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大学・研究所にある論文を検索できる 「脊椎脊髄領域の高分解能CTを用いた画像診断に関する研究 : アダムキュービッツ動脈の同定および骨転移の検出に関して」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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脊椎脊髄領域の高分解能CTを用いた画像診断に関する研究 : アダムキュービッツ動脈の同定および骨転移の検出に関して

星合, 壮大 筑波大学

2021.07.26

概要

序論:
 脊椎脊髄領域に起こる様々な疾患は、運動障害や感覚障害、疼痛などの重大な神経障害を起こしうるので、これらの疾患を正確に把握することが必要である。本研究では、高分解能CT 画像を用いて、脊椎脊髄領域の画像診断に関する検討を行った。まず、脊髄動静脈シャント疾患患者のアダムキュービッツ動脈の造影 CT による描出に関して検討し、続いて、コンピュータ支援システムによる独自の手法を用いて骨転移の検出に関して検討した。

脊髄動静脈シャント疾患における CT を用いたアダムキュービッツ動脈同定の検討:
【背景】
 脊髄動静脈シャント疾患の治療計画を立案する上で脊髄の栄養に関与する重要な血管であるアダムキュービッツ動脈の同定は不可欠である。しかしながら従来の脊髄前面の特徴的なヘアピンカーブに着目する手法ではシャント疾患に伴う拡張した静脈が脊髄周囲に多数あるため CT血管造影でアダムキュービッツ動脈を同定することは困難である。本研究ではアダムキュービッツ動脈が前根に沿って神経孔前方を走行すること、比較的径が大きいことに着目して、脊髄動静脈シャント疾患患者において CT 血管造影でアダムキュービッツ動脈が同定可能か検討した。
【方法】
 脊髄動静脈シャント疾患を有し、選択的脊髄血管造影および CT 血管造影の両方が施行された 7 人の患者を対象とし、2 名の放射線診断専門医による読影実験を行った。読影者は CT 血管造影画像を検討し、神経孔前方を走行する分節動脈から連続する血管をアダムキュービッツ動脈と見なした。
【結果】
 選択的脊髄血管造影により 7 人の患者で 9 本のアダムキュービッツ動脈が同定された。このうち読影者 1 では 7 本、読影者 2 では 6本のアダムキュービッツ動脈をCT 血管造影画像から認識することが可能であった。読影者 2 名の検出感度はそれぞれ 77.8%と 66.7%で、特異度、正確度、陽性的中率、陰性的中率はいずれも 85%を超えていた。
【考察とまとめ】
 脊髄動静脈シャント疾患を有する患者でアダムキュービッツ動脈を CT 血管造影画像から同定可能か検討するため、2 名の放射線診断専門医による読影を行った結果、CT 血管造影によるアダムキュービッツ動脈同定の平均感度は、72.3%であった。2 名の読影者の合算した正確度は 97.6%と高い結果であった。本研究で考案した手法は、脊髄動静脈シャント疾患の治療計画を立案するうえで有用と考えられる。

脊椎転移の検出における経時差分 CT 画像の有用性の検討:
【背景】
 脊椎の転移は四肢麻痺などの重大な傷害を及ぼす可能性があるので早期の正確な検出は、放射線診断医の最も重要な責務のうちの一つである。本研究では、経時差分 CT による骨転移検出に対する有用性の評価を行った。
【方法】
 40 人の担癌患者の過去画像と現在画像の CT のセットを用いた。これらの患者のうち、20 人は過去画像から現在画像での経過のなかで新たな脊椎転移が出現した症例である。残りの 20 人は、脊椎転移のない担癌患者でありコントロール群とした。過去画像から現在画像にかけて CT 値が上昇した場合には青色、低下した場合には赤色で表現される。1) 放射線診断専門医 2 名で経時差分 CT による骨転移の描出性について excellent、good、poor の 3 段階で検討を行った。2) 放射線診断医 5 名、放射線科レジデント 5 名による読影実験を行った。1 回目のセッションでは現在 CT と過去 CT のみを供覧し脊椎転移の検出を要請した。 2 回目のセッションは、これに加えて経時差分 CT の参照を可能とした。各セッションの読影時間の評価も行った。
【結果】
 1) 2 名の放射線診断医の描出性評価では、56 の脊椎転移のうち、excellent 41 病変(73%)、good 13 病変(23%)、poor 2 病変(4%)であった。
 2) 脊椎転移の検出に関す る読影実験の結果は JAFROC 解析で得られた FOM により表現される。 放射線診断専門医グループの全体の読影結果のFOM は経時差分CT なし の読影セッションで 0.898、経時差分 CT ありの読影セッションで 0.892 であった。レジデントグループでは FOM は、経時差分 CT なしの読影セ ッションで0.849、経時差分CT ありの読影セッションで0.902 であった。 いずれも両者に有意差があるとは言えなかった。椎弓病変の検出に関して、レジデントグループでは経時差分 CT 画像を参照したことにより、FOM が 0.755 から 0.922 に上昇し、統計学的に有意差が見られた(P=0.001)。読影時間は、いずれの読影グループでも統計学的な有意差はみられなかった。
【考察とまとめ】
 本研究では現在と過去の CT の組み合わせから作成した経時差分CT 画像を用いて、脊椎転移の描出性について検討を行った。その結果、2 名の評価者による骨転移の描出性の評価で、ほとんどの骨転移は良好に描出されていることが分かった。また、読影実験の結果、放射線科レジデントの読影では脊椎転移のうち、椎弓病変に関しては経時差分 CT 画像により、検出性が顕著に上昇し、経時差分 CT の有用性を示すことができた。

結論:
 脊髄動静脈シャント疾患のアダムキュービッツ動脈の描出、経時差分 CT 画像を用いた骨転移の描出を通じて、脊椎脊髄領域の高分解能 CT による画像診断に関する検討を行った。いずれの検討を通じても、本研究で提案した手法が今後の日常診療に役立つものと期待している。

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