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大学・研究所にある論文を検索できる 「Clinical Characteristics of Jra Alloimmunization in Pregnancy: A Case Series」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Clinical Characteristics of Jra Alloimmunization in Pregnancy: A Case Series

金川, 武司 大阪大学

2020.06.30

概要

〔目的(Purpose)〕
 血液型不適合妊娠は、胎児および新生児に重篤な貧血を引き起こす疾患である。血液型不適合妊娠の一般的な妊娠経過は、一旦感作すると胎児貧血が自然に寛解することはない。よって、貧血で認められる胎児中大脳動脈収縮期最高速度(MCA-PSV)の上昇は、胎児輸血をしない限り分娩まで異常高値を認め続ける。一方、抗Jra抗体による血液型不適合妊娠は、Jra陰性女性の頻度が0.03%と少ないため、妊娠経過についてはよく分かっていない。本研究の目的は、Jra血液型不適合妊娠について、重症胎児貧血は稀なのか、妊娠中の胎児MCA-PSVの変化、抗Jra抗体価によって胎児貧血の推測が可能かどうかを明らかにすることである。

〔方法(Methods)〕
 二施設で管理した抗Jra抗体による血液型不適合妊娠を対象とした。二施設の妊娠管理方針は、定期的に抗体価および胎児MCA-PSVの測定が行い、胎児MCA-PSV値が1.5MoM以上になれば、胎児貧血を疑い胎児採血を行った。そして、重症貧血を認めた場合は妊娠34週までは胎児輸血が行い、それ以降は分娩を行った。各症例の母体背景、抗体価の値、超音波計測値および新生児転帰についてデータを抽出し、以下について検討した。胎児重症貧血の頻度については、胎児輸血が必要になった症例数を算出した。また、妊娠中の胎児MCA-PSVの変化について、Mariの標準曲線に各症例の週数別MCA-PSV値をプロットし推移を検討した。更に、抗Jra抗体価によって胎児貧血が推測可能かどうかを検討するために、重症貧血になった症例とそうでない症例で、抗Jra抗体価の妊娠中最大値を比較した。統計学検討は、抗Jra抗体価値を二進対数に変換後、Mann-Whitney U testを用い、P値<0.05を有意差ありとした。

〔成績(Results)〕
 対象となった抗Jra抗体による血液型不適合妊娠は16症例であった。6例は重症貧血のため胎児輸血を必要とし、内2例は胎児水腫であったが輸血後21日目、30日目に胎児水腫が改善した。妊娠中の胎児MCA-PSVの推移について、重症貧血を認めた胎児は妊娠32週までにカットオフ値である1.5MoMを超えて上昇し、胎児輸血は27週から32週の間に行われた。胎児輸血を行った症例を含め、妊娠32週以降は胎児MCA-PSVの異常高値を認めなかった。2症貧血になった症例とそうでない症例で、抗Jra抗体価の妊娠中最大値に有意差を認めなかった(二進対数に変換後卯%信頼区間:3.3-11.3 vs, 1.9-10.1: P値=0.86)。全例が生存退院し、15症例が正期産で分娩が可能であった。出生後に輸血を必要とした症例はいなかった。

〔総括(Conclusion)〕
 Jra血液型不適合妊娠による重症胎児貧血は稀ではなかった。また、妊娠中の胎児MCA-PSVは、輸血が必要となった胎児でも、32週以降は重症貧血を示唆する1.5MoM以上にならなかった。更に、抗Jra抗体価によって胎児貧血の推測はできなかった。よって、Jra血液型不適合妊娠の管理は、抗Jra抗体価に関わらず胎児MCA-PSVによって胎児貧血の有無を観察する必要がある。また、他の血液型不適合妊娠と異なり、妊娠32週までに胎児輸血を行った症例においても、妊娠32週以降は貧血の進行はほとんどなく正期産での分娩が期待できる。