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大学・研究所にある論文を検索できる 「工学的技術を用いた情報・症状の可視化について、技術活用に向けた看護の立場からの検討-手術室看護記録の音声入力支援技術と主観的な症状を数値化する技術に着目して-」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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工学的技術を用いた情報・症状の可視化について、技術活用に向けた看護の立場からの検討-手術室看護記録の音声入力支援技術と主観的な症状を数値化する技術に着目して-

菅, 彩香 大阪大学

2022.09.22

概要

【緒言】看護のニーズに対して工学の知識・技術を融合したアプローチが進められ、工学の技術の発展に伴い客観視が難しかった情報・症状を取り扱うことが可能となった。これらの技術を看護の現場で如何に実装し活用するかが今後の課題であり、看護の立場から技術の使い難さやどのように使えるかを科学的に検証することが求められている。そこで本研究では、①音声認識技術を用いて音声から記録を作成する技術と、②主観的な症状を計測し数値化する計測機器の技術活用の可能性・課題について、検証を行うことを目指して基礎的な検討を行った。

【研究①】〈背景・目的〉音声認識技術を活用した記録作成システムが開発されているが技術の普及が課題であり、記録と音声で使用される表現の違いが使い難さに影響していると考えられる。特に、手術室では部署間の引き継ぎで記録が共有されるため、術中に正確な記録を効率的に作成する必要がある。そこで、手術室の記録作成を担う外回り看護師を対象に記録と音声で使用される表現を比較し、音声から記録を作成する際の課題を言語の観点から検討した。〈方法〉3件の腹腔鏡手術を対象に外回り看護師の術中の記録と音声を調査した。記録の名詞の形態素を意味内容に基づきカテゴリー化し、カテゴリーに対応する音声の名詞の形態素を分類し、比較した。〈結果〉記録の名詞の形態素のうち26.2%は音声で同一の形態素を認めたが、54.4%は記録の内容を音声では異なる形態素を用いて表現されていた。また、チューブ類の挿入、腹腔処置、レントゲンの観察などの医師の処置や、四肢冷感、足背動脈、チアノーゼ、抜管後の意識レベルなどの看護師の観察項目は記録のみで報告され、音声では関連する形態素を認めなかった。〈考察〉腹腔鏡手術の手術室看護記録で使用される表現の多くが外回り看護師の音声に含まれ、記録を音声から作成できる可能性が示唆された。しかし、記録で使用される表現の54.4%は音声では異なる表現が使用されており、記録に音声認識を活用するには記録と音声で使用される表現を結び付ける用語集の整理が必要である。

【研究②】〈背景・目的〉皮膚感覚は神経系・筋骨格系を介して運動や姿勢、巧緻動作の制御に関わることから転倒リスクを捉える上で重要である。しかし、客観的な評価指標であるモノフィラメント検査は訓練を受けた専門家が評価を行う必要があり評価の機会が限られる。そこで、検者を選ばずコンピュータ操作で皮膚感覚を評価できる感覚評価装置を用いて簡易的に手掌で評価を行うことを着想し、感覚評価装置を用いた評価プロトコールの被験者内再現性、測定部位による皮膚感覚閾値の違い、手掌と足底の皮膚感覚閾値の関係を検討した。〈方法〉65歳未満の健常成人を対象に感覚評価装置を用いて手掌と足底の皮膚感覚閾値を測定した。測定結果の被験者内再現性は級内相関係数の算出を、測定部位による違いは分散分析を、手掌と足底の関係は相関係数の算出を行った。〈結果〉級内相関係数は右第1中足骨頭は0.6、左第1中足骨頭は0.8、右第2指は0.5、左第2指は0.5であった。皮膚感覚閾値(単位:㎛)は足底では踵が、手掌では母指球が最も小さかった。手掌と足底の相関係数は0.4(P=0.04)であった。〈考察〉2回の感覚閾値の測定結果の再現性は中等度であった。また、手掌と足底の感覚閾値は中等度の相関関係を認めており、今後評価プロトコールを検討することで手掌をスクリーニング指標とした評価を行える可能性が示唆された。

【まとめ】本研究では現場の現状のデータを収集することで、既存の技術の活用の可能性と活用に向けた具体的な提言を行うための、今後の研究の方向性について基礎的な示唆を得ることができた。技術の社会実装を行うためには、今後これらの課題について臨床での知見を積み重ね、ユーザビリティの向上を目指す必要がある。

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