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大学・研究所にある論文を検索できる 「Spin-crossover in a cyanido-bridged Fe(II)-Nb(IV) network with two kinds of organic ligands」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Spin-crossover in a cyanido-bridged Fe(II)-Nb(IV) network with two kinds of organic ligands

川畑, 慎太郎 東京大学 DOI:10.15083/0002006694

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

川畑

慎太郎

本論文は全 4 章より構成されており、第 1 章では研究の背景と目的、第 2 章では鉄イオ
ン、オクタシアノニオブ酸イオン、3-アセトキシピリジンおよび 3-ヒドロキシピリジンを構
成成分としたシアノ架橋型鉄-ニオブ金属錯体の合成および結晶構造、第 3 章ではシアノ架
橋型鉄-ニオブ金属錯体の磁気特性、結晶構造温度変化および段階的スピンクロスオーバー
現象、第 4 章では研究の総括を述べている。以下に各章の概要を示す。
第 1 章では、本研究の背景として金属錯体におけるスピンクロスオーバー現象、電荷移動
現象ついて述べられており、温度や光などの外部刺激によりスピン状態、電荷状態が変化す
ることが説明されている。また、本論文で着目したポリシアニド錯体の特徴や機能性材料の
構築素子としての有用性、特に配位構造の柔軟性を有するオクタシアノニオブ酸イオンが興
味深い構築素子であることを述べている。さらに、シアノ架橋型金属錯体が多様な機能性を
示すことやスピンクロスオーバー錯体としての適性およびその研究例について説明がなさ
れている。
第 2 章では、鉄イオン、オクタシアノニオブ酸イオン、3-アセトキシピリジンおよび 3-ヒ
ドロキシピリジンを原料としたシアノ架橋型鉄-ニオブ金属錯体の合成手法について述べ、
粉末 X 線回折パターンからリートベルト解析を行うことにより錯体の結晶構造を決定し、
鉄(II)とニオブ(IV)がシアノ基により交互に架橋された 3 次元網目状の配位構造を有してい
ることを明らかにしている。また、結晶構造中には、アセトキシピリジンが 4 つ、シアノ基
が 2 つ配位した鉄(II)サイト(サイト 1)、ヒドロキシピリジンが 4 つ、シアノ基が 2 つ配位
した鉄(II)サイト(サイト 2)、アセトキシピリジンが 3 つ、ヒドロキシピリジンが 1 つ、シ
アノ基が 2 つ配位した鉄(II)サイト(サイト 3)といった 3 つの独立な鉄(II)サイトが存在し
ていることを明らかにしている。
第 3 章では、シアノ架橋型鉄-ニオブ金属錯体の結晶構造の温度変化について述べ、格子
定数が段階的に変化し、3 つの鉄(II)サイトの内、サイト 1、2 における鉄-窒素間距離が異な
る温度領域でそれぞれ変化することを見出している。また、磁化率の温度変化において、温
度降下に伴う磁化率の段階的な変化を観測し、メスバウアー分光により、鉄(II)の高スピン
状態から低スピン状態への変化を確認したことから、本錯体が段階的なスピンクロスオーバ
ー現象を示すことを明らかにしている。さらに結晶構造における鉄-窒素間距離の変化と磁
化率温度変化との比較から、鉄サイト 1 が室温付近で低スピン状態へと転移、サイト 2 が低
温領域で転移、サイト 3 は転移しないことを示し、これらの違いは各サイトにおける配位子
場および立体障害の違いに起因していることを説明している。

本論文では、2 種類の有機配位子を導入したシアノ架橋型鉄-ニオブ金属錯体を研究対象
として、結晶構造解析、磁化測定、分光測定により、段階的スピンクロスオーバー現象を明
らかにし、複数種の有機配位子を含むシアノ架橋型金属錯体がスピンクロスオーバー材料と
して有用であることを示している。シアノ架橋型金属錯体中に 2 種類の有機配位子を導入す
ることで、複数のスピンクロスオーバーFe(II)サイトを構築し、多段階スピンクロスオーバ
ー現象の発現に成功したことは、スピンクロスオーバー現象を利用した機能性材料の開発に
つながる結果であり、当該研究分野を発展させるものであると評価できる。なお、本論文第
2 章、第 3 章は、シモンホラジー博士・ヤクブザクシェフスキー氏・井元健太博士・藤本貴
士氏・中林耕二博士・ヤンスタネク教授・バーバラシークルツカ教授・大越慎一教授との共
同研究であるが、論文提出者が主体となって実験及び解析を行ったもので、論文提出者の寄
与が十分であると判断する。
以上の理由から、博士(理学)の学位を授与できると認める。

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