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書き出し

TP53遺伝子変異がp53経路の遺伝子発現に及ぼす影響に関するがん種横断的研究

佐々木, 啓寿 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation

TP53 遺伝子変異が p53 経路の遺伝子発現に及ぼす影響に関するがん種横断的研究

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
内科病態学講座
氏名 Name

臨床腫瘍学分野

佐々木

啓寿

【背景】
全世界でがん罹患者数や死亡者数は増加の一途を辿っている。がんは遺伝子の異常によって引き起こされ
る疾患であり、その中で最も高頻度に変異が認められる遺伝子は TP53 遺伝子である。TP53 遺伝子がコー
ドするタンパク質である p53 は、特定の DNA 結合部位を介した転写活性能により、細胞周期抑制やアポト
ーシス、DNA 修復などの様々な機能を発揮する。TP53 遺伝子変異はこれらの転写機能を介した p53 の機
能を失活させることにより、がんの発生や進展に寄与する。一部のがん種において TP53 遺伝子変異は予後
不良因子とされるが、予後とは関連しない、あるいは予後良好因子とされるがん種も報告されている。この
様に TP53 遺伝子変異による表現型への影響はがん種間で異なる可能性がある。しかし、この点についてが
ん種横断的に解析した報告はこれまでにない。また、TP53 遺伝子変異の一部は、p53 の機能失活に加えて
腫瘍細胞増殖や抗アポトーシス効果などの発がん作用を新たに獲得することが知られており、機能獲得型
(Gain-of-function;GOF)変異と呼ばれ、それ以外の非 GOF 変異とは異なる生物学的特徴を持つと考え
られている。p53 は転写活性を持つことから、この TP53 遺伝子変異サブタイプ(例えば GOF 変異と非 GOF
変異)の違いが他の遺伝子発現に与える影響はがん種間で異なる可能性があるが、この点をがん種横断的に
解析した報告はこれまでにない。
【目的】
本研究では、The Cancer Genome Atlas (TCGA)に登録された複数のがん種間で TP53 遺伝子変異に
よる p53 経路の遺伝子発現プロファイル変化を比較することで、TP53 遺伝子変異が持つ生物学的な意義に
ついて、がん種間での違いを明らかにすることを目的とする。また、TP53 遺伝子変異サブタイプ(GOF 変
異と非 GOF 変異)が異なることで p53 経路の遺伝子発現プロファイルに生じる影響を明らかにすることを
目的とする。
【方法】
TCGA コホートの固形がん全 32 種の中から、TP53 遺伝子変異を有する症例と TP53 野生型症例をそれ
1

(書式18)
ぞれ 10 症例以上含むがん種を抽出した(コホート A)
。さらに、TP53 遺伝子変異を有する症例を、GOF
変異を有する症例と非 GOF 変異を有する症例に分けた際、それぞれを 10 症例以上含むがん種を抽出した
(コホート B)


TP53 遺伝子変異による p53 経路の遺伝子発現プロファイル変化をがん種間で比較するため、コホート A
において、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)で p53 経路の遺伝子として登録されてい
る 67 遺伝子の遺伝子発現データを用いた階層的クラスター解析を行った。また、がん種毎に、TP53 遺伝
子変異の有無と細胞周期関連遺伝子および細胞増殖能に関わる MKI67 遺伝子(Ki-67 をコード)の発現状
態との関連を解析した。さらに、各がん種において、TP53 遺伝子型が異なる 2 群間で予後の比較解析を行
った。コホート B において、TP53 遺伝子変異を GOF 変異と非 GOF 変異に分類し、コホート A と同様の
階層的クラスター解析を行った。
【結果】
コホート A の 21 がん種は、階層的クラスター解析の結果、TP53 遺伝子変異による p53 経路の遺伝子発
現プロファイル変化を基に、2 つのクラスター(クラスターA1 と A2)に分類された。クラスターA1 のが
ん種はクラスターA2 のがん種と比較して、TP53 遺伝子変異による細胞周期関連遺伝子群の発現変化が大
きかった。また、クラスターA1 のがん種では、TP53 野生型群に比べて TP53 遺伝子変異群で MKI67 の発
現値が高かった。一方で、クラスターA2 のがん種では、TP53 遺伝子変異群でも TP53 野生型群と比べて、

MKI67 の発現変化が少なかった。TP53 遺伝子型が異なる 2 群間での予後比較では、クラスターA1 の 17
がん種中、3 がん種で有意差を認めた一方で、クラスターA2 の 4 がん種はいずれも有意差を認めなかった。
コホート B の 17 がん種について、GOF 変異による p53 経路の遺伝子発現プロファイル変化と非 GOF
変異による同遺伝子の発現プロファイル変化を統合した階層的クラスター解析を行った結果、17 がん種全
てで同一がん種の GOF 変異と非 GOF 変異が互いに最近傍に配置された。
【結語】
本研究から、TP53 遺伝子変異が p53 経路の細胞周期関連遺伝子と細胞増殖能に関わる遺伝子の発現プロ
ファイルに及ぼす影響は、がん種間で異なることが示された。また、GOF 変異と非 GOF 変異が p53 経路
の遺伝子発現プロファイルに与える影響には、明確な差はないことが示された。 ...

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