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書き出し

重み付き補間不等式および回転磁気流体方程式の数学解析

米田, 慧司 YONEDA, Keiji ヨネダ, ケイジ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Mathematical analysis for the weighted
interpolation inequalities and the rotating MHD
equations
米田, 慧司

https://hdl.handle.net/2324/6787427
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(数理学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(様式3)





:米田 慧司

:Mathematical analysis for the weighted interpolation inequalities
and the rotating MHD equations
(重み付き補間不等式および回転磁気流体方程式の数学解析)
分 :甲

論 文 名

















本論文では,原点からの距離の冪を重み関数とする積型重み付き不等式において扱う関数を球対
称関数が属する空間に制限することで,その重み冪の取り得る値の範囲(許容指数範囲)が拡張さ
れることに関する考察,および Coriolis 力付き磁気流体方程式に対する時間大域解の一意存在と
その時間大域解の高速回転極限について,3 次元全空間上および 3 次元層状領域上で考察を行なっ
た.
第Ⅰ部では,原点からの距離の冪を重み関数として持つ,Gagliardo-Nirernberg 不等式を考察
し,そこで扱う関数を球対称関数が属する空間に制限することで,重み冪の許容指数範囲が拡張さ
れることを証明した.ここで Gagliardo-Nirenberg 不等式とは Gagliardo (1959),Nirenberg
(1959) により証明された,最高階微分と 0 階微分を用いてその間の微分を補間する積型不等式であ
る.この Gagliardo-Nirenberg 不等式に,上記の重み関数を適用した重み付き補間不等式が,
Caffarelli-Kohn-Nirenberg (1984) により 1 階の場合 (0 階微分の関数を 1 階微分した関数と 0 階
微分の関数を用いて補間した重み付き補間不等式) において, Lin (1986) により高階の場合 (j 階
微分の関数を m 階微分した関数と 0 階微分の関数を用いて補間した重み付き補間不等式 (0≦
j 分条件のもと証明された.証明の中でその条件の必要性を導出する際,3 つの条件に関してはある
球対称関数を用いて導出された.それに対して,重み冪の許容指数範囲に関する条件に関しては,
ある球対称でない関数を用いて導出された.そのため重み付き補間不等式を球対称関数が属する空
間に制限して考察することで,重み冪の許容指数範囲に関する条件が改善されることが期待される.
De Nápoli-Drelichman-Durán (2012) は上記の重み関数を適用した,1 階の積型重み付き補間不
等式を球対称関数が属する空間に制限して考察することで,重み冪の許容指数範囲が拡張されるこ
とを証明した.本論文では, De Nápoli-Drelichman-Durán (2012) の結果の一般化にあたる,上
記の重み関数を適用した高階の積型重み付き補間不等式を,球対称関数が属する空間に制限して考
察することで,重み冪の取り得る値の範囲の条件が拡張されることを証明した.証明では本問題を,
上記の重み関数を適用した重み付き Hardy-Littlewood-Sobolev の不等式を球対称関数が属する
空間に制限した際の問題に帰着することが鍵となる.
第Ⅱ部,第Ⅲ部では,太陽内のプラズマの運動のモデルとなる Coriolis 力付き非圧縮性磁気流体
方程式の初期値問題を 3 次元全空間上,および 3 次元層状領域上でそれぞれ考察を行なった.この
方 程 式 は , 地 球 上 の 大 気 の 運 動 や 海 洋 に お け る 海 水 の 動 き な ど を 記 述 す る Coriolis 力 付 き

Navier-Stokes 方程式と Faraday の電磁誘導の法則である Maxwell 方程式との連立系として表
される.
本論文では,スケール不変な Sobolev 空間に属する大きな初期速度場および初期磁場に対して,
回転速度が十分大きい場合に,Coriolis 力付き磁気流体方程式の時間大域解の一意存在を証明し,
さらにその時間大域解の高速回転極限の導出を行った.ここでスケール不変 (スケール臨界) な
Sobolev 空間とは,本方程式がスケール不変性を持つようなスケール変換のもと,初期値のノルム
とそのスケール変換の初期値のノルムが一致するような Sobolev 空間のことである.例えば,2 次

元においては L^{2},3 次元においては H^{1/2} が本方程式におけるスケール不変な Sobolev 空
間に該当する.


Iwabuchi-Takada (3013) は,3 次元のスケール臨界な Sobolev 空間 H^{1/2} に属する大きな

初期速度場に対して,回転速度が十分大きい場合に,Coriolis 力付き Navier-Stokes 方程式の時
間大域解が一意に存在することを証明した.この結果で用いられた解空間は,本論文の結果で得ら
れた解のエネルギークラスと埋め込みの関係になっており,本論文では,線形解の時空間積分評価
を導出する際に鍵となる重要な関数空間となっている.
Ahn-Kim-Lee (2021) および Kim (2022) により,スケール劣臨界な場合における,本方程式の
時間大域解の一意存在が証明された.これらの結果では,初期値のノルムの大きさに応じて回転速
度の大きさが決定されるスケール不変な条件のもと時間大域解の一意存在が示された.

第Ⅱ部では,3 次元全空間上の本方程式において,スケール臨界な Sobolev 空間 H^{1/2} に属
する大きな初期速度場および初期磁場に対して,回転速度が十分大きい場合に,時間大域解が一意
に存在することを証明し,さらにその時間大域解の高速回転極限を導出した.証明の困難となるも
のが,本方程式における通常の線形方程式からの摂動を考慮した際に,速度場に対する摂動方程式
の外力項に磁場の線形解による移流項が生じるため,大きな初期磁場を考慮するとその影響を無視
できなくなるという点である.そのために,Charve (2014) および Takada (2019) でも用いられ
た成層流体に対する手法である,線形方程式に外力項を加えた修正化線形方程式を導入するという
手法を用いた.その修正化線形解に対する時空間積分評価を導出することにより,摂動解の時間大
域的エネルギー評価を確立した.さらに,上述した解のエネルギークラスの埋め込みの関係を用い
ることで,解の高速回転極限を導出した.その結果,回転速度を無限大としたときに,速度場は 0
に収束し,磁場は対応する線形解に収束することを証明した.
第Ⅲ部では,3 次元層状領域上の本方程式において,速度場および磁場を鉛直方向の積分平均化
作用素を用いて,2 次元平面上の流れと 3 次元層状領域上の摂動に分解したスケール不変な関数空

間 L^{2}+ H^{1/2} に属する大きな初期値に対して, 回転速度が十分大きい場合に,時間大域解の
一意存在を証明し,さらに解の高速回転極限を得た. Ohyama-Takada (2021) により,上記のス

ケール不変な関数空間 L^{2}+ H^{1/2} に属する大きな初期速度場に対して,回転速度が十分大き
い場合に,Coriolis 力付き Navier-Stokes 方程式の時間大域解の一意存在,およびその解の高速
回転極限が 2 次元の Navier-Stokes 方程式の解に収束することが示された.本論文では上記先行
研究で用いられた 3 次元層状領域に対する手法,および上述した修正化線形方程式を導入するとい
う手法を用いることにより,3 次元層状領域上の本方程式に対しても,上記先行研究と同じエネル
ギークラスのもと時間大域解の一意存在を示した.さらに回転速度を無限大としたときに,その解
は 2 次元の磁気流体方程式,および 3 次元の Maxwell の方程式の解に収束することを証明した.

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