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大学・研究所にある論文を検索できる 「The conformational transformation of multi-stranded helical polysaccharides and complexation with nanoparticles in aqueous media」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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The conformational transformation of multi-stranded helical polysaccharides and complexation with nanoparticles in aqueous media

友藤, 優 大阪大学

2022.03.24

概要

多糖類やDNA、コラーゲンの多重らせん構造は、天然高分子に一般的な高次構造の一つである。多重らせん構造をもつ高分子は、溶液中で剛直な棒状分子としてふるまい、少量の高分子添加により溶液の粘度など巨視的な物性を大きく変化させるため、食品産業、医薬品産業、農業など幅広い分野で、増粘剤などの用途で利用されている。また、多重らせん高分子と無機ナノ粒子の複合材料は、工業廃水の浄化など産業上重要な材料として多くの研究が進められている。三重らせん多糖であるシゾフィランは中性の水溶液中で、その三重らせん構造を保持するが、強塩基性の水溶液中では一本鎖に解離する (変性)。そして、pHや溶媒の変化に伴って三重らせんを再形成 (再性) させると、環状構造などの特殊な構造が得られることが知られている。しかし、この特殊な構造形成の理解に有用であると思われる水溶液中における一本鎖の分子形態は調べられていなかった。また、二重らせん多糖のザンサンは、塩濃度の低い水溶液中で昇温することによって変性し、冷却や塩濃度の上昇によって再性することが知られている。この再性過程では、ザンサンの濃度などの溶液条件によって、ヘアピンループを持つ分子や、分岐を持つ高分子会合体など、様々な形態の分子や会合体が形成される。しかし、この構造形成の理解に重要な分子形態変化の動力学の研究は、必ずしも分子形態を反映していない可能性のある分光学的な手法に限られていた。また前述のように、ザンサンはシリカナノ粒子と複合体を形成し、応用上重要な材料として期待されている一方で、複合体のサイズや帯電状態といった基礎的な知見は限られている。

そこで本研究では、シゾフィランおよび、水への溶解度が高いシゾフィランの誘導体である酸化シゾフィランについて、水溶液中における一本鎖の分子形態を、小角X線散乱 (SAXS) を用いて決定した。次に、ザンサンの変性および再性過程における主鎖と側鎖の動力学を明らかにするために、温度変化後のザンサン水溶液について、SAXSおよび円二色性 (CD) の時分割測定により調べた。さらに、ザンサンとシリカナノ粒子の混合溶液に対して種々の測定を行い、これらの複合体の形成挙動を調査した。

三重らせん多糖シゾフィランおよび酸化シゾフィランの、水溶液中における一本鎖のコンフォメーション
 三重らせん多糖のシゾフィランおよび酸化シゾフィランについて、10 mMのNaClを含む200 mMのNaOH水溶液のSAXS測定を行い、それぞれの試料に対する粒子散乱関数および溶質成分のモル質量および粒子散乱関数を求めた。この溶媒中ですべての試料が一本鎖として溶解していること、そして、アミロースやセルロースよりも主鎖軸方向に縮んだ局所らせん構造を取ることが明らかになった。また、側鎖の置換度は、シゾフィランおよび酸化シゾフィランの一本鎖の剛直性にほとんど影響しないこともわかった。

二重らせん多糖ザンサンの、NaCl水溶液中における変性および再性過程の動力学
 ザンサンの10 mMのNaCl水溶液について、温度変化後のSAXSおよびCDの時分割測定を行った。変性過程においては、側鎖のコンフォメーション変化が二重らせんの解離に先行するのに対し、再性過程においては、二重らせんの形成が側鎖のコンフォメーションの復元に先行することが明らかになった。すなわち、これらの過程は、中間体を経由して進行することが示唆された。

ザンサンおよびシリカナノ粒子の複合体形成挙動
 pH5の酢酸緩衝液中で、ザンサンと、表面にアルミナを吸着させたシリカナノ粒子を、様々な混合比で混合し、電気泳動光散乱および静的・動的光散乱、CD、SAXSを行った。シリカナノ粒子の質量濃度に対するザンサンの質量濃度の比 (cx/cSiNP) が0.056から0.58の範囲にある場合では沈殿が見られた。加えて、この範囲の混合比ではζ電位がほぼゼロになることが示された。また、cx/cSiNP > 0.6の領域では、cx/cSiNPが上がるにつれて複合体の流体力学的半径が小さくなった。これは、ポリイオンコンプレックスの形成で報告されているように、過剰に存在するザンサンによって複合体が負電荷を帯びることで、複合体の成長が阻害されるためであると考えられる。

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