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大学・研究所にある論文を検索できる 「TRPM5 Negatively Regulates Calcium-Dependent Responses in Lipopolysaccharide-Stimulated B Lymphocytes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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TRPM5 Negatively Regulates Calcium-Dependent Responses in Lipopolysaccharide-Stimulated B Lymphocytes

坂口, 大起 大阪大学

2020.09.25

概要

〔目的(Purpose)〕
Bリンパ球の主たる機能としては抗原特異的な抗体産生がよく知られるところであるが、リボ多糖(LPS)刺激に反応 してインターロイキン6 (IL-6)をはじめとする炎症性サイトカインを産生し急性炎症にも関与することが報告されている,リンパ球におけるサイトカイン産生の分子機序はTリンバ球の方で解析が進んでおり、Tリンパ球ではCa2+応答依存的にサイトカイン産生が誘導され、さらにそのCa2+応答はCa2+反応性一価陽イオンチャネル(Ca2+-activated monovalent cation (CAM) channel)のひとつTRPM4による負の制御を受けている。Bリンパ球においてもCa2+応答は誘導され、さらにCAMチャネルのひとつTRPM5が発現していることも知られているが、その機能は明らかにされていない。我々はBリンパ球におけるTRPM5の機能的役割を探るベく、Ca2+応答やそれに関連するサイトカイン産生をはじめとしたBリンパ球機能との関連性を評価した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
まずマウス脾臓Bリンパ球を採取してLPS刺激を加え、フローサイトメトリーを用いて細胞内Ca2+濃度および膜電位の変化を評価したところ、ともに有意な上昇を認めた。TRPM5欠損マウスを作製し、同様に脾臓Bリンパ球にLPS刺激を加えると、野生型に比し膜電位の上昇は抑制された一方で細胞内Ca2+濃度上昇は亢進し、その傾向はNa+を含まない培養液中では消去されたことから、Bリンパ球のTRPM5はLPS刺激に伴うCa2+応答に反応してNa+流入依存的に脱分極を誘導し、Ca2i応答を負に制御していることが示唆された。
Bリンパ球においてCAMチャネルとしての機能発現が示されたTRPM5のBリンパ球機能との関連性を評価すべく、次に野生型とTRPM5欠損マウスとで脾臓Bリンパ球の増殖能を、トリチウム標識チミジンを用いて比較した。TRPM5欠損細胞ではLPS刺激に対する増殖反応が亢進しており、中でもLPSを含むTリンパ球非依存的抗原の認識を主に担うとされる辺縁帯Bリンパ球において特に顕著な亢進が認められた。TRPM5欠損に伴うCa2+応答の亢進が辺縁帯Bリンパ球における遺伝子発現プロファイルに変化をもたらしている可能性を考え、次にRNAシークエンシングによってLPS刺激下における辺縁帯Bリンパ球の遺伝子発現を網羅的に解析した。野生型の辺縁帯Bリンパ球において、LPS刺激によって最も発現が上昇する分子としてはIL-6が見出され、さらにその発現はTRPM5欠損細胞で有意に亢進していた。Upstream regulator解析から、IL-6の発現に関与する既知の転写因子の中でTRPM5欠損によって最も機能が亢進するものとして RelAが見出され、ウェスタンブロッティングによってその核内移行の亢進を、さらにクロマチン免疫沈降によってIL-6遺伝子ブロモーター領域への結合亢進も確認することができた。これらの結果からBリンパ球においてTRPM5は、LPS刺激により誘導されるCa2+応答の抑制を介して、RelA活性化とそれに続くIL-6産生ならびに増殖反応を負に制御していることが示唆された。
次にBリンバ球由来のIL-6産生ならびにTRPM5によるその制御機構と急性炎症との関連性を評価すべく、TRPM5欠損マウスに虫垂結紮穿刺およびLPS静注を施してエンドトキシンショックを誘導したところ、野虫型に比して血中IL-6濃度および死亡率の有意な上昇を示した。さらにこの差は辺縁帯Bリンパ球除去によって消失したことから、TRPM5を介した辺縁帯Bリンパ球由来のIL-6産生の抑制は全身性の急性炎症の制御に寄与することが示唆された。

〔総括(Conclusion)〕
TRPM5はBリンパ球においてLPS刺激により誘導されるCa2+応答に対し抑制的に作用し、敗血症に伴う急性の全身炎症反応の制御にも寄与していると考えられる。