ご挨拶

概要

ご　挨　拶

看護ケアサイエンス学会理事長　八塚　美樹

 「 看護ケアサイエンス学会 」は、富山大学医学部看護学科を主幹として立ち上げた「 富山大学看護学会 」
を前身とし、看護学の学術研究の質向上を図るともに看護学の進展に寄与することを目的に 2 0 2 0 年 1 2
月 19 日に創設されました。本学会名を採用するにあたり、富山大学看護学会評議員吉井美穂先生を中心
としたワーキングメンバーで、作業をすすめていただきました。この場を借りて、お礼を申し上げます。
本学会名の「 看護ケア」の部分には、看護ケアを中心に据えた学会活動であることを意図し、「 サイエン
ス」の部分には、看護学は実践の科学であることの意味を込めました。
 学会名変更に伴って、「 富山大学看護学会誌 」を「 看護ケアサイエンス学会誌 」と改称し、日本に開
かれた学術誌として歩み始めることとなります。
 ケア（ care ）という語は、医療・看護・介護・福祉・心理・教育・倫理・哲学など様々な分野で議論
され、1 9 8 0 年代ごろから、境界を越えたケアについての研究が現れ、2 0 0 0 年の介護保険の施行を挟ん
でますます広がっています。まさに現代は「 ケア」の時代、あるいは「 ケア共同社会 」などとも呼ばれ
ています。
 サイエンスについて、1999 年 7 月、世界科学会議で、科学と科学的知識の利用に関する世界宣言（ 通
称ブタペスト宣言 ）は、科学のあらゆる分野から得た知識を、濫用することなく、責任ある方法で、適
用させる必要性を前提に宣言し、科学を知識のための科学、平和のための科学、開発のための科学、社会
における科学と社会のための科学であると ４ つの科学を説明しています。この宣言は、これまで開発さ
れた自然科学の知を、さらに、平和のために、社会にあるいは社会のための科学の知として発信していく
ことを謳っていると解釈するものです。
 昨今の少子高齢化、人口減少、大規模災害発生、また新たな新型コロナ感染症による新しい生活様式の
常態等に伴い、国はケアを社会における重大課題として捉え、行政施策として地域共生社会の実現をめざ
し、学術施策として、ケア・イノベーションの推進を多面的に進めています。
 本学会は、看護ケアを中心に据えた、看護学、公衆衛生学、社会福祉学、行動科学、臨床医学、人文社
会学、経済学、工学、情報科学等の諸科学、さらには当事者である市民、行政等と協働、融合した学術研
究論文が掲載され、その研究成果が保健医療福祉分野等社会に広く貢献できることをめざしていきますと
ともに、本学会事業を通して、多くの看護学教育者・研究者、高度専門看護職が育成されることを願って
います。
 是非、本学会へのご理解を賜りたく、よろしくお願いいたします。また本学会は、先にも述べましたと
おり富山大学看護学会を前身としています。23 年間にわたり、富山大学看護学会を支えて学会運営をお
こなってこられた評議員の先生方に篤く感謝申しあげますとともに、引き続き名称変更しました看護ケア
サイエンス学会への、変わらぬご支援ご指導のほどよろしくお願い申しあげます。 ...