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大学・研究所にある論文を検索できる 「Knock-in mice bearing constitutively active αIIb(R990W) mutation develop macrothrombocytopenia with severe platelet dysfunction」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Knock-in mice bearing constitutively active αIIb(R990W) mutation develop macrothrombocytopenia with severe platelet dysfunction

芥田, 敬吾 大阪大学

2020.04.30

概要

〔目的(Purpose)〕
 インテグリンaIIbβ3は巨核球・血小板系に特異的に養現している膜糖蛋白であり、フィブリノゲンと結合することで血小板凝集、血栓形成において中心的な役割を果たしている。先天性aIIbβ3欠损症は血小板無力症として知られ、重篤な出血傾向を呈するが、血小板数は通常正常であることから、aIIbβ3は血小板産生には関係しないと考えられてきた。ところが近年、先天性巨大血小板性血小板減少症の症例においてaIIbβ3の活性化変異が複数見出され、特に本邦においてはaIIb(R995W)変異を有する症例が多く認められることが明らかにされた。aIIb(R995W)ヘテロの症例では軽度〜中等度の血小板減少、血小板サイズの増大および血小板aIIbβ3養現の軽度養現低下(健常者の50-70%程度)が認められる。本研究ではヒトaIIb(R995W)変異に相当するaIIb(R990W)ノックイン(KI)マウスを作製し解析することで、aIIb活性化変異が血小板産生、血小板形態および血小板機能に及ぼす影響について解明することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 マウスaIIbのコドン990における1塩基置換を組み込んだターゲティングベクターを用いて、aIIb(R990W)KIマウスを作製した。KIマウスはメンデルの法則に従って誕生し、外見上は明らかな出血傾向を認めなかった。
 8週齢マウスの血小板数は野生型マウス(WT)122.0±10.9万/μLと比較し、ヘテロマウス110.0±14.4万/μL、ホモマウス91.3±11.3万/μLとKIマウスで有意に減少した。またフローサイトメトリーおよび固視法にて、KIマウスでは血小板サイズの増大を認め、巨大血小板減少を呈することが明らかとなった。血小板産生の指標となる網状血小板数はホモマウスで有意に低下しており、また抗血小板抗体により誘養した血小板減少からの回復はKIマウスで有意に遅延していた。さらにトロンボポエチン投与に対する血小板増加もWT、ヘテロマウスと比較しホモマウスで有意に障害されていた。ホモマウスでは軽度の血小板寿命の短縮を認めたが、これらの結果からKIマウスにおける血小板減少は主に血小板産生障害に由来することが示唆された。血小板産生障害の機序を明らかにするため、まず骨髄および脾臟組織標本における巨核球を検討したが、KIマウスにおいて巨核球数および形値に明らかな異常は認めなかった。また培養巨核球を用いて行ったploidyの検討においても、WTとKIマウスの間に有意な差異を認めなかった。一方、胎児肝細胞由来巨核球を用いたproplatelet形成の検討において、ホモマウスではproplatelet形成の有意な低下が認められた。以上の結果から、血小板産生低下は巨核球分化や成熟の障害ではなく、proplatelet形成障害が主因であると考えられた。
 血小板のaIIbβ3養現はヘテロマウスでWTの75%程度と軽度減少しており、ホモマウスにおいてはWTの3%程度と著明に減少していた。一方、巨核球のaIIbβ3発現はヘテロマウスでWTの80%程度、ホモマウスでWTの60%程度と減少の程度は血小板と比較し軽度であった。ヘテロマウスでは出血時間、血小板凝集、流動条件下での血栓形成などで評価した血小板機能はWTと同等であったが、ホモマウスでは出血時問の有意な延長、血小板凝集および流動条件下での血栓形成の著明な障害を認めた。

〔総括(Conclusion)〕
 aIIbβ3活性化変異aIIb(R990W)KIマウスは巨大血小板性血小板減少症を呈し、血小板減少の主因はproplatelet形成の障害にあることが示された。ホモマウス血小板のaIIbβ3養現が著明に減少し、血小板無力症様の血小板機能障害を示した。