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大学・研究所にある論文を検索できる 「Clinicopathological significance of RCAN2 production in gastric carcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Clinicopathological significance of RCAN2 production in gastric carcinoma

服部 結 広島大学

2021.09.17

概要

胃癒は国内外を問わず死亡率の高い癌腫であり、新規診断あるいは治療薬の開発が重要な課題である。以前の他研究室との共同研究において、KRAS変異型大腸癌ではRCAN2の発現抑制を介しCalcineurin-NFATc (cytosolic nuclear factor of activated T cells)経路の脱抑制で細胞増殖が元進すること、VEGFを介して血管新生を抑制することを明らかにし報告した。RCAN2はリンパ球の活性化や血管新生に関与しているcalcineurin-NFATc signaling pathwayにおいてcalcineurin regulatorとして働いている。しかしながら、RCAN2の胃癌における役割は全く解析されていない。本研究は、KRAS変異型大腸癌において腫瘍抑制的な働きをしているRCAN2白が同じ消化管癌である胃癌においてはどのような働きをしているのかを明らかにすることを目的として、胃癌におけるRCAN2の発現及び生物学的機能解析を行った。

得られた結果は以下のように要約される。
胃癌の外科的切除組織207例に対し免疫染色でRCAN2本白の発現を検討したところ、110例(53%)が陽性を示した。RCAN21白の発現と臨床病理学的因子との関係を解析したところ、stageの進行(P<0.0001)、ヘリコバクターピロリ感染(P=0.0023)との間に有意な相関を認めた。

Kaplan-Meier法を用いた子後との関連検討では、RCAN2陽性例は陰性例に比べ有意に予後不良であった(P<0.0001)。単変量、多変量解析を用いた検討において、RCAN2は独立した予後不良因子であることが示された。癌の浸潤・増殖への関与が知られている種々の分子との関係を免疫染色にて検討したところ、RCAN2陽性例はEGFR(P<0.0001)、Bcatenin(P=0.0014),MMP-7(P<0.0001).Lamininy2(P<0.0001)、VEGF(P<0.0001)それぞれの陽性例と有意な相関が認められた。さらに、RCAN2とこれらの分子の腫瘍内における共局在が免疫染色で確認できた。RCAN2の下流であるNFATの中でも胃癌との関連が報告されているNFATC3も、免疫染色を用いた発現検討によりRCAN2との間に相関関係が認められた(P<0.0001)。

RCAN2の胃癌細胞における生物学的機能を明らかにする目的で、RCAN2の高発現がみられたMKN1を用いてsiRNAによるRCAN2のノックダウンを行い、MTT-assayにて増殖能を、invasionassayにて浸潤能を評価した。RCAN2をノックダウンした胃癌細胞はnegativecontrolsiRNAで処理した胃癌細胞と比較して増殖能(P<0.01)、浸潤能(P<0.01)が有意に抑制された。したがってRCAN2は胃癌の増殖能、浸潤能を促進するものと見なされた。RCAN2が胃癌の増殖に関与する分子機構を確認するため、EGFRの下流経路であるERK-MAPK経路、PI3K-AKT経路への影響をWesternblot法にて検討した。RCAN2をノックダウンした胃癌細胞ではnegativecontrolsiRNAで処理した胃癌細胞と比較しERK及びAKTのリン酸化が抑制された。以上からRCAN2はこれらのシグナル経路を介して癌の増殖に関与していると考えられた。また、RCAN2のノックダウンにともなってNFATc3のリン酸化が抑制された。次にRCAN2の発現が低い胃癌細胞株MKN4Sを用いてRCAN2の強制発現を行った。RCAN2の強制発現により、emptyと比較して胃癌細胞株の増殖能(P<0.01)、浸潤能(P<0.01)が有意に上昇した。
以上の結果から、本論文はRCAN2が胃癌の独立した予後不良因子であること、ERK-MAPK経路及びPI3K-AKT経路を活性化して増殖・浸潤を促進することを明らかにし、胃癌の新規診断及び治療標的分子となり得る可能性を示唆した点で高く評価される。
よって審査委員会委員全員は、本論文が著者に博士(医学)の学位を授与するに十分な価値あるものと認めた。

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