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大学・研究所にある論文を検索できる 「終末期がん患者に対する「湯船につかる入浴」に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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終末期がん患者に対する「湯船につかる入浴」に関する研究

髙橋 ゑり子 東北大学

2020.03.25

概要

 わが国の緩和ケア病棟に入院している終末期がん患者の「湯船につかる入浴(以下、入浴とする)」の体験について、痛みなどの身体症状の緩和につながることや患者の貴重な楽しみの機会になっていることなどが質的研究から報告されてきた。最近の研究では入浴が、生理学的には循環動態に大きな変動を及ぼさず、不安が低下しリラックスな状態であったことが報告されている。しかし、終末期がん患者を対象とした入浴の有効性や経験に関しての量的研究はほとんどなされていない。そこで、本研究では、患者を対象とした前向き観察研究および遺族を対象とした調査により、終末期がん患者に対する入浴の有効性を検討した。
 研究1では、緩和ケア病棟における患者の入浴の身体症状・精神・心理症状に対する有効性を前向き観察研究で検討した。主要評価項目は症状評価尺度である ESAS-r-J の各項目とした。研究2では、ホスピス・緩和ケア病棟および一般病棟で死亡した終末期がん患者の遺族を対象とし終末期がん患者の入浴の経験を調査した。
 研究1では入浴を行った患者 57 名と行わなかった 18 名のデータを分析した。結果として、入浴前後で、 1)の合計スコアに統計学的に有意な改善が認められたこと、2)個々の症状では痛み、倦怠感、食欲不振、気分の落ち込み、不安、全体的な調子で統計学的に有意な改善がみられ、最も効果が大きかった症状は倦怠感であったことなどが示された。
 研究2では 885 名の遺族のデータを分析した。結果として、1)調査対象になった緩和ケア病棟・一般病棟で死亡した終末期がん患者の 40%が入浴を経験していたこと、2)入浴を経験した患者の遺族の 80%以上が「患者様が楽しみ・喜んでいた」「表情がやわらいだ」「丁寧に扱われたように感じ嬉しかった」など肯定的に評価したこと。3)入浴を経験した遺族では、終末期ケアの構造・プロセスの評価、望ましい死の達成度の評価、全般的満足度が経験しなかった遺族と比較して統計学的に有意に高かったことなどが示された。
 本研究は湯船につかる入浴に症状緩和の効果があること、人として大切にされた尊厳につながるケアであると遺族が評価したことを国内外で初めて示した研究である。

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