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大学・研究所にある論文を検索できる 「かかりつけ薬局における薬剤師と慢性疾患を有する高齢患者のコミュニケーションが患者満足度に与える影響の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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かかりつけ薬局における薬剤師と慢性疾患を有する高齢患者のコミュニケーションが患者満足度に与える影響の検討

常住, 亜衣子 東京大学 DOI:10.15083/0002006973

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 常住 亜衣子
本研究は,慢性疾患を持つ高齢患者を対象として,かかりつけ薬局における薬剤師との
コミュニケーションの実態,薬剤師に期待される役割を把握し,患者満足度と関連を持つ
患者および薬剤師のコミュニケーション行動,薬剤師に対する患者の期待が患者満足度に
与える影響を明らかにすることを目的として実施した。患者と薬剤師の会話の分析,コミ
ュニケーション行動と患者満足度の関連および薬剤師に対する患者の期待と患者満足度の
関連の分析と考察を試みたものであり,下記の結果を得ている。
1.患者・薬剤師間コミュニケーションの特徴,課題
患者・薬剤師間コミュニケーションの特徴,課題を明らかにするため、医療場面でのコ
ミュニケーションの定量的分析方法のひとつである The Roter Method of Interaction
Process Analysis System(以下 RIAS)を用いて,患者と薬剤師の会話 137 例を分析し
た。会話の録音データは,首都圏のかかりつけ薬局 2 施設において収集した。分析の結
果,薬剤師の発話に対する患者の発話の比は平均 0.82 であった。また,生物医学的な話
題に対する生活習慣・心理社会的感情に関する話題の比は平均 0.16 であった。患者,薬
剤師ともにコミュニケーションの大部分を占めるコミュニケーション行動は,同意する・
あいづちをうつといった「肯定的応答」
,生物医学的内容の「情報提供」であった。薬剤
師の情報収集スキルは「閉鎖型質問」に偏り,
「開放型質問」は全質問の 15%以下であっ
た。生活習慣や心理社会的感情に関するやりとりは,患者の問題や視点を理解し,信頼関
係を構築するうえで重要であり,生物医学的内容に大きく偏った話題比を是正すること,
患者の問題や視点といった非特定のことを探索する際に有効であるコミュニケーションス
キルである「開放型質問」を活用することが今後の患者・薬剤師間コミュニケーションの
課題として挙げられた。
2.薬剤師に対する患者の期待
厚生労働省による「患者のための薬局ビジョン」に定められた,かかりつけ薬剤師が担
うべき役割 17 項目に対する患者の期待の有無を調査した。期待すると回答した項目数の
患者ごとの合計は,中央値 12(8-16)であった。
3.患者満足度
患者・薬剤師間コミュニケーションに対する患者満足度を Medical Interview
Satisfaction Scale 日本語版(以下 MISS-21J)および総合満足度に関する質問項目(全体とし
て,かかりつけ薬剤師に満足している)を用いて調査した。MISS-21J 総得点(理論的範
囲:21-147)は平均 104.4,総合満足度(理論的範囲:1-7)は平均 5.6 であり,患者・薬

剤師間コミュニケーションに対し概ねの患者満足が得られていることが明らかとなった。
4.コミュニケーション行動と患者満足度の関連
目的変数を患者満足度とした重回帰分析において,患者の「情報提供」の割合の高さと
患者満足度は有意な正の関連を,患者の「サービスの要求」の有無と患者満足度は有意な
負の関連を示した。患者が情報提供を行いやすい,双方向性で患者中心的なコミュニケー
ションが患者満足度の高いコミュニケーションであることが示唆された。
5.薬剤師への期待と患者満足度の関連
目的変数を患者満足度とした重回帰分析において,薬剤師に期待する役割の総数と患者
満足度は有意な正の関連を示した。薬剤師の役割に対する理解・認知を高め,患者の期待
形成を促す取り組みにより患者満足度が上昇する可能性が示唆された。
以上,本論文はかかりつけ薬局における薬剤師と慢性疾患を有する高齢患者のコミュニ
ケーションの実態と今後の課題,薬剤師に対する患者の期待を明らかにし,患者満足度の
高いコミュニケーションのありかたを考察した。本研究は,国内において初めて,実際の
患者と薬剤師のコミュニケーションを定量的に分析・評価した研究であり,今後の患者・
薬剤師間コミュニケーション研究の基礎となる資料を提示できるものといえる。
よって本論文は博士( 医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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