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大学・研究所にある論文を検索できる 「マウス用ヴァーチャル・リアリティにおけるトレッドミル球体運動の高速計測システムと球面幾何学を応用したロバストな回転軸推定アルゴリズム」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

マウス用ヴァーチャル・リアリティにおけるトレッドミル球体運動の高速計測システムと球面幾何学を応用したロバストな回転軸推定アルゴリズム

洞口, 学志 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
マウス用ヴァーチャル・リアリティにおけるトレッドミル球体運動の高速計測システムと
球面幾何学を応用したロバストな回転軸推定アルゴリズム

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
生体機能学講座生体システム生理学分野
氏名 Name

洞口

学志

(研究背景)
齧歯類の認知・行動過程を解明する上で、その脳活動を広範に記録するイメージング技術は有用である。
しかしながらイメージングを行うためには顕微鏡下で齧歯類の頭部を固定する必要がある。脳が生物の外界
への適応の中心的な役割を担っていることを考えると、環境の中を行動している最中の脳・神経活動をイメ
ージングする上で、頭部を固定した状態で自由行動課題を課すことができるヴァーチャル・リアリティ(VR)
システムは不可欠である。行動課題遂行中の動物に対して広範囲にわたる脳活動イメージングを行う場合、
動物の複雑な2次元行動を正確に計測するためには、VR 装置のトレッドミル球体の運動を複数センサで検
出する必要がある。一方で、既存の齧歯類用 VR システムは、センサからトレッドミル球体の運動を計算す
るアルゴリズムがオープンではないため、その普及は進んでいない。
(研究目的)


VR 環境を研究者が自製できるソフトウェアである Unity にプラグインできる通信ライブラリアプリ

ケーションを開発し、Unity が複数の光学マウスのセンサ値を Windows API を用いて取得可能にする。特に
2 つの光学式マウスから計測したセンサ値から軸推定が行える VR システムを実際に作成する。


作成した VR システム及びアプリケーションの検証のために、トレッドミル球体と2つの光学式マウ

スから成り立つ VR システムが様々な回転軸において正しく軸推定を行うことを確認する。


球面幾何学を用いてトレッドミル球体の回転軸を推定する新奇アルゴリズム(大円法)の検証のた

め、トレッドミル球体を特定の軸で回転させた時、複数のアルゴリズムで計算し、軸の推定を行い、大円法
のロバスト性を評価する。この 3 つを目的とし、研究を進めた。
(研究方法)
本研究に用いた VR トレッドミルは、光学マウスが一つ付置してあるトレッドミルに 2 つ目のマウスを取
り付けることで構築した。本通信ライブラリの作成にあたり WindowsAPI(Windows Application Programming
Interface. Windows の機能を呼び出す関数群)の一つ、RawInput API に対してデータを読み出す関数をプ
ログラミングした。読みだされたデータのうち 2 つの PC 入力用マウスから計 4 軸(第一マウスx, y 軸及
び第二マウスx, y 軸)のデータを取得し、前述したアルゴリズム(
「大円法」と名付けた)に基づいて、
1

(書式18)
その値から回転軸及び回転速度が得られることようにした。本ライブラリ及びアルゴリズムが適切に機能し
ていることを評価するために、トレッドミル球体を様々な回転軸角度で回転させた。実際の球体の回転には、
回転のパラメータを制御可能なモーター(ステッピングモーター)を用いた。
(結果)


構築した VR システムは、実用上十分な速度で 2 つの PC 入力用マウスから計 4 軸(第一マウスx, y

軸及び第二マウスx, y 軸)データのサンプリングが可能であった。光学マウスのレポートレート上限の 500
Hz (2 ms)でもサンプリング可能であったが、VR システムの表示用画面のフレームレートが 60Hz を考える
と、実用上なるべく大きく安定した光学マウス信号の値を得て計算精度を上げるため、15 ms のサンプリン
グレートをデフォルトとした。得られたセンサ値から大円法により軸推定を行う VR システムが開発できた。


作成した VR システムは様々な回転軸における光学マウスの信号値の組から正しく軸推定を行うこと

ができた。推定結果とその誤差について、平均及び標準偏差を求めた。


一定速度でトレッドミル球体を回転させても、球体表面の微妙な凹凸等により光学マウスの信号は

ある程度ゆらぐが、大円法は、多少の信号値のゆらぎによらず、極めてロバストに回転軸を推定できた。推
定結果とその誤差について、平均及び標準偏差を求めた。比較のために、二つの光学マウスから得られた運
動ベクトルから直接回転軸を計算する逆行列法でも回転軸を推定した。その結果大円法は逆行列法に比べて、
極めてロバストな回転軸推定ができると結論づけることができた。
(考察)
本研究で開発した VR システムにより、動物の複雑な2次元行動を VR 空間上に正確に再現することが可能
となる。更に、この VR システム及びアルゴリズムをオープン・ソースとすることにより、世界中の多くの
研究者が安価で容易に VR システムを構築できるようになる。このことは研究全般の裾野を広げ、結果的に
脳の働きの本質を解明することに貢献することになる。本 VR システムの応用としては、適応学習の実験が
考えられる。プリズム適応は、プリズムメガネにより被験者の視覚環境を変調した状況で到達運動を被験者
に行わせると、最初は正しく目標に到達することはできないが、やがて正しく到達できるようになるという
適応学習現象である。齧歯類にプリズムメガネを適用することはきわめて困難かつ現実的ではない。そこで、
正確な運動同定が可能な齧歯類用 VR システムを用いれば、刺激―運動間の対応関係を変調することにより
(例えば、真っ直ぐ歩いても、視覚環境は緩やかな左カーブを描く等)
、プリズム適応と同様の実験が可能
であると考えられる。しかも、プリズムとは異なり、刺激―運動間の対応関係を連続的に変調可能で、適応
学習の程度も定量化可能である。本研究によって齧歯類用 VR システム及び行動課題中の広範囲の脳活動イ
メージングが一層普及することが期待される。 ...

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