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大学・研究所にある論文を検索できる 「古典的利尿薬スピロノラクトンのがん細胞でのサバイビン発現の減少を介した非DNA損傷性抗がん剤との併用効果の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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古典的利尿薬スピロノラクトンのがん細胞でのサバイビン発現の減少を介した非DNA損傷性抗がん剤との併用効果の検討

佐野町 友美 山形大学

2021.03.31

概要

【背景】
 本邦でがんは死因の第一位で、中でも非小細胞肺癌、膵癌及び膠芽腫は予後不良である。それら治療薬として上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤のオシメルチニブ(OSI)やゲムシタビン(GEM)が使用されるが、薬剤耐性のためその効果は限定的で、治療効果を高める戦略の開発が望まれている。腫瘍関連合併症の治療薬としても用いられる古典的利尿薬スピロノラクトン(SPL)は、DNA修復の阻害によりDNA損傷性抗がん剤の効果を高める事が報告され、既存薬を別の適応症に用いるドラッグ・リポジショニングの観点からも重要な治療候補薬と考えられるが、OSIやGEM等のDNA非損傷性抗がん剤への併用効果は不明であった。そこで本研究では、上記のがん種において、SPLのOSIとGEMへの併用効果とその機序を検討した。

【方法】
 非小細胞肺癌(A549, PC-9, OSI耐性亜株;PC-9-OR)、膵癌(PANC-1)及び膠芽腫(GS-Y01)のがん細胞とがん幹細胞、並びに非がん細胞(IMR-90)において、SPLの抗がん効果とOSIとGEMへの併用効果を細胞生存アッセイで検討した。また抗アポトーシス分子サバイビンのOSIやGEM感受性への関与が報告されているので、SPLによるがん細胞とがん幹細胞のサバイビン蛋白発現への影響をイムノブロッティングで検討した。更にSPLのサバイビン蛋白質発現制御機構を明らかにするために、SPLのサバイビンmRNA発現と蛋白質分解への影響を逆転写PCRとプロテアソーム阻害剤MG132を用いて検討した。またそれら細胞でのサバイビンのOSIやGEMへの感受性への寄与をサバイビン転写抑制薬YM155やサバイビンsiRNAを用いて検討した。最後にA549皮下移植腫瘍を用いてSPLとOSIの生体内での併用効果を検討した。

【結果】
 SPLは非がん細胞に毒性のない濃度で、非小細胞肺癌、膵癌及び膠芽腫のがん細胞とがん幹細胞の細胞増殖を抑制し、OSIとGEMに対する感受性を高めた。また、SPLはそれらがん細胞とがん幹細胞のサバイビン発現を低下させた。SPLはサバイビンmRNAの発現を減弱させMG132はSPLによるサバイビン発現の低下を部分的に回復させた。YM155とサバイビンsiRNAはがん細胞のOSIとGEMに対する感受性を高めた。更に、マウス生体内においてSPLとOSIの併用は明らかな副作用なしに腫瘍増殖を有意に抑制した。

【結論】
 SPLは少なくとも部分的にはサバイビンのmRNAと蛋白質安定性制御の両レベルでの発現抑制を介してがん細胞を非DNA損傷性抗がん剤に対し化学増感する事が明らかになった。従ってSPLは、DNA損傷性抗がん剤・非DNA損傷性抗がん剤のいずれと併用してもより高い抗がん効果を発揮する安全な併用候補薬であると考えられた。

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