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大学・研究所にある論文を検索できる 「地域在住女性高齢者の足趾屈伸運動トレーニングの介入効果」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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地域在住女性高齢者の足趾屈伸運動トレーニングの介入効果

河相 てる美 富山大学

2021.03.23

概要

〔目的〕
世界の総人口は増加し,高齢化率も徐々に高くなっており,我が国は最も高い水準で推移している.日本の国民生活基礎調査( 2019)において,運動器に関連する要支援・要介護の割合は,「骨折・転倒」(12.5%),「関節疾患」(10.8%),合わせて約2割であり,加齢に伴う機能低下が考えられる.そのため地域在住高齢者が自立して生活していくための要素の一つとして歩行機能の維持改善が重要と考えられる.

先行研究では転倒予防を目的として,体幹のバランスや下肢の粗大筋力に着目したものが多いが,申請者は地面や床に直接接地する足趾の運動機能に着目し一連の研究を行った.まず地域在住高齢者のロコモティブシンドローム(以下ロコモ)の自覚に対する日常生活の工夫についてインタビューした結果,高齢者が抱える葛藤・課題を視野に入れ,運動継続を行うことが重要と考えられた1).また地域在住男性高齢者を対象としたロコモと足趾運動の横断的研究で,転倒リスクを最も反映していたのが, 2ステップテストと足趾握力であった2).これらは動的なバランス能力と足趾の力を反映している.そこで,本研究では「足趾の屈伸運動トレーニング」を介入実施することで, 足趾の力,バランス能力とロコモの程度を改善させ得るか否か,その効果について検討することを目的とした.

〔方法並びに成績〕
Ⅰ. 方法
1. 対象
市町村および地域包括支援センターに依頼して、老人会の講座などに参加し研究の趣旨に同意した地域在住女性高齢者
2. 方法
足趾の運動トレーニングとして,足趾の主な動きである屈伸運動の実施を依頼した. この運動を1回につき10回, 1日3回で毎日実施することを各個人に依頼した. 3ヶ月後にカレンダー式チェック表を提出してもらい,介入運動継続群と非継続群に区分して 検討した.
1) 初回調査項目
①年齢・身長・体重,②転倒リスク評価, ③基本チェックリストによる評価,④独自アンケート「同居家族の有無」「介入運動を継続できる自信の有無」を行った.
2) 足趾運動の評価
①足趾握力,②足趾挟力, ③足趾10秒テストの測定を介入前後に行った.
3) ロコモの評価
①開眼片脚起立時間,②立ち上がりテスト, ③ 2ステップテスト, ④ロコモ25の測定を介入前後に行った.
3. 統計学的解析
統計解析ソフトウエアIBM SPSS Statistics(Ver.24)を用いた.有意水準は5%未満とした.
4. 倫理的配慮
富山福祉短期大学倫理審査委員会(福短H27-11号)富山大学臨床疫学等に関する倫理審査委員会(臨28-87)の承認を得た.

Ⅱ. 成績
対象者の背景は,年齢65歳~88歳(平均年齢75.3±5.6歳) であった. 介入に対する継続群107人と非継続群102人において,転倒リスク評価, 基本チェックリスト,同居家族の有無おいて有意な差は認められなかった. 介入運動を継続できる自信の有無については,継続群は非継続群に比べて有意に多いという結果であった.継続の有無別に介入前後おいて,足趾運動の評価とロコモの評価を行った.
足趾運動の評価: 足趾握力の継続群では,介入前は5.2±1.8kg, 介入後では5.8±1.9kg (p<0.001)と改善していたが,非継続群では差がなかった.また継続群では足趾挟力と足趾10秒テストも有意に改善した(いずれもp<0.001).
ロコモの評価: 継続群では立ち上がりテスト(p<0.05),ロコモ25(p<0.05)の項目において改善が見られた.しかし, 非継続群では,いずれの項目においても有意な改善は認められなかった. 以上のデータを用いて共分散分析を行った結果,足趾握力(p<0.001) ,足趾挟力(p<0.001),足趾10秒テスト(p<0.001)においては, 介入前の値,年齢,介入運動を継続できる自信の有無を配慮しても,継続群は非継続群に比べて, 介入後の値が有意に改善したことがわかった.

〔総括〕
本研究では,地域在住女性高齢者を対象に足趾の主な動きである屈伸運動を足趾運動トレーニングとし,その効果ついて検討した.その結果,介入前後の比較において継続群は足趾握力,足趾挟力,足趾10秒テスト,立ち上がりテスト,ロコモ25の項目において有意な改善が認められた. 足趾の屈伸運動により, 足趾全体の強化につながるだけでなく,立ち上がりテストで評価した垂直移動のバランス能力が向上し,さらにロコモ25の改善につながったことは, 転倒予防にも寄与する可能性があるものと期待できる.

〔副論文〕
1) 河相てる美,ほか:ロコモティブシンドロームの自覚に対するに日常生活の工夫-自立している地域在住高齢者のインタビューから-.日本看護研究学会雑誌41(4):723-732,2018.
2) 河相てる美,ほか:地域在住男性高齢者の転倒リスクに関連するロコモ評価・足趾運動機能の検討.心身健康科学(2)16:49-62,2020.

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