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大学・研究所にある論文を検索できる 「湾曲Si結晶を用いたX線偏光計における偏光性能の波長依存性評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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湾曲Si結晶を用いたX線偏光計における偏光性能の波長依存性評価

芳野 史弥 中央大学

2022.07.06

概要

Introduction
近年、X 線天文観測において、撮像、測光、分光観測に加えて、偏光の観測機器の開発が行われてきている。撮像、測光、分光観測と比べて X 線偏光観測が遅れをとるのは、X 線の波長の短さと透過力が強いゆえに、可視光のような偏光板による偏光の検出ができず、偏光の検出器の開発が技術的に困難であるとされてきたからである。X 線偏光観測が行えるようになると、カーブラックホールの存在証拠の一つとなる可能性やブラックホール近傍の幾何などの解明に繋がると期待されている。我々は、鉄輝線を含む 5.5-8.1 keV の帯域で、偏光検出能力と分光能力がそれぞれ高いブラッグ反射型偏光計を、湾曲結晶鏡を用いて開発している。結晶は、鉄輝線に着目しているため、Si(100) 結晶の (400) 反射を採用している。

先行研究
これまでの先行研究では、2014 年泉谷修論では、回転放物面形状の金型に Si 結晶と CFRP を積層し一体成型することによって反射鏡を作成する方法を確立させた。2018 年度塚田修論では偏光計の性能指標である M 値を測定する実験が行われ、Fe-Kα(6.4 keV) の偏光 X 線に対する M 値は 89.9%以上であるという結果が得られている。この結果は誤差の範囲で理論値と一致している。しかし、他のエネルギー帯域では M 値の測定は行われていない。エネルギーごとの M 値を見積もっておかなければ、この光学系で実際に分光・偏光同時観測をする際に正しい偏光度を測定することができない。

中央大学 X 線ビームラインのセットアップ
反射鏡の M 値を測定するために、中央大学 X 線ビームラインを用いることにした。このビームラインは Cu-Kα(8.05 keV) の偏光 X 線を照射することができ、さらに X 線の偏光方向 χ を 180◦ 回転させることができる。まず、チャンバー内で反射鏡と X 線 CCD の位置だしを行う自動ステージを構築した (図 2)。次にこのステージを使って、ビームラインの光軸あわせを行った。X 線を直接 CCDに照射し撮像したイメージから X 線の到来位置を検出する。この到来位置が偏光方向 χ を回転させても変動しないように X 線発生装置を移動させる。その結果、図 3 のように X 線を検出でき、回転による到来位置のずれは図 4 から半径 7.8 pixel = 0.10 mm のズレに収めることができた。

反射鏡の偏光性能評価
反射鏡に偏光Cu-Kα(8.05 keV) を照射し、反射したX 線のカウントの変動をCCD で検出することで M 値を測定した。X 線の反射カウントをχ ごとに測定したモジュレーションカーブが図5 である。M 値は反射カウントの最大値と最小値から計算することができる。このカーブをf(x)=a(1.0+ b cos(χ−c))でフィッティングしてカウントの最大値と最小値を算出した結果、8.05 keV における反射鏡の M 値は 52.00±3.23 で、理論値である 53.3%に誤差の範囲で一致することがわかった (図 6)。

無偏光 X 線に対するカウントの変動も測定を行った。先ほどと同様に反射鏡に無偏光のCu-Kα(8.05 keV) を照射し、反射したX 線の χ ごとのカウントの変動をCCD で検出した。その結果が図 7 である。定数関数と考えて全てのプロットの平均 average と標準偏差 σ を算出し、その比をとると σ = 1.44%と得られ、1%程度に変動を抑えられていることがわかった。

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