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大学・研究所にある論文を検索できる 「光感受性亜鉛フタロシアニンをリン脂質ポリマーで内包した薬剤による光線力学療法の開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

光感受性亜鉛フタロシアニンをリン脂質ポリマーで内包した薬剤による光線力学療法の開発

西館, 智尋 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
光感受性亜鉛フタロシアニンをリン脂質ポリマーで内包した薬剤による光線力学療法の開発

東北大学大学院医学系研究科
医用情報技術科学講座
氏名 Name

保健学専攻

医用物理学分野
西館

智尋

光線力学療法 (PDT) は、光感受性物質 (PS) に光を照射することで光線力学的反応を誘導し、がん組織
傷害を誘導する治療法である。PDT は、他のがん治療法と比較して低侵襲で副作用が少なく、複数回行うこ
とができる点で有望視されている。PS が集積した腫瘍部位に光を照射すると、光線力学的反応により局所的
に活性酸素種 (ROS) が発生し、光照射した腫瘍部位のみを治療することができる。そのため、PS には高い
腫瘍特異性が求められる。
現在、がんに対する国内の PDT の PS は、第一世代のポルフィマーナトリウムと第二世代のタラポルフ
ィンナトリウムの 2 剤のみが承認を受けている。しかしこれらの薬剤は正常組織内の細胞小器官にも集積する
ため、腫瘍標的性が低かった。近年 PS として注目され、本研究で使用する亜鉛フタロシアニン (ZnPc) は第
二世代に分類され、高い抗腫瘍効果、低い副作用、安価であることが特徴である。しかし、ZnPc は水溶性が
低く、自己凝集する。そのため、この特性が ZnPc の PDT への応用を阻んできた。これまでの先行研究では、
ZnPc 自身の構造を変化させたり、様々なキャリアを用いて ZnPc をカプセル化して可溶化する方法が取られ
ている。ZnPc の構造変化は、可溶化と引き換えに ZnPc のオリゴマー化を誘導する可能性がある。ZnPc は単
量体で ROS 発生能を有すが、オリゴマー化によってこの機能が損なわれる。このため単量体の構造変化には
課題があった。またキャリアを用いて水溶性にする場合、適切な粒子径であれば、腫瘍血管の透過性亢進に起
因する EPR (Enhanced permeation and retention) 効果を利用できる利点がある。しかし EPR 効果を利用
できても、薬剤の腫瘍送達後は、腫瘍細胞内への薬物取込み能の向上が重要なポイントとなる。
本研究では、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) を一成分として持つ MPC ポリマ
ーの中でも、PMB30W に着目した。PMB30W は、親水基と疎水基を 3:7 の割合で持ち、疎水性物質を安定
して可溶化することができる。また、このポリマーは細胞膜のリン脂質二重構造を模しているため、細胞膜と
の 融 合 性 が 高 く 、 細 胞 内 へ の 効 率 的 な 取 込 み 能 が 期 待 さ れ た 。 ZnPc の PMB30W へ の 内 包 化
(ZnPc-PMB30W) は、有機溶媒に溶解させた ZnPc を水に溶解させた PMB30W 溶液に滴下していくことで作
製した。可視吸収スペクトルの測定結果から、ZnPc は PMB30W 内にモノマーの状態で内包されていること
が分かった。マウスのがん細胞を ZnPc-PMB30W で処理すると、ZnPc は PMB30W の働きで細胞膜を透過
し、モノマーとして細胞質に局在した。続いて、vehicle、PMB30W、ZnPc、ZnPc-PMB30W で処理した細
胞に対し、光照射の有無で細胞の生存率を検討した。その結果、光照射なしの条件では細胞の生存率に変化は
な く 、 薬 剤 単 独 に よ る 細 胞 毒 性 は な い こ と が 確 認 さ れ た 。 一 方 、 光 照 射 あ り の 条 件 で は 、 ZnPc と
ZnPc-PMB30W の間で細胞増殖抑制効果に有意な差が認められた。続いて、ZnPc-PMB30W の標的遺伝子を
調査するために薬剤投与時の mRNA の発現量のマイクロアレイ解析を行った。ZnPc-PMB30W の標的遺伝子
の中には、がん関連遺伝子が含まれていた。最後に、担癌マウスを用いて生体内での ZnPc-PMB30W の体内
動態を検討した。ZnPc-PMB30W をマウスに投与すると、EPR 効果を利用し全ての臓器の中で最も腫瘍に集
積することが分かった。以上の結果より、ZnPc-PMB30W は EPR 効果を利用して腫瘍部位に送達され、その
後細胞内に取り込まれることが期待された。また、本粒子は無毒であり、正常組織への集積も少なく、低濃度
で治療が行えるだけでなく、排泄性も確認されていることから、今までの PS よりも優れた点が多く、将来、
PDT の有望な PS として期待される。 ...

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