結果の要旨
氏名

木村直樹

前立腺がんはアンドロゲン依存性に増殖するがんであり、そのためアンドロゲン
遮断療法を行う。しかし、次第に効果がなくなり、去勢抵抗性前立腺がん (CRPC) へ至るこ
とが問題となっている。本研究では良性前立腺、局所前立腺がんと比較し、CRPC で発現が
増加している遺伝子として Ribonuclease H2 subunit A (RNASEH2A) を見出し、その臨床的意
義及び機能の解析を行った。その結果、遺伝子データベース Oncomine を用いた解析におい
て、RNASEH2A は良性前立腺と比較し、前立腺がんで有意に発現が増加していることを示
し、その中でも CRPC での発現が増加していることを明らかとした。さらに、前立腺がん病
理組織標本を用いた免疫組織化学法により、前立腺がんにおける RNASEH2A の高発現は、
Gleason score 8 以上と有意な相関を認め (P = 0.0082)、 さらに、PSA 無再発生存率、がん特
異的生存率の予後不良因子であることを見出した (P < 0.001, P = 0.002)。RNASEH2A の機
能解析では、前立腺がんモデル細胞 LNCaP (AR 陽性、AR-V7 陰性)、22Rv1 (AR 陽性、ARV7 陽性)、作成した RNASEH2A 安定発現 LNCaP 細胞、BALB/c ヌードマウスを用いて行っ
た。その結果、RNASEH2A 安定発現 LNCaP 細胞では、細胞増殖、遊走能、アンドロゲン非
依存的な細胞増殖の亢進、加えてドセタキセルにより誘導されるアポトーシスの抑制が観
察された。逆に、発現抑制では、細胞増殖、遊走能の抑制と、アポトーシスの亢進が認めら
れた。その機序として、p53 及び AR に着目したところ、RNASEH2A の過剰発現ではドセ
タキセルにより誘導される p53 発現を抑制し、さらに AR 発現が亢進されることを明らかと
した。逆に、RNASEH2A の発現抑制では p53 発現亢進と、AR 発現の抑制が認められた。以
上のことから、RNASEH2A は p53 を負に、AR を正に制御することで細胞増殖、遊走能を
制御していることが分かった。
今回着目した RNASEH2A は CRPC で発現増加している遺伝子である。本研究によ
り RNASEH2A の過剰発現は、アンドロゲン非依存的な細胞増殖を亢進させることから、
RNASEH2A の過剰発現が CRPC の一因である可能性が考えられた。さらに、RNASEH2A の
発現抑制は、前立腺がん細胞における AR の発現抑制と p53 発現増加を介し、がん細胞の増
殖を抑制させることから治療標的となる可能性が考えられた。その一方で、p53 や AR 以外
のメカニズムを介した機能の存在も考えられ、今後のさらなる検討が必要であると思われ
る。
よって本論文は博士( 医

学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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