Efficacy and safety of neoadjuvant chemoradiation therapy administered for 5 versus 2 weeks for resectable and borderline resectable pancreatic cancer

概要

［背景］近年切除可能膵癌および切除可能境界領域膵癌に対する術前治療の有効性が多く報告され,
膵癌に対する術前治療は世界的に標準治療となってきている. しかしながら、術前治療のプロトコールについて,未だ標準化されたものはない..
［方法］2016年6月から2019年12月までの期間において切除可能および切除可能境界領域膵癌に対し,当院倫理委員会承認のもと( H 26 - 16 ) , 前向き臨床試験として5 週間( 50 GyおよびS 1 内服) の術前化学放射線療法( NACRT) を65 例に行った( UMIN- CTRnumber 000035232 ) . また, 2009 年9 月から2016 年5 月までの期間で2 週間( 30 GyおよびS 1 内服) のNACRTを52 例に前向き臨床試験として行った( UMIN- CTR number 000026438 ) . 切除可能膵癌および切除可能境界領域膵癌に対する5 週間と2 週間のNACRTの有効性および安全性の違いについて検討した.

［ 結果］ NACRT完遂率は5 週間群と2 週間群で有意差は認めなかったが( 89 % vs 87 %, P = 0 . 656 ) , 切除率は5 週間群で有意に低かった( 85 % vs 96 %, P= 0 . 041 ) . NACRT中の主な有害事象, 手術時間, 出血量, R 0 切除率, 術後合併症や術後補助化学療法導入• 完遂率は2 群間で有意差は認めなかったが( P= 0 . 351 , P = 0 . 142 , P = 0 . 080 , P = 0 . 615 , P = 0 . 612 , P = 0 . 329 and P = 0 . 794 ) , NACRT前後のCAI 9 - 9値および
PDG- PET集積の変化, RECISTおよび切除標本の組織学的効果判定は5 週間群で有意に良好な結果であつた( P = 0.002, P < 0.001,P = 0.003 andP = 0.025). Intention to treat QTT)解析では2群間で全生存期間 ( OS) に有意差は認めず( P = 0 . 795 ) , 切除症例のOSおよび無再発生存期間( RFS) についても同等な成績であった( P = 0 . 297 and P = 0 . 059 ) . しかしながら, 切除可能性分類に分ftてサブグループ解析を行うと, 切除可能膵癌ではI T T 解析のO S , 切除症例のO S およびRF Sいずれも2 群間で有意差は認めなかったが( P = 0 . 148 , P = 0.400 and P = 0.609),切除可能境界領域膵癌ではITT解析のOS,切除症例のOSおよびRFSでいずれも有意差を認め, 5週間群で良好な成績であった( P = 0.030, P = 0.005 and P = 0.011).また, 年齢, 性別, B o d y m a s s i n d e x , 腫瘍の主座, 切除可能性分類, N A C R T 完遂率および切除率を共変量として傾向スコアマッチング法を用いて同様に5 週間群と2 週間群で比較検討を行った. 傾向スコアマッチング法による解析においても同様の結果であり, 切除可能膵癌ではITT解析のOS, 切除症例のOSおよびRFSいずれも2 群間で有意差は認めなかったが( P = 0 . 092 , P = 0 . 228 and P = 0 . 525 ) , 切除可能境界領域膵癌ではI T T 解析のO S , 切除症例のO S およびR F S でいずれも有意差を認め, 5 週間群で良好な成績であった(P = 0.014,P = 0.007andP = 0.005).

［結論］'切除可能膵癌および切除可能境界領域膵癌対する5週間のNACRTは2週間のNACRTと同様に安全に施行可能である. 切除可能境界領域膵癌に対しては5 週間のNACRTが2 週間のNACRTよりも予後が良好で有効といえるが,切除可能膵癌に対しては同等の結果である.