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大学・研究所にある論文を検索できる 「Processing of hepatitis C viral polyprotein in Escherichia coli」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Processing of hepatitis C viral polyprotein in Escherichia coli

菰田, 泰正 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目 的(Purpose)〕
C型肝炎ウイルス(HCV)のゲノムには約3000アミノ酸からなる1本の前駆体ポリプロティンがコードされている。前駆体ポリプロティンは,宿主およびウイルスのプロテアーゼによって切断され,ウイルス粒子を構成する構造タンパク質とウイルスの複製に関係する非構造タンパク質が産生される。本研究の目的は,2つのウイルスプロテアーゼ, Cpro-ΙおよびCpro-2のin vitro活性評価系を構築し,ウイルスプロテアーゼを標的としたHCV治療薬のシード化合物を探索することである。HCVのin vitro培養系が確立されていなかったため,本実験では大腸菌発現系を用いてCpro-ΙおよびCpro-2を発現させ,それらのプロテアーゼ活性を確認し,基質の配列要求性を検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
大腸菌発現系を用いてN末端にmaltose-binding protein (MBP) , C末端にdihydrofolate reductase (DHFR)を融合させたHCV前駆体ポリプロティンのアミノ酸残基(aa) 897 (NS2)からaa1658 (NS4A)の領域,約140 kDaを発現させ, Cpro-ΙおよびCpro-2による前駆体ポリプロティンの切断を検討した。発現したHCVタンパク質を抗MBP抗体,抗NS3抗体および抗DHFR抗体を用いたウェスタンブロットの結果,前駆体ポリプロティンが切断されたMBP-NS2, NS3および NS4A-DHFRの3種のタンパク質が検出された。NS2/NS3の切断が,真核生物と同様にCpro-Ιによることを確認するため,活性欠損変異体を用いて検討した。Cpro- Ι活性欠損変異である952 番目のヒスチジンをアラニンに置換した MBP-NS2-NS3-DHFRを発現させるとNS3-DHFRが消失し,切断されていないポリプロティンが検出された。一方,Cpro-2活性欠損変異である1165番目のセリンをアラニンに置換した場合にはNS2/NS3の切断に影響は無かった。さらにCpro-2活性欠損変異を導入したMBP-NS3-NS4A-DHFRを発現させ,NS3/NS4Aの切断を検討した結果,野生型で検出された NS4A-DHFRが消失した。加えてCpro-ΙおよびCpro-2の切断部位を確認するため,methotrexateカラムを用いてNS3-DHFRおよびNS4A-DHFRをそれぞれ精製し,アミノ酸シークエンスを行った。前者は,aa 1027からの配列APITAYSQQTR,後者は,aa 1658のセリンに続くリンカーの配列,SKLAIEG?GMISがそれぞれ同定された。

次にCpro-2の基質の配列要求性を調べるため,aa 898 (NS2)からaa 1468 (NS3)を酵素として,NS3/NS4A以降の非構造タンパク質の切断部位を基質として大腸菌で共発現させ分子間の切断活性を検討した。Cpro-2による4ヶ所の切断部位NS3-NS4A,NS4A/NS4B, NS4B/NS5AおよびNS5A/NS5Bを比較した結果,NS5A/NS5Bが最も切断効率が高かった。一方,分子間反応ではNS3/NS4Aは切断されなかったONS5A/NS5BのP7位からP8’位の15アミノ酸を用いて基質の長さを検討した結果,P4位からP1’位の5アミノ酸以下では切断されなかった。配列要求性を検討するため,Pl,P1’およびP6位のアミノ酸を置換して切断活性を野生型と比較した。P1位のシスティンを他の7種のアミノ酸に置換するといずれも切断されなくなった。逆に分子間反応で切断されなかったNS3/NS4AのP1位のスレオニンをシスティンに置換すると分子間反応で切断された。次にP1’位のセリンを側鎖の大きいアスパラギン,イソロイシンまたは電荷を持つリジン,アスパラギン酸に置換すると切断効率が顕著に低下した。さらにP6位のアスパラギン酸のみリジンに置換しても切断効率は変化しなかったが,P6位およびP5位両方のアスパラギン酸をリジンに置換すると切断効率が低下した。

〔総 括(Conclusion)〕
大腸菌で発現したCpro-1 (NS2-3)がNS2/NS3を切断し,Cpro-2 (NS3)が,NS3-NS4A, NS4A/NS4B, NS4B/NS5Aおよび NS5A/NS5Bを切断することを確認した。この切断活性は真核生物で発現したCpro -1およびCpro-2と同様であった。 Cpro-2の基質配列要求性は,P6位からP1’位の7アミノ酸が必要であること,分子間反応での切断はP1位がシスティンであること,Ρ1’位は側鎖が小さく電荷を持たないアミノ酸が適していること,P6位付近に正電荷を持つアスパラギン酸またはグルタミン酸が効率よい切断に必要なことが分かった。

我々はHCV治療薬のシード化合物を探索するため,本実験の結果を基に大腸菌で産生したCpro-2を用いたin vitro活性評価系の構築を開始した。一方,Cpro-1についてはNS2からNS3にまたがる領域が活性に必要で,NS2/NS3の切断により活性を失うことを見出しており,Cpro-1活性体を大量に調製し,in vitro活性評価系を構築することは難度が高いと考えられた。

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