地域包括ケア病棟における認知症ケアの多職種連携モデル
概要
目的:地域包括ケア病棟に入院する認知症高齢者が抱える現状と課題、ならびに認知症高齢者ケアの協働・連携の実際から、認知症ケアの多職種連携モデルを明らかにする。
方法:2018年I2月から2019年3月に地域包括ケア病棟を有する3つの病院で働く専門職にフォーカス・グループ・インタビュ-(FGI)を行い、質的帰納的に分析しコードとカテゴリーを統合しコアカテゴリーを抽出した。調査対象者が所属する病院については、地域包括ケア病棟の入院料・管理料Iならびに認知症ケア加算Iを取得している200床以内の病院を選定した。調査対象者の条件は地域包括ケア病棟で配置が決められている看護職とリハビリ専門職、ならぴにM汀の3職種は必ず参加するように調整した。それ以外の専門職については、病院に一任した。
結果:研究対象者は19名であり、属性は看護師5名(26.3%)、MSW4名(21.1%)、リハビリ専門識(理学療法士2名、作業療法土2名)4名{21.1%)、薬剤師3名(15.8%)であった。その他、管理栄養士、臨床検査技師、介護福祉士が1名ずつであった。性別は、男性4名、女性15名であり、年代は40代が9名で最も多く、次いで30代5名、50代4名、60代1名であった。「地域包括ケア病棟に入院する認知症高齢者が抱える現状と課題」では8コアカテゴリー【複雑化する地域包括ケア病棟lI認知症ケアの難しさ.][認知症を理解できない家族](退院支援の困難さ]【必要なエネルギー量の不足l[薬物の調整の難しさ]【抑制等の倫理的課題に関するジレンマ】[多職種連携の阻害要因】、「認知症高齢者ケアの協働・連携の実際」では8コアカテゴリー[多謙種で対応する危険行動][多職種で取り組む食事支援][多職種で検討する薬剤評価と薬の使い方][多職種協働による日中の活動量増加へのアプローチ][多職種で取り組む集団的アプローチ][多織種で学ぶ認知症と地域・在宅][多職種で行うエンパワメント][多織種で取り組む在宅支援]であった。
結論:地域包括ケア病棟における認知症患者の現状と課題として8コアカテゴリー(19カテゴリー)と認知症ケアの多職種による協働・連携の実際として8コアカテゴリー(13カテゴリー)が見出された。これらのカテゴリーを用いて多職種連携モデルの槻能と実践内容を検討した。その結果、看護職、リハビリ専門職、MSW、薬剤師、管理栄養士、介護福祉士の6専門職で構成し、「家族応対機能」「ADL維持・向上機能」「職員教育とエンパワメント機能」で認知症ケアを展開することで、より良い多織種連携が期待できる。