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大学・研究所にある論文を検索できる 「Technological approaches for controlling foaming properties of food proteins toward on-site consumption」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Technological approaches for controlling foaming properties of food proteins toward on-site consumption

Sato, Ai 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23248

2021.03.23

概要

食生活の充実を図るには食品の多様性を高めることが重要であるが、その1つの方法として泡沫の利用が考えられる。泡沫はボリューム感のある見た目や口にした際のユニークな食感など嗜好性に大きく影響する。近年は、外食産業の消費現場での泡立て・消費の需要の高まりに伴い、様々な技術が発展してきた。この技術は大きく次の3つのステップ、飲料製造現場での原材料の改質(ステップ1)、貯蔵や輸送中の品質保持(ステップ2)、消費現場での泡立て法(ステップ3)に分けられる。そこで本研究では、各ステップにおける、どのような要因が、最終的な現場における食品タンパク質の泡沫特性を制御する重要な因子であるのかを、明らかにすることを目的とした。まずステップ1では、原材料であるタンパク質の高圧微細化処理の処理条件、ステップ2では品質保持目的で使用される乳化剤の添加条件、ステップ3では新奇な起泡法であるホイップクリームディスペンサー(WCD)の使用条件に着目した。説明の都合上、以下の章では、ステップ2、3、1の順序で記載した。

 第1章では、貯蔵輸送中の品質保持目的で添加される乳化剤の種類や添加濃度が、飲料の泡沫特性に与える影響について検討した。乳化剤として親水性と疎水性のショ糖脂肪酸エステルを使用し、乳化剤最終濃度が0–0.4%になるように牛乳に添加した。このモデル飲料をミルクスチーマーで起泡し、その泡沫特性を評価した。その結果、親水性乳化剤を添加した場合、疎水性乳化剤に比べて、高い起泡能を示した。起泡能に与える添加濃度の影響は小さかった。泡沫安定性に関しては、親水性乳化剤では、低濃度で添加したときに無添加牛乳よりも安定性が大きく低下したが、高濃度で添加すると安定性が無添加牛乳と同等になるまで上昇した。一方で、疎水性乳化剤を添加した場合は、すべての濃度で高い泡沫安定性が得られた。

 第2章では、近年注目を集めている起泡装置であるWCDに着目した。従来の起泡法と異なり、WCDでは亜酸化窒素(N2O)や二酸化炭素(CO2)が一般的に用いられるなど、泡沫の形成に使用されるガスの種類は多様化している。そこで本章では、ガスの種類がタンパク質の泡沫に与える影響を明らかにすることを目的として、4種類のガス、すなわちN2O、CO2、空気(Air)、窒素(N2)と、5種類のタンパク質、すなわち乳由来の分離ホエイタンパク質(WPI)、カゼインナトリウム(SC)、卵白タンパク質(EW)、大豆分離タンパク質(SPI)、酵素部分分解したSPI(SPI-LMW)を使用し、WCDを用いて起泡した泡沫の特性を調べた。起泡能については、水への溶解度が高いN2OやCO2を気相とした場合の方が、低いAirやN2を用いた場合に比較して高かった。泡沫安定性に関しては、AirやN2泡沫の方がN2O泡沫よりも高いことが明らかになったが、これは、N2Oの場合には、溶解度が高く、生じた気泡のサイズも大きいことで、不均化や排液が起こりやすくなったためと考えられる。タンパク質間を比較すると、泡沫安定性はEW>WPI>SPI=SC>SPI-LMWであり、その安定性の違いには、泡沫形成から一定時間経過した後の界面強度が寄与していることが示唆された。

 第3章では、タンパク質の機能特性を物理的に改変する手段である高圧微細化処理に着目した。超高圧下での高圧微細化処理では「力学的な力によるタンパク質の改質」に加え「高圧処理に伴う温度上昇によるタンパク質の改質」が起こると考えられる。そこで本章では、「力学的な力のみ」と「力学的な力+温度上昇」を区別し、それぞれがWPIやミセル性カゼイン(MC)のコロイド特性および泡沫特性に与える効果を検討した。高圧微細化処理は240MPaで0–3回行った。WPIでは、SDS-PAGEと表面疎水性測定、粒子径測定の結果、「力学的な力のみ」ではタンパク質は構造変化せずに、より微細に分散されることが示された。一方、「力学的な力+温度上昇」ではタンパク質が構造変化し、凝集することが示された。MCでは、処理温度に関わらず、高圧微細化処理でタンパク質は構造変化せずに微細に分散し、溶解度が上昇することが示され、「力学的な力のみ」の方が、より影響が大きかった。次に、タンパク質溶液を撹拌することで起泡し、起泡能と泡沫安定性を評価した。その結果、WPIでは、起泡能は高圧微細化処理を繰り返すほど上昇し、その上昇の程度は「力学的な力+温度上昇」の影響の方が大きかった。泡沫安定性は高圧微細化処理することで低下し、その低下の程度は「力学的な力のみ」が与えられたときの方が大きいことが示された。MCでは、起泡能は高圧微細化処理するほど上昇し、その上昇の程度は「力学的な力のみ」の影響の方が大きかった。泡沫安定性は「力学的な力のみ」が与えられたときに上昇し、「力学的な力+温度上昇」では変化しなかった。

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