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大学・研究所にある論文を検索できる 「ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた自己拍動能を有する組織体の作製と動的力学挙動の評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた自己拍動能を有する組織体の作製と動的力学挙動の評価

栗田, 寛子 KURITA, Hiroko クリタ, ヒロコ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた自己拍動能を有す
る組織体の作製と動的力学挙動の評価
栗田, 寛子

https://hdl.handle.net/2324/6787649
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(工学), 課程博士
バージョン:
権利関係:

(様式3)Form 3



名 :栗田 寛子

Name

論 文 名 :ヒト iPS 細胞由来心筋細胞を用いた自己拍動能を有する組織体の作製
と動的力学挙動の評価
Title



分 :甲

Category

論 文 内 容 の 要 旨
Thesis Summary
近年,心疾患の新たな治療法としてヒト iPS 細胞由来心筋細胞(hiPS-CM)を用いた再生治療法が注目され
ている.今後,臨床応用での本格化が期待されるいるものの,人工臓器に置き換わる大規模な hiPS-CM3次
元組織体の作製には様々な課題が残されている.また,hiPS-CM 組織体の自己拍動挙動について定量的な動
力学的評価はほとんど実施されていない.一方,心臓の複雑な拍動メカニズムは,マルチスケール・マルチフ
ィジックスの現象を組み込んだ理論モデルの確立により,コンピュータ・シミュレーション解析での定量的評
価が可能となっている.しかし,hiPS-CM においては,未だに拍動を再現する理論モデルと実験モデルの比
較は行われていない.
本論文では hiPS-CM を用いてシート状とチューブ状の 2 種類の組織体を構築し,その自己拍動挙動につい
て定量的な評価を行っている.さらに,構築した理論モデルと実験モデルの比較を行うことで,その自己拍動
挙動を再現する理論モデルの確立を目指している.また,hiPS-CM 組織体の自己拍動力の向上を目指し,足
場材の細胞接着性が細胞に与える影響の検討を行っている.
第 1 章では,
本研究の研究背景と目的について記述している.
心疾患の治療法における再生医療の有効性や,
iPS 細胞を用いた再生治療法の可能性について述べている.さらに,心筋の自己拍動に関する生化学的な現象
から機械的な現象を概説し,それらの条件が組み込まれた心臓の拍動を再現する理論モデルについて記してい
る.
第 2 章では,組織工学技術を応用して hiPS-CM シート状構造体を作製し,その自己拍動に伴い発現する機
械的特性を評価している.hiPS-CM シートは培養に伴い,外部刺激を与えることなく周期的な拍動を起こす
ことを確認している.さらに,Guccione らの心筋サルコメアの能動的張力を表す理論モデルと粘弾性 Maxwell
モデルを組み合わせることで,hiPS-CM のひずみ挙動を再現する理論モデルを構築している.その結果,理
論モデルが実験モデルのひずみ挙動をよく再現することを確認している.
第 3 章では,PDMS チューブに hiPS-CM シートを巻き付けることで,hiPS-CM チューブの作製に成功し
ている.作製した hiPS-CM チューブもシートと同様,自己拍動を確認している.さらに,チューブ内に微小
な TCP 粒子を分散させ,その粒子の動きを追跡することで,hiPS-CM チューブの駆動性能の評価を行ってい
る.その結果,チューブ内には拍動に伴い微小な順流が発生し,hiPS-CM チューブにはポンプとしての基本
的性能が備わっていることを確認している.また,hiPS-CM チューブの変形挙動解析の結果から理論モデル
を用いてチューブ内の流動を予測し,実験結果とは定量的には差異を生じるが,定性的には類似した結果を示
すことを確認にしている.

第 4 章では,hiPS-CM チューブの自己拍動に伴うひずみの時間変動を再現するために,粘弾性 Maxwell モ
デルと粘弾性 Voigt モデルを,それぞれ Guccione 応力理論モデルと組み合わせた理論モデルを構築し,実験
結果との比較を行っている.その結果,どちらの理論モデルにおいても,実験から得られたひずみ挙動を高精
度で再現することが明らかになっている.このことから,hiPS-CM の拍動力の再現において,粘弾性モデル
が適していると考えられる.また,hiPS-CM シートと hiPS-CM チューブの拍動に伴う応力-ひずみ関係を比
較した結果,どちらも粘弾性特有のヒステリシスループを発現しているが,hiPS-CM チューブの方がエネル
ギー散逸量が小さく,PDMS チューブが心筋の変形を抑制している可能性が示唆されている.
第5 章では,
心筋細胞としては未熟であるhiPS-CM の自己拍動力の向上を目指し,
結合水量の異なるPMEA
類似体ポリマー上で hiPS-CM の培養を行い,細胞形態や収縮挙動に与える影響を検討している.その結果,
細胞は結合含水量の多い基板上において細胞形態が丸く,接着面積は小さくなる傾向を示すことが明らかにな
っている.さらに,結合水量の多い基板では hiPS-CM の自己収縮挙動が大きくなる傾向にあり,PMEA 類似
体上での hiPS-CM が拍動力の向上に有効である可能性が示唆されている.
第 6 章は総括であり,各章で得た重要な研究結果をまとめ,今後の展望について論述している.

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