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大学・研究所にある論文を検索できる 「ABO式血液型糖鎖抗原の効率合成と生物機能研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ABO式血液型糖鎖抗原の効率合成と生物機能研究

筒井, 正斗 大阪大学

2020.09.25

概要

ABO式血液型は赤血球上の糖鎖構造による分類である(Fig. 1). 血液型糖鎖は糖鎖抗原として機能し, 自然抗体により認識されて激しい免疫反応を引き起こす. 本研究ではアミノ糖の保護基に着目し, ABO式血液型糖鎖の効率合成を検討した. さらに生体内での多価相互作用の再現を指向してデンドリマーを設計し, 多価分子の結合モデルについて解析した.

 まず, グルコサミン(GlcN)2位をTroc保護したアクセプターを用いてABH抗原の合成を完了した. 還元末端にはカルボン酸を導入し, 生物活性試験の際に誘導体を容易に合成できる構造とした. さらに当研究室で提唱しているジアセチルストラテジーを, GlcN含有糖鎖の合成へと適用した(Fig. 2). NHAc体アクセプターが水素結合ネットワークを形成することを1HNMRにて確認した. さらにDOSY法によって分子体積を概算し, NHAc体の分子間水素結合を介した多量体形成を示唆する結果を得た. 7V-アセチルグルコサミン(GlcNAc)のNHAc基をNAc2基へと変更し, NHAc体, NAc2体アクセプターを用いてΗ抗原の合成を行い, [1+1], [2+1]グリコシル化において反応性, 収率の劇的な向上を確認した. 以上の結果からGlcN含有糖鎖の効率合成法としてジアセチルストラテジーが有用であることを示し, 本ストラテジーの適用範囲を大きく広げることができた.

 得られた各血液型抗原を用いて, IgM抗体に対して高い親和性を示すデンドリマーを設計・合成した(Fig. 3). 16量体を用いることとし, 3種類のサイズの異なるデンドリマーを合成した. デンドリマーのサイズが大きくなるに従って, デンドリマー上の糖鎖密度は低下する. 一方, IgM抗体は10個の抗原認識部位を持つが, サイズが大きくなることで, 同時に相互作用可能な結合サイトの数が増え, 最も大きなものではすべての結合サイトを同時にカバーできるように設計した. SPR測定の結果, 中間のサイズのデンドリマーが最も高い親和性を示した. また, 血球凝集阻害試験においても, 同様に中間のサイズのデンドリマーが最も高い阻害活性であった. これらの結果から, デンドリマーの設計時には糖鎖密度を維持した上で, 同時に複数の結合サイトと相互作用できる分子を設計することが重要であることを示した.

 最後に血液型糖鎖を用いた免疫反応の誘導を検討した. すなわち, 標的細胞を血液型糖鎖で標識し, この細胞に対して抗血液型IgM抗体のリクルート, さらには, CDC活性の誘導を検討した. その結果, 糖鎖抗原とIgM抗体の相互作用を用いた生体機能制御には, 糖鎖の多価効果が有効に働くことが必須であることが分かった. このことから, 上記で開発したデンドリマーの利用は有望であると考えている.

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