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大学・研究所にある論文を検索できる 「An Observational Study of Giant Molecular Clouds and High-mass Star Formation in the Milky Way by Radio Telescopes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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An Observational Study of Giant Molecular Clouds and High-mass Star Formation in the Milky Way by Radio Telescopes

Kohno, Mikito 河野, 樹人 名古屋大学

2020.04.02

概要

太陽の 8 倍以上の質量を持つ恒星は大質量星と呼ばれ、一生の最期に超新星爆発を起こし、星間空間に重元素を放出するため、その形成起源を明らかにすることは現代天文学における重要な課題である。これまでの観測的研究から大質量星は 104-107 太陽質量(M⊙)を持つ、巨大分子雲において誕生することが知られているが、その形成起源は未だ明らかとなっていない。

申請者は、まず規模の小さい 104-105 M⊙ の分子雲を持つ、赤外線バブル S44 とW33 複合体に対して、一酸化炭素分子 (CO) 輝線の電波観測を行い、付随する大質量星の形成起源として、分子雲同士の衝突による外的圧縮の重要性を指摘した。一方で、天の川銀河で最も質量の大きい 107 M⊙ にのぼる巨大分子雲複合体は、視野角が数平方度にわたることから、観測的制約が大きく、これまで研究が立ち遅れていた。

本研究では、∼ 107 M⊙ を持つ巨大分子雲複合体 W43 に着目し、野辺山 45 m 電波望遠鏡による銀河面サーベイ (FOREST Unbiased Galactic plane Imaging survey with the Nobeyama 45 m telescope: FUGIN)の一環として、12CO, 13CO, C18O 回転量子数 J =1–0 輝線による広域観測を行った。ジェームズ・クラーク・マクスウェル電波望遠鏡によって得られた 13CO J =3–2 輝線とスピッツァー宇宙望遠鏡による公開データも併せて活用し、W43 巨大分子雲複合体を詳細に調べ、分子雲の柱密度、質量の導出を行った。

解析の結果、W43 全体で、150 pc にわたる巨大分子雲の空間分布と、20-30 km/s にわたる広い速度幅の存在を明らかにした。また、 C18O によってトレースされる高密度ガスは、巨大分子雲内部の3 つの大質量星形成領域 W43 Main, G30.5, W43 South に局所的に存在し、柱密度∼1022-1023 cm-2, 質量 ∼ 105M⊙, 速度差 10-20 km/s の 2-4 つの視線速度の異なる分子雲で構成されることがわかった。各々の星形成領域で、分子雲と赤外線波長 8μm 放射が空間的に相関していることや、異なる回転準位間での輝線強度比の上昇が見られることから、複数の速度成分が W43 内部の大質量星に物理的に付随する可能性が高いことを示した。

分子雲同士の速度差は、∼ 105 M⊙ を自己重力で束縛するのには大きいため、付随する分子雲全体を束縛系として解釈するのは困難である。そこで申請者は巨大分子雲内部で、分子雲同士が超音速で偶発的に衝突し、局所的な圧縮が起こることで高密度ガスと大質量星形成を誘発する新たなシナリオを提案した。観測された質量と速度差から巨大分子雲の寿命である数千万年のうちに 3-4 回程度の頻度で衝突が起こり得ることを指摘し、シナリオの妥当性を示した。系外銀河の観測結果との比較から、W43 巨大分子雲複合体は、バーエンドと呼ばれるたて腕と棒状構造の接合部付近に位置するため、銀河規模での異なるガス流の収れんによって、分子雲同士の衝突頻度が高くなっている可能性が考えられる。さらに W43 を含む天の川銀河における分子雲衝突が示唆されている 62 個の大質量星形成領域の柱密度、分子雲間の速度差の相関関係を調べたところ、柱密度∼1023 cm−2、速度差 10-20 km/s の超音速衝突がスターバーストを誘発するための必要条件であることが示唆された。

参考文献

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[3] Mangum, J. G., & Shirley, S. 2015, PASP, 127, 266

[4] van, der, Tak, F. F. S., Black, J. H., Schoier, F. L., et al. 2007, A&A, 468, 627

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[7] シリーズ現代の天文学星間物質と星形成 福井康雄犬塚修一郎大西利和中井直正舞原俊憲水野亮編

[8] シリーズ現代の天文学別巻天文学辞典 岡村定矩家正則犬塚修一郎小山勝二千葉征司富阪幸治編

[9] 宇宙電波天文学 赤羽賢司海部宣男田原博人共著

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[11] 統計力学I 田崎晴明著培風館

[12] 統計物理学 川勝年洋著朝倉書店

[13] 星間物理学 小暮智一著ごとう書房

[14] 宇宙物理学基礎シリーズ 宇宙流体力学梅村雅之福江純和田桂一著日本評論社

[15j宇宙物理学基礎シリーズ 輻射輸送と輻射流体力学梅村雅之福江純野村英子著日本評論社

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