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大学・研究所にある論文を検索できる 「閉経モデルマウスのRANKL上昇はNIK/NF-κB 経路を活性化して肥満を引き起こす」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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閉経モデルマウスのRANKL上昇はNIK/NF-κB 経路を活性化して肥満を引き起こす

森, 馨代 MORI, Kayo モリ, カヨ 九州大学

2022.09.22

概要

肥満によって増大する脂肪細胞は、炎症性サイトカインを分泌し、脂肪組織や肝臓などの末梢臓器に慢性炎症を引き起こす。この肥満による慢性炎症は生活習慣病の病態の基盤となることが知られる。一方、閉経後の女性では、内臓肥満をきたしやすく代謝障害を起こすリスクが高まることが報告されているが、閉経後の内臓脂肪蓄積のメカニズムは十分には解明されていない。

転写因子 nuclear factor-kappa B(NF-κB)は、炎症反応や免疫応答に関する遺伝子の発現を調節する。NF-κB は、IL-1βや TNFαなどの炎症性サイトカインにより inhibitor of κB(IκB)kinase β(IKKβ)の迅速な活性化とそれに続く IκBαの分解を介する古典的経路とLTβ や CD40L などのリンパ節形成に関わるサイトインにより NF-κB -inducing kinase(NIK)の活性化を介して数時間かけて活性化される非古典的経路がある。Receptor Activator of NF-κB ligand (RANKL)は、閉経後女性と類似した内分泌環境を模倣する卵巣摘出(ovariectomy, OVX)マウスの血清中で発現が上昇し、さらに NF-κB の 2 つの活性化経路を活性化することが知られている。本研究では、OVX マウスモデルを用いて、閉経による RANKL/ NF-κB 経路の活性化が、白色脂肪組織に慢性炎症を惹起し、脂肪蓄積を引き起こす可能性を検討した。

野生型マウスの骨髄細胞を RANKL で刺激したところ、TNFαの mRNA 発現が刺激後 2時間および 24 時間の2相性に亢進した。RANKL 刺激 24 時間後の Tnfa の発現上昇は、古典的経路の阻害剤(BAY11-7082)を用いても抑制されず、NIK の機能欠失型点変異により、非古典的経路の活性化が選択的に障害された aly/aly マウス骨髄細胞を RANKL で刺激した場合にのみ抑制されることから、RANKL 刺激 24 時間後の Tnfa の発現上昇には、NF-κB 非古典的経路が関与していることが示唆された。そこで、aly/aly マウスに OVX を施した後、高脂肪・高ショ糖食を自由摂餌下で飼育して炎症惹起・脂肪蓄積との関連について解析した。野生型の対照群 OVX マウスでは、OVX 後 10 週の間に脂肪細胞の肥大、脂肪組織の炎症、肝臓への異所性脂肪蓄積が起こり、インスリン抵抗性、耐糖能異常を示したが、aly/aly マウスでは、OVX によって野生型同様に血清 RANKL 濃度は上昇したにも関わらず、野生型で認めた肝臓の脂質蓄積と脂肪細胞肥大、脂肪組織におけるマクロファージ浸潤と Tnfa の発現上昇は認められず、全身の糖代謝もほぼ正常であった。

本研究から、OVX によるエストロゲンの減少が血中 RANKL 濃度の上昇を引き起こし、RANKL/ NF-κB 非古典的経路の活性化を介して白色脂肪組織などの末梢の単球/マクロファージの炎症を惹起し、肥満とそれに伴う糖代謝異常を引き起こすことが明らかとなった。閉経後の女性でも RANKL/ NF-κB 非古典的経路の活性化は、内臓脂肪蓄積の一因となることから、NIK を新たな分子標的とする肥満症の改善薬開発に繋がる可能性がある。

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