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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on novel nitrogen-incorporated bowl-shaped molecules」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on novel nitrogen-incorporated bowl-shaped molecules

Kise, Koki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23719

2022.03.23

概要

ボウル状分子は曲面分子との相互作用、動的ボウル反転挙動、面外異方性など、平面分子には存在しない興味深い性質を有する。近年では、ボウル状π共役化合物に対してヘテロ原子を組込むことで、元来の分子には無かったヘテロ原子特有の新たな電子的・構造的性質を付与する研究が精力的に展開されている。しかしながら、ヘテロ原子を組込んだ分子の例は、対応する平面分子のものに比べると、その報告例が限られているのが現状といえる。その背景としては、ボウル状分子の歪みに起因する副反応や複素芳香環の過度な反応性、有用な前駆体不足等が挙げられる。本論文において申請者は、ボウル状分子であるサブポルフィリンおよびコラニュレン骨格に窒素原子を導入した新規化合物を合成し、酸化還元、蛍光・燐光特性といった電子物性の制御や、構造的非対称性に基づく異性体間での動的挙動に関する研究を行った。

 まず申請者は、サブポルフィリンへのイミン型窒素組込を通じて、その電子物性の変調を試みた。従来のヘテロ原子組込サブポルフィリンはメゾ位型およびピロール環改変型の二種類に大別できる。申請者は、新たな第三のヘテロ原子組込様式であるベータ位型の分子として、キノキサリンが縮環したサブポルフィリンを新規開拓し、サブポルフィリン特有の大きなメゾ位置換基効果が依然有効であることを示した。

 次に申請者はアミン型窒素を組込んだサブポルフィリンとして、メゾ位またはアキシアル位がアザクラウンエーテルで置換された分子を合成した。そして、メゾ位置換型は金属イオン添加に応答して蛍光減少、アキシアル位置換型は蛍光増大する現象を調査し、Turn-off型、Turn-on型の蛍光プローブとして機能し得ることを示した。

 続いて申請者は別のボウル状分子骨格としてコラニュレンに注目して研究を展開した。まず、汎用性の高い五回対称型の前駆体として五重臭素化体および五重ヨウ素化体の合成方法を確立した。そして、それらを起点に未報告の五重ホスフィニル化体を合成し、ヘテロ原子導入前駆体として極めて有用であることを実証した。

 さらに上記の五重臭素化コラニュレンを出発原料として、五重アザへリセン・コラニュレン複合体を合成した。この複合体は非対称導入した窒素に由来して、固体および溶液状態での高効率蛍光や長寿命低温燐光、多段階酸化挙動といった大幅に摂動を受けた電子物性を示した。加えてこれらの複合体には、ボウルとヘリセンのキラリティに由来する多数の異性体が存在した。そこで反応経路自動探索プログラムを用いて異性化経路網の全貌を解明した。その結果、複合体のボウルおよびへリセン反転の活性化障壁は、無置換コラニュレンや対応する一重アザへリセンの活性化障壁と比べて著しく低下することがわかった。さらに、解明した異性化経路網を念頭に、複合体の特異な構造的ダイナミクスと関連付けて温度可変NMR測定の結果を考察した。

 その後申請者は、上記複合体の合成で使用した反応条件を応用し、ピロール縮合コラニュレン二量体を合成した。この二量体は一連の含窒素縮環コラニュレン群の中で最大の蛍光量子収率および最長の低温燐光寿命を持つことを明らかにし、コラニュレンの光学物性を変調する上で、窒素組込は極めて効果的な方法であることを示した。

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