The influence of three-dimensional scapular kinematics on arm elevation angle in healthy subjects
概要
〔目的(Purpose)〕
最終域での上肢挙上角度の差を臨床で経験するが、その差が何に起因しているかは十分に明らかにされていない。その理由としては肩甲骨の動態を正確に把握することが困難であることが挙げられる。我々は2D/3D registration法を用いて体幹に対する肩甲骨、上腕骨の励態を初めて明らかにし、上肢挙上角度の盖が何に起因するのか解析したので報告する。
〔方法(Methods)〕
対象は健常成人男性15名15肩(平均27.7±6.5歳)を対象に肩関節前方挙上、肩甲骨面挙上、側方挙上で拳上するように指示した。すべての被験者において、ゴニオメ ーターを用いて上肢の最大挙上角度を測定し、その平均値である172度以上をHigh群(8名)とし、以下をLow群(7名)と2群に分類した。体幹に対する肩甲骨と上腕骨、肩甲骨に対する上腕骨の三次元動態を2D/3D registration法を用いて評価した。2群間の比較をするために、二元配置反復測定分散分析を用いた。
〔成績(Results)〕
High群と比較してLow群では屈曲では拳上105°以上(105°; P=0. 0309,120°以上;P<0. 01),肩甲骨面挙上では拳上120 °以上( P< 0. 01 )、外転では挙上135 °以上( P< 0 . 01 ) で有意差を認め, 肩甲骨が10 ~ 25 °内旋していた。更に屈曲時の最大挙上角度でのみ有意差を認め0.0157)、Low群よりもHigh群の方が13. 5°後傾していた。肩甲骨の上方回旋、肩甲上腕関節での回旋角度と並進移動は全て有意差がなかった。
〔総括(Conclusion)〕
今回、初めて2D/3D registration法を用いて体幹に対する肩甲骨、上腕骨の動態を評価することができた。肩関節前方挙上、肩甲骨面挙上、側方挙上の際に肩甲骨の内旋が小さいと上肢の挙上角度が小さくなることが明らかとなった。