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大学・研究所にある論文を検索できる 「慢性期脳卒中片麻痺患者の麻痺側手指機能に対する即時効果における運動観察と両手運動の比較」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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慢性期脳卒中片麻痺患者の麻痺側手指機能に対する即時効果における運動観察と両手運動の比較

佐藤 洋介 東北大学

2021.03.25

概要

【背景】
慢性期脳卒中片麻痺患者の運動麻痺を改善するにはリハビリテーション介入が必要であり、これまでに慢性期脳卒中片麻痺患者の運動機能改善を目的とした介入方法が数多く提案されている。しかしながら、各介入方法の効果を比較検討した報告は少なく、患者ごとの適切な介入方法を選択するには更なるエビデンスの蓄積が必要である。近年、運動麻痺を改善する介入方法として、他者の運動を観察して模倣をする運動観察や麻痺側上肢と非麻痺側上肢で左右対称の運動を行う両手運動の有効性が報告されている。本研究では、慢性期脳卒中片麻痺患者を対象に運動観察および両手運動時における運動中の麻痺側手指関節角度変化及び麻痺側手指運動の円滑さ、麻痺側前腕筋活動を運動麻痺の重症度ごとに比較し、運動観察と両手運動の影響が重症度に応じて異なるのか検討することを目的とした。

【方法】
29名の慢性期脳卒中片麻痺患者が本研究に参加した。運動麻痺の重症度をBrunnstrom Recovery Stage(BRS)を用いて評価し、被験者を3つの群(重度、中程度、軽度麻痺)に分類した。本研究ではクロスオーバーデザインを用い、麻痺側手指の屈曲伸展を10回繰り返す運動課題を統制・運動観察・両手運動条件で実施し、各条件の伸展運動および屈曲運動における運動範囲、運動の円滑さ、主動作筋と拮抗筋の筋活動比率を計測した。各計測項目について3条件間で比較し、重症度ごとに運動観察と両手運動に対する反応が異なるのか検討した。

【結果】
重度麻痺群では、伸展運動と屈曲運動ともに運動範囲と運動の円滑さ及び筋活動比率に条件間の有意差はみられなかった。中等度麻痺群では、統制条件と比較し、両手運動条件において麻痺側手指の伸展運動および屈曲運動範囲は有意な増加を示した(伸展範囲:p < 0.001,屈曲範囲:p = 0.025)。また伸展運動の円滑さは統制条件と比較し運動観察条件において低値を示す傾向であった(p = 0.070)。筋活動比率は条件間の有意差がみられなかった。軽度麻痺群では、統制条件と比較し、麻痺側手指運動範囲は運動観察条件において麻痺側手指の伸展運動および屈曲運動範囲は有意な増加を示した(伸展範囲:p = 0.004,屈曲範囲:p < 0.000)。また伸展運動の円滑さは統制条件と比較し運動観察条件において低値を示す傾向であった(p = 0.059)。さらに屈曲運動時の筋活動比率は、統制条件と比較し、運動観察条件において有意な増大を示した(p = 0.040)。

【結語】
本研究は重症度に応じて運動観察と両手運動の効果が異なるかを検討した初めての研究であり、分離運動が可能な片麻痺患者は運動観察を行うことで麻痺手の運動範囲が増加し、痙縮が残存している片麻痺患者は両手運動を行うことで麻痺手の運動範囲が増加することが示された。さらに分離運動が可能な片麻痺患者は運動観察を行うことで麻痺肢の筋活動様式だけでなく運動の円滑さも改善する可能性が示された。また、随意運動が困難な片麻痺患者は運動観察および両手運動を行っても麻痺手の機能が即時的に変化しないことが明らかとなった。

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