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大学・研究所にある論文を検索できる 「Sunitinib promotes apoptosis via p38 MAPK activation and STAT3 downregulation in oral keratinocytes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Sunitinib promotes apoptosis via p38 MAPK activation and STAT3 downregulation in oral keratinocytes

深田 翔平 広島大学

2022.03.23

概要

分子標的薬スニチニブは,血管内皮増殖因子受容体(VEGFRタイプ1および2),血小板由来増殖因子受容体(PDGFR-αおよびPDGFR-β)などのチロシンキナーゼ受容体の阻害剤で,転移性腎細胞癌患者の第一選択薬として広く使用されている。一方,スニチニブを投与された患者の 10%から50%に口内炎,歯肉出血,粘膜治癒不全,味覚障害,口腔乾燥など,様々な口腔に関連する有害事象を認めることが知られている。中でも口内炎はスニチニブを投与されている患者に高頻度で発症し,他のチロシンキナーゼ受容体阻害剤と比較して増悪のグレードが高いことが報告されている。しかしながらスニチニブが口腔粘膜に及ぼす細胞障害のメカニズムに関する報告はない。そこで本研究は,口腔粘膜へのスニチニブの影響を明らかにするため,口腔粘膜上皮細胞におけるスニチニブの細胞傷害やアポトーシス誘導に対する影響,およびそれらのシグナル伝達経路について解析した。

 まず,不死化口腔粘膜上皮細胞RT7と初代培養口腔上皮細胞にスニチニブを含む各種チロシンキナーゼ受容体阻害剤を添加し,細胞上清から乳酸脱水素酵素(LDH)の放出による細胞障害を測定した。またRT7にスニチニブを添加し,TUNEL法によって染色し,蛍光顕微鏡とフローサイトメトリーにて断片化されたDNAを検出した。スニチニブの添加によって誘導されるアポトーシス関連タンパクの発現をウェスタンブロッティング法にて検討した。FITC標識 AnnexinV/PI染色で同定されたアポトーシス細胞の比率をフローサイトメトリーによって解析した。さらにスニチニブ添力卩によるMAPK Family, STAT3のリン酸化や,スニチニブ誘導性の細胞障害やアポトーシスに対するそれらシグナル伝達経路阻害薬の影響をウェスタンブロッティングや,LDH assay, AnnexinV/PI染色にて検討した。

以上の実験によって,以下の結果が得られた。

1. スニチニブの添加によってRT7,初代培養口腔上皮細胞から各種チロシンキナーゼ受容体阻害剤添加より高いLDHの放出を認め,細胞障害が示された。
2. RT7へのスニチニブの添加によってDNA断片化,AnnexinV陽性細胞の増加を認め,アポトーシスが誘導されることが示唆された。
3. スニチニブの添加によってアポトーシス関連タンパクであるPARPの発現増加,Caspase-3の活性化を認めた。一方,抗アポトーシスタンパクであるBcl-2の発現が抑制された。スニチニブによってアポトーシス内因経路関連タンパクcaspase-9の活性化が認められたが,外因経路関連タンパクcaspase-8の活性に変化は認められなかった。
4. スニチニブの添加によってρ38ΜΑΡΚのリン酸化が誘導された。一方,ERK,JNKのリン酸化は認めなかった。ρ 38 ΜΑΡΚ阻害剤SB 203580 による前処理は, スニチニブ誘導性のP38MAPKのリン酸化を抑制した。
5. スニチニブの添加によって定常状態で誘導されるSTAT3のリン酸化が抑制された。SB203580はスニチニブで抑制されたSTAT3のリン酸化を増加した。
6. SB203580の前処理はスニチニブ誘導性のLDHの放出を抑制した。さらにSB203580の前処理によってスニチニブで増加するアポトーシス細胞の割合が低下した。

 以上の結果より,スニチニブは,口腔粘膜上皮細胞におけるp38MAPKのリン酸化を誘導し, STAT3の活性化を抑制することによって,細胞障害やアポトーシスを誘導することが明らかになった。p38MAPK阻害剤はスニチニブによる細胞障害やアポトーシスの誘導を抑制することが示された。スニチニブに関連する口内炎などの口腔の有害事象は口腔粘膜上皮細胞に対するスニチニブの細胞障害性やアポトーシス誘導が関連している可能性が考えられた。

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