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大学・研究所にある論文を検索できる 「Septal Flash-like Motion of the Earlier Activated Ventricular Wall Represents the Pathophysiology of Mechanical Dyssynchrony in Single-Ventricle Anatomy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Septal Flash-like Motion of the Earlier Activated Ventricular Wall Represents the Pathophysiology of Mechanical Dyssynchrony in Single-Ventricle Anatomy

羽山, 陽介 大阪大学

2020.09.25

概要

〔目的(Purpose)〕
成人の正常二腔心において、左脚ブロックに伴う左室中隔の収縮後伸展運動(septal flash)は機械的非同期を代表する運動として知られる。しかし小児単心室症においては、多彩な心室形態異常を伴うため、機械的非同期を代表する運動やその重要性は十分に解析されていない。本研究では単心室症における機械的非同期を解析し、病的運動の同定ならびにその臨床意義について評価を行った。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
本研究は2013年4月から2017年3月の間に当院において、心臓カテーテル検査ならびに心室ストレイン解析を目的とした心臓超音波検査をそれぞれ1週間以内に行った単心室症患児を対象とした後方視研究である。QRS幅のZスコアが2以上(18歳未満)もしくはQRS幅が120ms以上(18歳以上)で定義される心室伝導障害を呈し、かっ姑息術(両方向性 Glenn手術もしくはFontan手術)を終えた者、計70名(年齢中央値14歳、女児25名)を対象とした。以下の3段階 (A,B,C)の解析プロセスを新規構築し、2D speckle trackingエコー法による機械的非同期の評価を行った。(A)主心室ならびに心室中隔や痕跡的心室を含むエコー図において、長軸方向ストレインの解析時に心尖+主心室自由壁の4 セグメントとその他の領域3セグメントとを別々に解析し、各々の収縮ビーク時間を比較することで収縮先行壁と収縮遅延壁とを決定した。(B)収縮先行壁のストレイン波形から、収縮運動パターンを、Grade1: 一峰,性収縮、Grade2: 駆出期に最大ピークを持っ二峰性収縮、Grade 3: 等容収縮期に最大ピークを持っ二峰性収縮(すなわち収縮後伸展運動)、と3段階の半定量評価を行った。(C)収縮先行壁のストレインから、QRS波形期間の最大ストレイン (Strain1, %)と駆出期のピークストレイン(Strain2, %)とを各々計測し、ストレイン比(Rstrains)=(100+Strain2) / (100+Straim)を計算した。この収縮先行壁におけるRstrainsは収縮後伸展運動の憎悪に伴い上昇する定量評価値である。心不全の重症度評価の代用アウトカムとして、血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値(対数化)ならびに心肺運動負荷検査における最高酸素摂取量(性別・体重補正による予測パーセント値)を測定した。また2018年12月までの死亡・予定外入院・再同期療法の導入を有害事象発生とした。加えて対象患者のうち2018年3月までに再同期療法が行われた6名に対し、治療6ヶ月以降に施行された心臓カテーテル検査ならびに心臓超音波検査を用い、治療前後の比較を行った。

まず非同期GradingおよびRstrainsの検者間ならびに検者内信頼性(n=25)の級内相関係数はいずれも0. 85以上であった。Grade1(36名)、Grade 2 (28名)、Grade 3 (6名)の順に、有意に低年齢、ΝΥΗA心不全重症度の上昇、QRS幅Zスコア上昇、利尿剤内服量の増加を認めた。非同期Gradingの上昇は血漿BNP値上昇と関連し(P<0.001)、有害事象発生を予測した(P<0. 001)。Rstrainsも血漿BNP値と正相関し(r=0. 69,p <0.001)、多変量解析においても心室拡張末期容積係数および房室弁逆流の程度と共に血漿BNP高値の主要規定因子であった。また最高酸素摂取量とも有意な負の相関を認めた(r=-0. 55, p <0.001)。本集団においてはRstrains 0,92をカットオフとしたとき強力に有害事象発生の増加を予測した(P <0.001)。例数が少なく統計学的評価を控えたものの、再同期療法を行った6名全例において、収縮先行壁の非同期GradingはGrade 2もしくは3からGrade1へ、Rstrainsは0. 92未満へ低下し、治療前Rstrains値は再同期療法後の収縮末期容積係数の低下率と関連した。

〔総括(Conclusion)〕
収縮先行壁における収縮後伸展運動は、多様な心内構造異常をもつ単心室症における機械的非同期の病態を反映した。この特徴的な運動は左脚ブロックに伴うseptal flashと酷似している。我々が提唱する機械的非同期の解析手法は、重篤な心奇形である小児単心室症に対して有効な再同期療法の適用評価法となることが期待される。また成人二腔心における機械的非同期の解析に対しても示唆を与える知見と思われる。