特徴に応じ土壌層位を分けて命名 : 深いところまで理解することには意味がある
概要
特徴に応じ土壌層位を分けて命名 : 深いところ
まで理解することには意味がある
著者
雑誌名
巻
号
ページ
発行年
URL
谷 昌幸
ニューカントリー
68
7
58-59
2021-07
http://id.nii.ac.jp/1588/00004730/
い る 土 壌 層 位 が 観 察主 れ
が 水平 方向に 積 み重 な っ て
粒の 大き さ な ど が 異 な る 層
した り、 い わ ゆる 土壌 生 成
ある 一定の深さ の所で 集 積
一部 が 溶け 出して移動し、
ら 鉄 やア ル ミ ニウ ム な ど の
物 質 が 蓄 積 し た り 、 鉱物 か
も ので ある 。
土 壌 の 「 履歴 書」 の よ う な
推理 し て い る 。 土 壌 層 位 は
を 及ぼ し て い る の か な ど を
農 耕利 用が ど の よ う な 影 響
O 、A 、B 、
Cの4 主 層
’uv
る が 、あまり 使 うことはな
以 外 に E層 やR 層 な ど も あ
土 壌 断 面 に は 色 、 堅さ 、
る 。 土壌 断 面調 査で は 、 そ
作 用に よ っ て 土 壌 層 位 が で
部 分的 に 分解 さ れた 有 機物
O層は、未 分解も しく は
れぞ れの 土壌 層 位を じ っ く
きる。
数 字で
小 文字、
大文字、
り と 観 察 し 、 そ の 特 徴に 応
る と と も に 、 そ れぞ れの 層
よって層位がでさることも
ゆ る 風 化 作 用や地 質 変 動 に
面の 上に 出 でき た り 、い わ
が 地 表 面に 降 り 積 も っ て 断
る 場合 に は 、 新しい 火山 灰
り 、 火山 灰 から 土壌 が で き
位が 断 面の 下に 残 っ て い た
だ け で 土壌 化 して い ない 層
が で き る 場合 は 、 風化 した
断 面調 査 の 記 録 を 読 み取 っ
学 者 ) が 行っ た 過 去の 土壌
な い 。 た だ 、 マ ニア ( 土 壌
層 位 の 名 前 を 付 け る 必 要は
穴を 掘 っ て 観 察 す る 分 に は
ち ろん 、生 産 者の 皆さ ん が
に 応 じて名前 を 付ける。も
録す る と と も に 、 そ の 特 徴
深 さ を メ ジャー で 測 っ て 記
して 土壌 層 位を 分け 、 そ の
した 断 面を じ っ く り と 観 察
A 層 が あ る が ( 図 1 )、 耕
に O層 が あり 、そ の直下に
ど の 自然 土 壌 で は 、 地 表 面
に 似て い る 。 森林 や草 原 な
的 に は 腐 葉土と 呼 ば れる 層
と れ ら 全体 が O 層 で 、 一
般
り 分解 さ れて い た り する 。
て みる と カ ビ が 生 え て い た
れて い な い が 、 少し め く っ
り 、 表 面は ほ と ん ど 分解 さ
れ た枝 な ど に覆 わ れ て お
森林 の 地 表 面 は 落 ち 葉 や枯
か ら 成 る 有 機質 層 で ある 。
位 に 名 前( 記 号 ) を 付 け
ある。
た り 、 そ の 土 壌 の 特 徴を 最
土 壌 断 面 調 査 で は 、 整形
る
土 壌 が 長 い 時 間を か け て
なんだか難しそ うに 聞こ
起作 業 を 行 う 水 田 や 畑 で は
一方 、 岩 石な ど か ら 土 壌
で き る 過 程で 、 地 表 面 か ら
え る か も し れな い が 、 土壌
大限 に 理解 した り する 上 で
基本的に存在しない。
じていく つ かの層 位に 分け
植 物 遺体 な ど の 有 機物 が 供
は 自然 界 の さ ま ざ ま な 作 用
は、 知っ て お い て も 損 は な
土壌 層位 がで きる わ け
給さ れ て 暗 色 や 黒 色 の 腐 植
を 受け て つ く ら れ て き た も
い の で は な い だ ろう か 。
昌幸
化 し 、そ の 結 果が 水 平 方 向
わることによってさ ら に変
字 、 そ し て 数 字 を 組み合 わ
フ ァベ ッ トの 大 文 字 と 小 文
土壌 層 位の名 前 は、 アル
( 図 1)。 有 機 質 主 体 の O
め、暗 色ない し黒 色を 示す
る
べる と 有 機 物 が 多 い 。 地 表
だ が 、 B 層 やC 層 な ど と 比
を含 む た
に 積 み重 な る 土壌 層 位 と し
せ て 付 け る。 第 1 段 階 で
的%以 上 を 占 め る 無 機質 層
層 と は 違 っ て 、無 機物 が 約
主 層 位 名 はO層 、 A 層 、 B
面に 形 成さ れた A 層 の 上 に
H
て 表 れて い る の で ある 。
は 、 ア ル フ ァベ ッ トの 大 文
から 、ど のよ うに して生成
層 、 C 層 の4種類 で 、 こ れ
例え ば 、 A P 層 の 直 下 に
N
逆に 言 え ば 、 土 壌 層 位 を
ば れる 名 前 を 付け る 。 主な
字 を 使 っ て 「 主層 位 」 と 呼
し て き た の か 、 人 聞に よ る
で 、 母 材 が 不 連続 な こ と を
してB 層ができ ることが多
と 呼ぶ こ と が 多 い 。
新しい火山 灰など が 降 り 積
は2C 層 が 厚 く 堆 積 し て い
い 。 わが 国 のよ うに 比 較的
層 が 口(〉同me/1 00d7
示すた めに 主層 位の前 に 数
も った とき は 、断 面の 下層
な の に 対 し 、2C 層 は3 ・
るが、こ の 層 位の 陽 イオ ン
若い 土 壌 が 多 い 地 域で は 、
先月号で 紹 介 した 標 茶町
深 さMW
れよ り 下 に は 、
JrJ
9me/1 004 と 著 し く
字を 付 け て2C 層 と 命 名 す
に 過 去の A 層 が 観 察 さ れる
相対 的 に 酸 化 し た 鉄 や ア ル
虹別 の 採 草 地 で 調 査 し た 火
カ ム イヌ プ リ 岳 から 噴出 し
低 い 。 サブ ソ イ ラ やプ ラ ウ
山 の 近 く で 頻 繁に 火 山 灰 が
い な い 無 機質 層 で ある 。火
壌 構造 が ほ と ん ど 発 達して
響を ほ ぼ 受 け て お ら ず 、 土
い る が 、 土 壌 生 成 作 用の 影
C 層 は 風 化 作 用は 受け て
起 で 混合 さ れ て い る 層 位 で
り 、 プ ラ ウ 耕に よ る 反 転 耕
問自 lhHと か ら で き て お
し い 火 山 灰 ( 問自 lN Oと
ら 噴出して降り積もった新
0年 前 に カ ム イ ヌ プ リ 岳 か
い ま で の 黒 い 部 分 は 、 35
表 面 か ら 深 さ 幻弓 好 く ら
化 から 層位の前 の数字が増
/C層 と 名 付 け 、 母 材 の 変
く 入 り 混じ っ て い る 層 は A
山 灰 層 はC層 、 こ れ ら が 薄
A 層 、 土壌 化 して い ない 火
腐植物質が多くて黒い層は
( 同日 lご ) が 観 察 さ れ 、
同日lo)、1 8 5 0 年 前
1 1 5 0 年 前 ( 問自 l仏と
0 年 前 ( 問自l
σと 同日ーの)、
係数 が1 500 未 満 、2C
王層 位 で リ ン 酸 吸 収
ため、 八
しい火山 灰から でき ている
リ 岳 か ら 噴 出 し た 非 常に 新
で は ど の 層 位も カ ム イヌ プ
ま た 、 深 さ1 20 号釘 ま
大き く 崩 れて しま う 。
和度 や陽 イ オ ン バ ラ ン スが
Cが 一 気に 下 が り 、 塩基 飽
入 さ せる と 、 A P 層 の C E
な ど で A P 層 に2C 層 を 混
火山放出物未熟土の層位
場 合 も あ り 、 埋没 A 層 と か
ミ ニウ ム が 集 積 し て 黄 色 あ
山 放出 物 未 熟土の 土壌 断 面
が 積 み 重 な っ て お り 、75
た 年 代が 異 な る 火 山 灰 の 層
交換 容 量 ( C E C ) は A P
埋没腐 植 層 と 呼 ば れ る ( 図
る い は 赤 色を 呈して お り 、
で は 、 表 面 か ら 深 さ1 20
など が移動して集積した無
な 地 域の 土壌 断
降り積もるよう
フラウ耕
あ る。 A 層 が。
Mの
え 、 深 さ1 2 0JrJ
層 や4C 層 な ど は500 未
2 )。
弓 Mまで 刊層 の土壌 層 位に
機質 層 で ある 。 い わ ゆる 土
面で は 、A層の
( ロ宮司) に よ る 人 為 的 な
同日ーに 火 山 灰 か ら で き た
満 で ある 。火山 性 土の 名 前
(Km-2a、Km 4a)
2C (Km-4a)
3 A/ 3 C (Km-b)
4A (Km-c)
4C (Km-c)
5A (Km-d)
5C (Km-d)
6 A/ 6 C (Km-e)
7 A (Km-lf)
分 け ら れ る ( 図2)。
壌 生 成 作 用を 受け る と 、 さ
下に ほ とんど 土
撹 乱 で 混合 さ れ て い る の で
層 位は7 A層 と命名 する 。
有 機 物 、 鉄、 ア ル ミ ニ ウ
まざまな物質が移動して、
壌 化 していない
小 文 字 の P を 付 け 、牧 草 の
(Km-2a、Km-4a)
ム 、 粘土 、 炭酸 カ ル シウ ム
ある 一定の深さ の所で 集 積
火山 灰層 が あり
根 が 集 中 し て い る 深 さ 8弓
酸 が 過 剰 と な っ て 牧 草 や作
入 れ 過 ぎる と 、 有 効 態 リ ン
こ ん な マ ニア ッ ク な こ と
物 の 養 分バラ ン スが 偏 り 品
かくらん
( 図 2 )、 と の
れ ま で と そ れ以 深 を 区 別
に だ ま さ れて リ ン 酸 肥 料を
よ う な 層 位 をC
し 、AP1 層 とAP2 層 に
を 説 明さ れ て も 、 実 際 の 土
質が低下してしまう。
実際の営農に役に立つ
層 と 呼 ぶ。 ま
分け ている 。
役に も 立 た な い と 思 っ て い
壌 改 良 や肥 培管 理 に は 何 の
ができる場合
積物から 低地 土
れて き た 河 川堆
ωの み か ら で き 、 A
のでC 層となる。この層は
化 が ほ と ん ど 進ん で い ない
火山 灰 が 厚く 堆積 して 土壌
ぽ い 部 分 ( 同日
す る こ と は 、 非 常に 大き な
で の 成 り 立 ち ゃ 特 徴を 理 解
と こ ろが 、 土壌 の 深 い 所ま
る 方も い る かも しれない 。
が だ ろう 。
た 方が 良い と 思う が 、い か
知ら ないよ りは知ってお い
深 い 所 の 成 り 立 ち ゃ 特 徴。
大 き な 影 響を 及 ぼ す 土 壌 の
土 壌 の 化 学 性 や物 理 性 に
) は、
lhTW
Mの 灰 色っ
深 さ ni M川dんJ
も、 土壌 化 が ほ
同日
意味 が あ る 。
l品
とん ど 進ん で い
P層とは母材が異なるの
図
ない層位はC 層
で 上流 から 運ば
た 、河 川の 近く
Ap2
( 図 1)。
を B 層 と 呼ぶ こ と が 多 い
る。
腐植物質
がど のような母 材(材料)
観 察 する と と で 、 そ の 土壌
れ 、腐 植 化 し た 有 機物 で あ
A層は地表面に形成さ
の だ 。そ と に 人 間の 力 が 加
たに まさゆき
1995年筑波大学大学院農学研究科
修了。 博士(農学)。 同年帯広畜
産大学畜産学部助手、2003年同大
助教授、15年から現職。1968年大
阪市生まれ。
谷
かつ 土壌 構造 が 発 達した 層
帯広畜産大学
グロ ー バルアグロメディシン
研究センタ ー 教授
B 層は基本的にA層の下
深いところまで理解することには意味がある
に 形 成さ れ、 上 下 の 層 か ら
特徴に応じ土壌層位を分けて命名
Apl
58
ニュ ー カントリ ー 2021. 7
ニュ ー カントリ ー 2021. ...