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大学・研究所にある論文を検索できる 「Synthesis of extended Janus ring and tricyclic laddersiloxanes from Janus ring siloxane」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Synthesis of extended Janus ring and tricyclic laddersiloxanes from Janus ring siloxane

Chaiprasert, Thanawat チャイプラサート, タナワット 群馬大学

2021.03.23

概要

現代において、有機無機ハイブリッド材料は、特異な物性を有する先端材料として、最先端の研究においても最も注目を集めている。その中で、かご型、環状、はしご型シルセスキオキサンは、ビルディングブロックとして有望な骨格であり、それ以外の構造と異なり、構造が高度に規制されており異なった高い物性を示す。さらに簡便な置換基変換、単一分散性、遷移金属を含まないなどの特質を持っている。これまでかご型シルセスキオキサンが最も広く研究されてきたが、最近ダブルデッカー型の化合物についても材料目的の研究が盛んになってきた。一方で、はしご型のシルセスキオキサンであるラダーシロキサンについては、当研究室のオリジナルであり、これまで相対的に少ない研究例しかなかった。構造がはっきり定まったシロキサン骨格を有するモノマーは、今後必要となってくる高い機能を有する材料の理想的な原料であり、新しい骨格の構築は急務である。

本学位論文はall-cisのシクロテトラシロキサンを基軸にした新規シロキサン化合物の合成を目的とし、4つのパートに分けられる。1つ目はヤヌス前駆体と延長ヤヌスリングの合成、2つ目はヤヌスリングの合成、そして、分子内環化反応とバットシロキサンの合成である。

最初に、ジメチルヒドロシリルとビニル基を有するヤヌス前駆体と延長ヤヌスリングを優れた収率(88−100%)で合成したことを述べた。この化合物は、例えばヘック反応、ヒドロシリル化、酸化、ピアーズ-ルービンシュタイン反応など、様々な反応により官能基変換が可能である。特筆すべき点は、これらの化合物が一分子あたり8個までという多数の官能基を有していることである。ヤヌス前駆体は4つのT−ユニットケイ素と4つのDまたはM−ユニットケイ素、延長ヤヌスリングは4つのT−ユニットケイ素と8つのDまたはM−ユニットケイ素を持っている。

2番めに、得られたヤヌス前駆体を原料とし、ピアーズ-ルービンシュタイン反応によって様々な官能基を有するヤヌスリング[RSi(OR’)O]4の合成を示した。興味深いことに得られた化合物は多種の有機溶媒に優れた溶解性を示し、一分子あたり4または8個の官能基を有する高次反応性前駆体に分類される。得られた化合物は、構造が高度に規制されたかご型シルセスキオキサン、ヤヌス型のナノマテリアルや、多孔性材料などのよい前駆体になり得る。

次に我々は三環式ラダーシロキサンの新しい合成法を開発した。通常それらは脱水縮合反応、ラダーポリシランの酸化、かご型シルセスキオキサンの環開裂反応などによって合成される。本編では環状シロキサンの分子内環化反応を利用した新しい合成反応について述べている。最適条件下では、この反応により、環状シロキサンや様々な環サイズをもつ三環式ラダーシロキサンを合成することができる。さらに、本反応では副生物が極性の高いシラノールであり、目的物の単離はカラムクロマトグラフィーで簡便に行うことができる。

最後に、両末端に10員環、12員環、14員環と16員環のシロキサンを有する様々な三環式ラダーシロキサンを合成した。クラウンエーテルのように分子内に多数の酸素原子を含む構造により、これらの化合物はホストとしてイオン認識能を有することが期待できる。興味深いことに環サイズが大きくなるにつれて融点は低下する。すべての化合物は5%重量減少温度が250℃以上であり、熱的に安定な化合物である。

本論文で述べられている化合物は、各種NMRとマススペクトルにより同定されている。更に我々はX線結晶構造解析により、その構造を決定した。熱物性についてはDSCとTGA分析により明らかにした。ここで述べられている結果は、ケイ素化学だけではなく材料科学の分野においても大きな寄与をするであろうことを信じる。さらに、これらの構造が規制されたナノ前駆体は、特異な物性を有する先端有機無機ハイブリッド材料の開発において、新しい道筋となることができるだろう。

本論文のうち、ヤヌスリング前駆体と延長ヤヌスリングについては Dalton Transaction 誌に掲載され、バットシロキサンの合成については、Macromolecular Rapid Communication 誌に掲載された。

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