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大学・研究所にある論文を検索できる 「Release processes of radionuclides from Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident elucidated by analysis of Sr and Pu isotopes in 137Cs-concentrated particles」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Release processes of radionuclides from Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident elucidated by analysis of Sr and Pu isotopes in 137Cs-concentrated particles

五十嵐, 淳哉 大阪大学

2021.03.24

概要

2011年に起こった、東京電力福島第一原子力発電所事故により、1号機から3号機の原子炉において炉心溶融が起こり、大量の放射性核種が環境中へと放出された。これまで放射性核種の各原子炉からの放出タイミング・プルームが調査され、環境中での汚染状況が明らかにされてきた。しかしながら事故時に炉内で、放射性核種が核燃料からどのように放出され、環境放出に至ったのかについては不明なままである。核燃料には化学的特性の異なる様々な放射性核種が存在しており、放出された放射性核種の種類やその放出量の違いから、核燃料からの放射性核種の放出過程の解明が期待される。本事故ではSiO2の母材に高濃度の放射性Csを含む不溶性の微粒子(不溶性粒子)が放出された。これらの粒子は原子炉内で生成し、不溶性の性質から環境中で放出時の状態を保持することから、様々な汚染イベントが蓄積した環境試料よりも直接的に事故時の炉内環境にアプローチすることが期待される。本研究では不溶性粒子から、揮発性の異なるCs, Sr, Puを定量することにより、これらの元素の不溶性粒子への取り込み過程を通じて、放射性核種の核燃料からの放出過程の解明を試みた。またPuの定量により由来に応じて特定の値を持つ、Pu同位体比の決定が期待できる。これまで事故前から存在するグローバルフォールアウト(GF)の影響が存在するため、事故由来のPu同位体比の決定は行われておらず、Pu同位体比からの汚染評価は困難な状況にある。そこで本研究では、事故による正確なPu汚染評価のために、不溶性粒子からPu同位体比を決定した。

本研究では原発周辺の帰還困難区域で採取した環境試料から、放出元の原子炉が異なる様々な種類の不溶性粒子を単離した。これらの粒子に対して、放射化学的手法により高い精度の検出限界を実現した分析を実施することで、不溶性粒子1個中のCs, Sr, Puを定量することができた。特にPuの定量値については、本研究で初めて得られた成果である。

不溶性粒子から定量されたPu同位体比の値はGFの値とは顕著に異なり、福島原発の炉内存在量に対応するPu同位体比を初めて決定した。これらの値は計算値ともよく一致していた。本研究で得られた同位体値を用いることで、様々な環境試料における事故由来のPu汚染を正確に評価することができた。

不溶性粒子のSr/Csは、ガスやエアロゾル粒子としての揮発を仮定した計算値と、事故時に想定されていた炉内温度にて一致しており、SrはCsと同時に核燃料から揮発し、粒子に取り込まれたと考えられた。一方で、不溶性粒子のPu/Csには、事故時の炉内温度として考えられない高温条件で揮発した量が反映されていた。このことから、Puは揮発ではなく、燃料破片などの不均一な形で粒子に取り込まれたと推測した。以上のように、放射性核種の種類に応じて粒子への取り込み過程に明確な違いを見つけることができ、事故時の放射性核種の核燃料からの放出過程について、詳しい知見を得ることができた。

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