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大学・研究所にある論文を検索できる 「Reconstruction of open subschemes of elliptic curves in positive characteristic by their geometric fundamental groups under some assumptions」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Reconstruction of open subschemes of elliptic curves in positive characteristic by their geometric fundamental groups under some assumptions

Sarashina, Akira 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k22979

2021.03.23

概要

本論文は数論幾何学の論文であり、正標数代数閉体(より正確には有限体の代数閉包)上の代数曲線に対する遠アーベル幾何学を研究対象としている。遠アーベル幾何学は1980年代前半にGrothendieckが提唱した数論幾何学の比較的新しい一分野で、代数多様体の幾何(さまざまな幾何的不変量や、究極的には多様体そのもの)をその数論的基本群という非可換位相群から再構築しようとするものである。数論的基本群は、基礎体の絶対ガロア群の幾何的基本群による拡大群であり、また、幾何的基本群の中心自明性の仮定の下では、幾何的基本群の上の絶対ガロア群の外作用(外表現)を考えることと等価になる。標数0においては、位相的不変量である幾何的基本群は代数曲線のモジュライの情報をほとんど持っておらず、幾何的基本群のみから代数曲線の幾何を再構築することはできないが、正標数においては、幾何的基本群が代数曲線のモジュライに大きく依存することが知られており、幾何的基本群のみから代数曲線の幾何を再構築する可能性が残されている。実際、1990年代終わり頃の玉川の研究により、有限体の代数閉包の上の種数0の代数曲線の同型類は幾何的基本群から完全に決定されることが知られており、また、1990年代終わり頃から200 0年代初め頃のPop、Saidi、Raynaud、玉川らの研究により、有限体の代数閉包の上の一般種数の代数曲線の同型類が幾何的基本群のみから有限の可能性を除いて決定されることが知られている。

以来約20年近くの間、当該分野では目立った進展がなかったが、申請者の修士論文における研究では、(標数が3以上の)有限体の代数閉包の上の種数1、無限遠点の数1の代数曲線の同型類が幾何的基本群のみから完全に決定されることが示され、約20年ぶりに当該分野に大きな進展をもたらした。

本論文は、上記の申請者の修士論文の研究の延長線上にあるものであり、(標数3以上の)有限体の代数閉包の上の種数1、無限遠点の数が一般の代数曲線の同型類が、3条件(A1)(A2)(A3(r))を仮定すると幾何的基本群のみから決定されることを示したものである。仮定する条件のうち、(A1)は当該代数曲線のコンパクト化である楕円曲線の基本群の同型の幾何性に関するもの、(A2)は無限遠点の集合の(±1)対称性に関するもの、(A3(r))は楕円曲線のr倍写像から定まる当該代数曲線の被覆における (±1)対称性を支配する幾何的基本群の部分群の群論性に関するものである。これらはいずれも非自明な仮定であるため、本論文の主結果は最終的な到達点に達しているとは言えない。しかしながら、本論文の最大の貢献は、主結果の証明に用いた技法の開発にある。より詳しく言うと、本論文で申請者は有限体上の楕円曲線に関する一般的な考察を行い、有限体上の楕円曲線の加法と((±1)作用の商を取って得られる)射影直線内のアフィン直線の加法の関係について精密に研究することにより、楕円曲線の任意の閉点の適当なr倍被覆におけるある逆像のアフィン直線における像が、r等分点たちのアフィン直線における像の線形結合として表すことができることを証明した。楕円曲線を乗法群に取り換えた同様の命題が上述の玉川の種数0の結果の証明の技術的中核の一つをなしていたことを考えると、申請者が示したこの命題は、本論文の主結果の証明への応用にとどまらず、今後の当該分野の種数1における研究の技術的中核の一つとなることが期待される重要な結果であると考えられる。

なお、本論文の付録では、無限遠点の数が少ない特別な場合に条件(A3(r))を証明することに成功している。

参考文献

[1] A. Sarashina. Reconstruction of one-punctured elliptic curves in positive characteristic by their geometric fundamental groups. manuscripta mathematica, Vol. 163, No. 1, pp. 201–225, 2020.

[2] A. Sarashina. Reconstruction of open subschemes of elliptic curves in positive characteristic by their geometric fundamental groups under some assumptions. Thesis, 2020.

[3] A. Tamagawa. On the fundamental groups of curves over algebraically closed fields of characteristic > 0. Internat. Math. Res. Notices, Vol. 1999, No. 16, pp. 853–857, 1999.

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