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淡明型腎細胞癌に対するERK5阻害は有望な治療標的である

菅野 秀典 山形大学

2020.03.31

概要

背景と目的:腎細胞癌(renal cell carcinoma: RCC)は腎の悪性腫瘍で最も頻度が高く、その 70-75%は淡明型腎細胞癌(clear cell renal cell carcinoma: ccRCC)である。ccRCC の 90%以上が von Hipple Lindau(VHL)遺伝子変異を有する。Extracellular signal-regulated kinase 5(ERK5)は細胞増殖や血管新生、抗アポトーシスに関わると考えられ、他癌種において治療標的としての可能性が示されている。近年、ERK5 は VHL タンパク質(pVHL)を介したプロセスで分解されることが明らかとなった。高率に VHL が不活化している RCC では ERK5が蓄積していると推定される。また、他癌種において ERK5 はマイクロ RNA である miR143 によって調整されているとの報告があり、RCC においても miR143 が ERK5 発現を制御している可能性がある。
本研究では、ccRCC における ERK5、miR143 の発現と機能の解析、および ERK5 が治療標的となるか、検討した。

方法と対象:2006~2012 年の間に当科で摘出された腎癌の臨床検体 250 例について抗 ERK5抗体による免疫組織染色を行い、臨床的検討を行った。miR-143 が ERK5 発現に関与するか確認するため pre-miR-143 を腎癌細胞株 A498 に導入し ERK5 の発現を検討した。臨床検体 48 症例について、定量的 RT-PCR 法により miR-143 の発現を検討した。siRNA 法、特異的阻害剤 XMD8-92 により ERK5 を阻害し、ウエスタンブロット法、細胞増殖アッセイ、アポトーシスアッセイ、A498 細胞株の腫瘍移植マウスモデルにより ERK5 阻害の効果を検討した。

結果:臨床検体での免疫染色にて、ERK5 強発現は 82 例(33.0%)で認め、ERK5 強発現群は発現無し/弱発現群と比較して生存期間と癌特異的生存期間が有意に短かった(log-rank test : p=0.0197, p=0.00271)。腎癌細胞株 5 株のなかで 2 株が ERK5 強発現しており、その 2 株は VHL変異をもち、かつ miR-143 発現が低い傾向があった。さらに臨床検体 48 例では、miR-143 低発現群、正常・高発現群における ERK5 強発現症例の割合は、それぞれ 64.3%、29.4%で、 miR-143 低発現症例において ERK5 強発現症例が多かった(p=0.0491)。また、miR-143 低発現株 A498 に pre-miR143 導入したところ ERK5 発現低下が見られた。siERK5 法でノックダウンすることで p21 の発現亢進、Bcl-2 発現低下を認めた。XMD8-92 を用いて A498 細胞株を処理することで、ウエスタンブロッティング法で XIAP、Bcl-2 の発現低下、cleaved PARP を確認した。また XMD8-92 処置によって、細胞周期における subG1 期が増加したことをフローサイトメトリーで確認し、アポトーシスアッセイにて容量依存性にcaspase3/7 の発現増加を確認し、 MTS 法にて細胞生存活性が低下したことを確認した。A498 細胞異種移植マウスにたいして XMD8-92 腹腔内投与を行ったところ、19 日後にコントロール群に比して腫瘍サイズが縮小したことを確認した。

結論:ccRCC において、VHL 不活化と miR143 低下により ERK5 発現は亢進する。ERK5 強発現 ccRCC において、ERK5 阻害は新たな治療戦略となりうる。

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