リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Physiological analysis of the circatidal rhythm in the mangrove cricket, Apteronemobius asahinai」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Physiological analysis of the circatidal rhythm in the mangrove cricket, Apteronemobius asahinai

Sakura, Kazuki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23042

2021.03.23

概要

潮間帯に生息する多くの生物は、活動に潮汐周期に対応した約 12.4 時間周期のリズム( 潮汐リズム) を示す。多くの場合、この潮汐リズムは恒常条件下でも観察される。この恒常条件下でみられる潮汐リズムは概潮汐リズムと呼ばれる。概潮汐リズムは内因的な生理学的機構によって生み出されていると考えられている。野外の生物は潮汐の時刻を示す同調因子を受容し、概潮汐リズムを実際の潮汐周期に同調させている。

マングローブ林に生息するコオロギの一種マングローブスズは、概潮汐リズムを示し、さらに、約 24 時間周期で活動の強度を変化させる概日リズムを同時に示す。第 1章では、本種が示す概潮汐リズムの同調因子の特定を目的とした。マングローブスズ成虫を浸水させると、浸水時刻に概潮汐リズムが同調することが知られていたが、水との接触自体と、その接触直後に生じる歩行活動のいずれが同調因子なのかは明らかでなかった。そこで歩行できないように、成虫を虫ピンで固定した後で浸水させると、浸水させた時刻に概潮汐リズムが同調した。このことから水との接触自体が、マングローブスズが示す概潮汐リズムの同調因子として働くと結論した。

第2章では、活動リズムから位相を検出するための統計手法を開発した。時間生物学分野では、活動リズムを示す際にアクトグラムが用いられる。これまで、アクトグラムを人の眼で見ることで活動リズムの位相を検出することが多かった(視察法)。しかし視察法は、恣意的な結果を導く恐れがあった。そこで本研究では、アクトグラムを分割し、分割したアクトグラムそれぞれに対して独立に階層因子セグメンテーション法を適用する方法を開発した。この方法を用いることで、アクトグラムを分割せずに階層因子セグメンテーション法を適用した場合よりも高精度で概日リズムと概潮汐リズムの位相を検出することに成功した。

これまでのマングローブスズの活動リズム研究は、すべて野外採集した個体を用いてきたため、潮汐経験のない個体が概潮汐リズムを示すかどうか明らかではなかった。第3章では、明期 16 時間暗期 8 時間、25 度一定の条件下でマングローブスズを卵より飼育し、羽化した成虫の活動リズムを恒常条件下で測定した。その結果、約半数が概潮汐リズムを示したが、残りの多くは、野外採集個体では見られない約 24 時間周期の活動リズム(ひと山型リズム)を示した。以上より、すべてのマングローブスズが概潮汐リズムを示すためには、実験室飼育時とは別の環境条件が必要であると結論した。次に、このひと山型リズムが概日リズム由来かどうかを調べた。マングローブスズが示す活動強度を変化させる概日リズムは恒明条件下で消失することが知られている。しかし、ひと山型リズムは恒明条件下でも消失しなかった。また、実験室で飼育したマングローブスズの活動を明暗条件下で測定し、第2章で開発した方法で解析すると、ひと山型リズムが明暗周期に同調するかしないかは、個体によって異なった。したがって、本研究で示されたひと山型リズムは概日リズム由来と概潮汐リズム由来の両方の可能性が残されている。

以上の研究から、マングローブスズは発達過程で今回の実験室条件にはない何らかの環境条件を経験することで概潮汐リズムを発現し、その後、水との接触時刻に概潮汐リズムを同調させることで、潮間帯における潮汐周期の影響に対応していることが明らかになった。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る