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大学・研究所にある論文を検索できる 「DEVELOPMENT OF A PORCINE ACELLULAR BLADDER MATRIX FOR TISSUE ENGINEERED BLADDER RECONSTRUCTION」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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DEVELOPMENT OF A PORCINE ACELLULAR BLADDER MATRIX FOR TISSUE ENGINEERED BLADDER RECONSTRUCTION

出口, 幸一 大阪大学

2022.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
先天性疾患や腫瘍性疾患に起因する末期膀胱機能不全では,膀胱容量低下・膀胱コンプライアンス低下・神経因性膀胱を来たし,膀胱尿管逆流や尿失禁等の症状により患者QOLが著しく低下する.腸管を利用した膀胱拡大術は末期膀胱不全患者に対する膀胱再建術として標準的に行われており,多くの症例のQOL改善に寄与してきたが、一方で感染,結石形成,悪性化などの術後長期にわたる重大な合併症を来すことが指摘されており,代替手段の確立が必要である.脱細胞化法は,種々の天然由来細胞外マトリックスを作成する手法として注目されている.今回,天然由来脱細胞化膀胱マトリックスを作成するプロトコルを確立し,脱細胞化膀胱の構造的および機能的特性を検討することで,組織工学的に作成する新規代用膀胱の足場としての利用可能性を評価することを目的とした.

〔方法(Methods)〕
ブタ膀胱組織を用いて,蠕動ポンプとDe tergen卜Enzymatic Treatmentを用いた動的脱細胞化プロトコルを確立した.経尿道的カテーテルを膀胱内に挿入し,尿管は根部にて結紮した.脱細胞化には收Sodium deoxycholateと2000 kl) DNase-Iを使用した8時間の処理を1サイクルとし,必要サイクル数を最適化した.蠕動ボンプを用いて,脱細胞化液 を10ml/時で持続的に注入した.脱細胞化膀胱組織は,組織学的評価(Hematoxylin & Eosin, Masson Trichrome, Elastica van Gieson. Picosirius Red染色),爾子顕微鏡を用いた超微細構造(Scanning Electron Microscope, Transmission Electron Microscope),コラーゲン/グリコサミノグリカン/DNA定量化,生体力学的テストで多角的に
評価し,正常膀胱組織と比較した.さらに脱細胞化膀胱組織の膀胱壁コンプライアンスと血管新生特性(トリ絨毛膜[CAM]アッセイ)を評価した.統計学的検定はt検定を使用し,P値0.05以下を有意水準とした.

〔結果(Results)〕
脱細胞化膀胱組織の組織学的評価では,1サイクルの動的脱細胞化プロトコルにより細胞核成分は完全に除去され,一方で組織マトリックス構造や支配血管が保持されていることが確認された.超微細構造評価では,脱細胞化膀胱組織から細胞成分が除去された一方で,微細構造(粘膿,粘腹下組織,筋眉)が保持されていることが確認された.脱細胞化膀胱組織のDNA量は0. 01μg/mgで,正常膀胱組織のDNA量(0. 13 μg/mg)に比べて有意な低下を認めた(p<0.01).コラーゲン量は脱細胞化組織と正常膀胱組織で同等であり,グリコサミノグリカン量は脱細胞化により低下するものの組織内に保持されていた.脱細胞化膀胱組織は、引張強度(0.259±0. 022 vs 0. 116±0.006, respectively, p<0. 0001)と剛性(0. 00075±0. 00016 vs 0. 00726±0. 00216, ρ=0.011)が正常膀胱組織と比較して増加した.CAMアッセイでは,6日
後には新生血管数が有意に増加した(p<0.01).尿流動態検査では,脱細胞化膀胱組織は膀胱容量と膀胱壁コンブライアンスを維持または増加させた.

〔総括(Conclusion)〕
今回確立した動的脱細胞化により,構造的特徴を保持し,正常膀胱組織と比較して強度とコンプライアンスの高い脱細胞化膀胱組織の作成が可能であった.さらに,脱細胞化膀胱は血管新生誘導能を示した.本脱細胞化膀胱は,膀胱拡大術を必要とする患者のための新規組織工学的膀胱の足場として有用である可能性が示唆された.