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大学・研究所にある論文を検索できる 「Cryopreserved clumps of MSCs/ECM complexes treated with INF-γ retain immunosuppressive capacity and induce rat calvarial bone regeneration」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Cryopreserved clumps of MSCs/ECM complexes treated with INF-γ retain immunosuppressive capacity and induce rat calvarial bone regeneration

小川 智也 広島大学

2022.03.23

概要

【目的】
歯周炎は、歯周病原性細菌の感染と宿主の免疫応答の結果生じる、組織破壊を伴う炎症性疾患である。歯周炎によって生じた歯周組織欠損、特にⅢ級根分岐部病変や水平性骨欠損のような大規模骨欠損に対する効果的な治療法は確立されていない。失われた組織の再生のために、患者自身の間葉系幹細胞 (Mesenchymal Stem Cells (MSCs))を分離し、人工足場材料と複合化させて移植する細胞治療法の開発研究がこれまで盛んに行われてきた。この自家移植方法は、培養期間・コストの増大をもたらし、また用事作成される移植体の細胞性質を均一に担保することは難しい。これらの問題を解決するためには、事前にドナーから提供された他家細胞を移植体の状態で備蓄し、必要時に速やかな供給が可能な体制が求められる。しかし、他家細胞の移植に伴う免疫拒絶や、長期備蓄方法としての凍結保存による移植体への影響が考えられる。一方、私達の研究室では、MSCs と自身が産生する細胞外基質 (Extracellular matrix(ECM))によって構成される直径 1mm 程度の細胞集塊 Clumps of MSCs/ECM complexes (CMSCs)を樹立した。C-MSCs は人工足場材料を用いずに様々な組織欠損形態に適合した細胞移植が可能で、組織再生を達成する[1]。C-MSCs は移植前の細胞の機能調節を行うことが可能である。例えば、INF-γ 処理することによって、T 細胞増殖抑制作用のある indoleamine 2,3-dioxygenase (IDO)発現の増加したヒト C-MSCsγ は、マウス頭蓋冠欠損への異種移植において、免疫拒絶を逃れながら骨再生能を発揮することを報告している[2]。また ラット C-MSCs が凍結保存後もその立体的構造と細胞活性を維持することや、凍結保存を経たラット C-MSCs が同系ラット頭蓋骨欠損モデルへの移植実験において、凍結処理していない C-MSCs と比較して同等の骨再生能を維持していることを報告してきた[3]。以上の事実に基づき、ヒト C-MSCsγ は凍結保存後も IDO による免疫制御能と骨再生能を保持する可能性があると考えた。そこで本研究では、ヒト C-MSCsγ を凍結処理保存した Cryo-C-MSCsγ の三次元的構造と細胞性質の変化の有無を in vitro で調べた。さらに、ラット頭蓋冠欠損モデルへの異種移植による骨再生効果に関して評価を行った。

【方法】
ヒト骨髄由来 MSCs を 48 well plate に 1.0×105 cells/well の高密度で播種し、ECM を産生させるためにアスコルビン酸を添加した培地を用いて 4 日間培養を行った。十分に基質を産生させることで得られた細胞シートを培養皿から剥離後、低接着性培養皿に移し、浮遊培養を 3日間行い細胞集塊 C-MSCs を作製した。また、浮遊培養過程で INF-γ を 24 時間作用させた細胞集塊を C-MSCsγ として作製した。その後-80℃で 48 時間凍結保存し、37℃温浴槽で解凍を行った Cryo-C-MSCs、Cryo-C-MSCsγ を得た。これら細胞集塊に対して INF-γ 刺激や凍結による構造の変化を HE 染色で、細胞生存状態に関して TUNEL 染色で、細胞機能に関してreal-time PCR を行った。さらに F344 Rat の頭蓋骨 1.6 mm 欠損モデルに対し異種移植を行った。移植後 8 週においてマイクロ CT にて新生骨量を定量し、また組織学的解析を行うことで、Cryo-C-MSCsγ の骨再生能を分析した。

【結果】
HE 染色により C-MSCs、C-MSCsγ、Cryo-C-MSCs、Cryo-C-MSCsγ はすべて移植体としての三次元的構造を維持していた。細胞集塊の凍結保存前後の細胞生存率に関して TUNEL 染色を行い共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、凍結保存を経ていない C-MSCs、C-MSCsγに比較して凍結保存した Cryo-C-MSCs、Cryo-C-MSCsγ は細胞集塊表層において TUNEL 陽性細胞がやや増加していたが、細胞集塊全体で定量すると有意な差がないことを確認した。十分な量の生細胞の存在が確認できたので、細胞機能に関して real-time PCR を行ったところ、C-MSCsγ は IDO の mRNA が C-MSCs と比較して高発現しており、凍結した Cryo-C-MSCsγも同等の IDO 高発現状態を維持していた。F344 Rat 頭蓋骨欠損モデルの移植部位に対してマイクロ CT による解析を行ったところ、移植後 8 週時点で C-MSCs 移植群と比較し C-MSCsγ移植群は欠損周囲からの新生骨が多く認められ、さらに Cryo-C-MSCsγ 移植群は C-MSCsγ 移植群と同等の骨新生量を確認できた。

【結論】
C-MSCs に INF-γ 刺激を行うことで作製されるヒト C-MSCsγ は、凍結保存後も三次元構造と IDO 高発現を保持していた。すなわちヒト Cryo-C-MSCsγ のラット頭蓋骨欠損モデルにおける骨再生効果は免疫拒絶を逃れたことによる可能性が高い。Cryo-C-MSCsγ は、事前にドナーより得られた MSCs から作製・備蓄し、必要時に速やかな供給が可能な新規歯周組織再生療法に応用可能であると期待できる。

参考文献

[1] M. Kittaka et al.,Cytotherapy. 2015;17:860–73.

[2] Takeshita K et al., Stem Cell Research & Therapy (2017) 8:101

[3] Motoike S et al., Stem Cell Research & Therapy (2018) 9:73

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